一転攻勢
「光魔法『ミコ・エクサイプシ』」
今度の魔法にも指向性はあるようだが、今までと違い光線の形はとらず、フラッシュライトのように比較的太い光を発している。
その制御は見事なもので、僕には全く光が当たっていないのに、その僕と対面している剣士のみが光を浴びている。
剣士は光を浴びるにつれ、動きを鈍らせていき、そして……薄くなってきた?
喩えるなら暗い場所に少しずつ光量を増やして影を薄めていくように、魔法の光によって次第に剣士自身の輪郭も存在感も希薄になっていく。
もはや戦いを継続できるとは思えない程に、剣士の動きは遅緩になり、遂にはその場に膝を突いた。
僕は戦闘を終わらせるため、剣士にとどめを刺そうとしてダリアの魔法の範囲に入らないように近づく。
剣の間合いに入るまであと一歩――
その瞬間、剣士は蠢いた。
いや、剣士が動いたのではない。
剣士は剣士としての形を放棄して、元々の形、不定形の霧状へと戻った。
無論、ダリアの魔法はまだ発動している。
それを一身に受け、徐々に薄くなりながらも、その霧は再び人の形を象り出す。
攻撃を加えて妨害するべきだろうが、その場合は必然的にダリアの魔法をも妨害することになるだろう。
魔法によって消滅するのを待つか、それを中断してでも霧を止めるか……、考えあぐねている間に、それは終わっていた。
「……魔法使い?」
霧は、先程までの剣士とはある種対極的な存在、魔法使いのような容貌になっていた。
向こう側が見える程に薄くなっている身体からでもそう判断できたのは、鍔の広い三角帽の輪郭が余りにも特徴的だったからだ。
そして、死の光を受けながら、半透明の魔法使いは徐ろに手を宙に翳し――、横に振る。
その動作だけで、ダリアの魔法の光は跡形もなく消え去り、再び闇が部屋全体を支配した。
この敵の名前決めてたら遅刻しました。
でも今回は使わなかったです…




