消えない闇
暗雲は魔法使いに姿を変え、決め手となっていたダリアの魔法を消し去った。
それだけには留まらず、僕達が部屋に入った時と同じように、再び部屋は全くの灯りを失う。
闇が光を呑み込んだ――。
実際は多少違うのかもしれないが、そう表現するのが相応しいと思った。
「なっ……! 魔法が消された……、いえ、止められた……?」
ダリアが驚きの声を上げる。 その声を頼りに、僕はダリアの傍まで後退する。
この状況で陣形は意味を成さないと思ったからだ。
希望の光までもが消えてしまったかのような錯覚に陥るが、今やるべきは絶望ではなく、新しい戦力の分析だ。
黒い剣士、もとい暗雲は今や魔法使いのような見た目になった。
ダリアの魔法を消す前にわざわざ姿を変えたということは、その能力や特性は見た目通りである可能性が高い。
魔法使いの形をとっている今、接近戦を挑めば戦いは有利に進むだろう。
しかし問題は、部屋が再び闇に包まれていることだ。
既に件の魔法使いは暗がりに姿を眩ませた。
自分でこの状況にしているのだ、この視界の悪さでもこちらの位置を把握する術はあるのだろう。
この闇を解消するか、闇の中でも戦う手段を見つけない限りは、僕たちの勝ち目は薄そうだ。
「……一応試してみましょうか。 『ウェントゥス・ジアヴロシィ』」
だが、魔法が発動している様子はない。
そのことを確かめたダリアは、下を向いて何か考え事をし出した。
しかし警戒は緩めていないようだ。
……どうやら、相手の出方を待ち、上手く迎撃する以外に今できることは無いみたいだ。




