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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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決意と困惑

 城門の前に着いた。

 それにしても立派な門だ。

 広大な街に相応しく、大きく頑丈そうだ。


「中に入ってからは、余り喋らないように。 今は君のことを公にする訳にはいかないんだ」


 兵士は僕にそう言うと、ヘルムを外して門番に近寄り、話し始めた。

 何と言うか、西洋系の外国人っぽい。

 余り見た事が無いので自信はないが、金髪に碧眼なんて、尤もらしい特徴だ。

 まあ、ここは『別世界』らしいので少なくとも西洋人では無いのだろうが。


 どうやら彼らの話は終わったようだ。

 それから僕は小さなドアのフレームみたいなものに通らされた。

 金属探知機のようなものだろうか。

 その後ボディーチェックされただけで、早くも門番からゴーサインが出る。

 そして兵士達についてくるよう促され、街に入った。


 ……拍子抜けだ。

 もっと厳重な入国審査が待っていると思っていたが。

 例の急ぎの用事と関係があるのだろうか。



 街の中に通された僕は、辺りを見渡してみる。

 建物は基本石造りの二、三階建てで、堅牢にできている。

 道も石畳になっていて、全体的に石尽くしだが、形には意匠が凝らされ、装飾もちらほらとあり、決して退屈な街並みにはなっていない。

 見事な風景だが、やはり時代が少し()()()()()気がする。

 建物は古風だし、街灯らしきものも見当たらない。

 ここまで発展しているのに街灯がないのは現代では不自然だ。


 しかし、それだけでここを『別世界』と認めるのも釈然としない。

 僕は元の世界に帰りたい。

 帰って、だらだらとゲームをしたい。

 僕はゲームをするのが好きなのであって、実際に魔法を使いたい訳では無いのだ。


 邪かもしれない決意を他所に、兵士達と僕は街を進み続ける。

 そして、巨大な城がいつの間にか視野に入っていた。

 この大きな街の建物の数々の中でも一際(ひときわ)圧巻で、目を見張る迫力だ。

 だがその大きさに似合わず、整った印象があり、左右の対称性もかなり精確だ。


 城の周りを囲う水堀に架かった洒落た石橋を渡って、大きな木造の門をくぐる。

 城の廊下は、豪華な装飾品や絵画が数多く飾られていた。


 そして僕は、広めの個室に通された。

 座り心地の良さそうなソファー(恐らく革製)や、ここまで見てきたものよりも高級そうで気品のある骨董品がショーケースに飾られている。

 恐らく応接間だろう。


 兵士は『例の石』を取り出し、僕に話しかける。


「それでは、私達は団長に報告をしてくる。 その間、動いてもいいが部屋からは出ぬように」


 言い終えると彼らは一礼して部屋から出ていった。

 ドアが音を立てて閉まる。


「はぁ……」


 僕は溜め息をついた。

 今までは人前だったから気を強く持てていたが、一人になると頭の中がグルグルする。


『魔術』って何なんだ。

『僕の居た世界じゃない』ってここは何処だ。

 どうして僕は『難民』扱いなんだ。

 普段通りの日常を送っていただけじゃないか。


 僕は、僕は日本に帰れるのか?

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