訓練再来
「――という訳で、特別訓練を開始する!」
初依頼を達成した翌日の午前中、町外れのダンジョン前で、師匠は高らかに宣言した。
周りには僕しか居ないのに。
「はあ……、というか、何故ダンジョンに?」
生返事をして、ここに連れて来られた理由を尋ねる。
「何故って、そりゃあ、昇格試験に向けて、少しは力をつけておきたいだろ? 先ずはこの前と同じく、ここのダンジョンの主をさっさとぶっ倒して来い!」
昨日師匠に事の経緯を話すや否や、今日の特訓が決定されてしまったのだ。
この口振りだと、他の訓練もこの後に待っているようだ。
「それは分かりましたけど……、どうしてダンジョンなんですか?」
ハードスケジュールにも文句を言いたいが、何よりもここが一番納得いかない。
訓練をしてもらえるのは願ったり叶ったりなのだが、どうもダンジョンの独特な雰囲気というか、あの閉塞感と無機質さには未だに慣れない。
願わくはダンジョン以外で実施して欲しかったのだが……、
「幾らでも勝手に湧いてくるモンスターで戦闘経験は積めるし、運が良けりゃ宝箱で一攫千金も狙える。 第一、冒険者を名乗るのにダンジョンに行かないでどうすんだ!」
ダンジョン、或いは冒険者を語る師匠は、やたらと熱が入っている。
「つーか、クルーベアの群れなんてどうやって倒したんだ? 習得出来てる対集団の攻撃魔法なんて|フランマ・スフェーレス《火炎連球》くらいだし、あれ自体の威力も高くはねえのによ」
そこを訊かれるとどうしようもない。
ダリアのことはなるべく言わない様にしているが、僕の魔法の威力が弱いのも確かだ。
「既に手負いだったようで……、それに、|フランマ・スフェーレス《火炎連球》だけで戦った訳でもありませんよ」
取り敢えず言葉を返しはしたが、あまり詮索されてもまずい。
二の足を踏んでないでダンジョンに入り、主を討伐してこよう。
テンション高い師匠です




