2 雪女の里
❄️️( '-' ❄️️ )ユキチャン
「降ってるなぁ………」
雪麗が鎖を外して部屋から出ていってから窓の外を眺めてそう呟く。季節的にこんな大雪が降ってるのはおかしいのだが……まあ、きっと俺の知らない異界の地なのだろう。
部屋から出ようかとも思ったけど……あの雪麗の様子を見る限りにおいて迂闊に出るとまた鎖で縛られる可能性もあるので大人しくしてる。
「圭くん、お待たせー」
和服に鍋となんとも絵になる光景で夕飯を持ってきた雪麗。そういえば……
「雪麗って雪女なんだよね?」
「うん、そうだよ」
「熱いもの食べて平気なの?」
そう聞くと雪麗はくすりと笑って言った。
「この程度の熱ならなんてことないよ。それに圭くんのために料理するの楽しいもん」
「そっか……ありがとう。ところでここってどこなの?」
「うんとね……雪女の里かな?」
ということは他にも雪女がいるのだろうか?
「とは言っても、そんなに人いないけどね。いても皆自分のコレクションを眺めてるだろうから」
「コレクション?」
「うん、気に入った男の子の氷漬けのコレクション」
……本当に、俺は雪麗に捕まって良かった。
「あ、でもその……雪麗にも俺の他にコレクション……というか、気に入った男っているの?」
「いないよ。ママはいっぱいいるけど、私は圭くんだけ」
「そっか……」
なんか少しだけホッとした。オレが特別だと思っていいのだろう。そんなことを思っていると雪麗は俺に抱きついてきてひんやりと気持ちいい体を押し付けて言った。
「圭くんは私の特別なんだよ。それに圭くんは絶対に私が守るから」
「守るって……何から?」
「ママとか他の女から」
母親すらライバルって……いや、そもそも雪麗のお母さんが俺に興味も持ってるわけないよね。
「あとね、圭くん。外室は絶対にダメ。他の女に圭くんを見せたくないし、それにきっと圭くん見かけたら皆自分のモノにしようとするから」
「俺にはそんな魅力はないと思うけど……」
「あるもん。だって、私の世界一カッコイイ王子様だもん」
スリスリとひんやりする体で抱きついてくる雪麗。なんかこの絶妙な冷たさと、前よりも俺の事を求めてくる独占欲にかなりグッときてしまうが……まあ、こんな吹雪じゃ外に出たら確実に死ぬだろうし、外で他の雪女に会って氷漬けにされても堪らない。大人しく雪麗とイチャイチャしてるのが良さそうだな。
そんなことを思いながら俺は雪麗に抱きつかれているのだった。そういえば、学校とかどうなったんだろ?退学届けか休学届け出てるといいけど………。




