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6.ドロップアイテム

「キョーコ様。まだブラックミスリルスライムは倒せておりません」


 ファティのその言葉通り、スライムがブルッと(ふる)えたかと思うとズルズルと動き出した。

 切断したスライムの一部が、何事も無かったように(つな)がって元の形を取り戻していく。


「スライム類は(かく)を破壊しないと倒すことができません。キョーコ様にはその核がお見えになるはずでございます」

「そんなこと言われても、見えないけど⋯⋯」

「キョーコ様の目は特別でございます。必ずお見えになります」


 無茶振りだなぁと思っていると、スライムの一部が光ったように感じた。

 集中して見てみると確かにゴルフボール大の黒い物体が、スライムの身体の中にあるのがわかった。

 あれが核かも知れない。


 スライムはまだ完全に復活しきれていなかったためか、私は反撃も受けずに簡単に核らしき球体を真っ二つにすることができた。

 スライムはブルッと一瞬震えると、そのまま形が崩れ水のように広がって動かなくなった。


 今度こそ倒せたようだ⋯⋯

 ファティが倒したスライムに近づき(かが)んだと思ったら、唐突とうとつにスライムの身体の一部に手を突っ込んだ。

 な、何をして!?

 すぐにファティは立ち上がると、手元が(あわ)い金色の光に包まれた。

 ブラックミスリルスライムの体液で汚れていたファティの手が、見る見るうちに綺麗になっていく。

 洗浄魔法のようなものだろうか。

 すっかりその手が綺麗になると


「キョーコ様。どうぞお納め下さい」


 と黒い宝石のような物を差し出してきた。


「これは?」

「ブラックミスリルスライムの魔石でございます」

「魔石! いいの? (もら)っちゃっても?」

「はい。キョーコ様がお倒しになられましたので」

「ありがとう。これは何かに使えるの?」

「はい。様々な用途に使用されております。主に魔道具の素材やそのエネルギー源として使用され、また怪我や魔力を回復させるポーションの素材にもなります」

「それは結構需要がありそうだね」


 貰った魔石は収納魔道具(マジックコッファー)にしまう。

 ファティから教えてもらったしまい方は簡単だった。魔石と収納魔道具(マジックコッファー)に触れながら、しまうイメージをするだけ。

 本当にチートアイテムだ。



「それにしても、さっきのスライム、雑魚じゃないでしょ⋯⋯」

「雑魚でございます」

「ファティがそう言うなら、反論はできないけど⋯⋯」


 まあ倒せたのは、この身体のお陰なのは間違いなかった。

 身体がすごく軽いし、なぜか剣の扱い方も私は知らなかったのに、当たり前のように扱えている。



「それじゃあ、そろそろ行こうか」

「はい」


 再び歩き始めて丁字路のところまで行き、左右の通路をそっと(のぞ)いて見たけど、どちらの通路も直線になっていて先がどうなっているか見通せなかった。

 今はダンジョン攻略中じゃないし迷ってもいないから、適当に進むとしよう。



 右側の通路を進んでいると途中何度かブラックミスリルスライムに遭遇(そうぐう)したけど、倒し方がわかっていることもあって、あっさり倒すことができた。魔石もいくつか入手する。


 

 そのまましばらく順調に進み、今度は通路が四叉路(しさろ)になっているところに出た。

 私はちょっと考えてから、勘で一番左側の通路を進んでみることにした。

 その通路に入った途端、異変に気付く。

 何か大きな影が見えたような気がしたのだ。目を()らすと、その大きな影が近付いてくる。

 まだこっちには気付いていないようだった。


 その影は黒い鎧を装備し、顔色は濃緑(こみどり)鷲鼻わしばなの下にある口からは鋭い牙が(のぞ)いていた。

 右手には見るからに危険な幅広の大剣を握っている。

 何か知っているようなモンスターだけど⋯⋯


「ダークゴブリンナイトでございます」


 私がモンスターの名前を思い出せないでいると、ファティが教えてくれた。


「ゴブリン!? うっそ!  メチャクチャ強そうなんだけど⋯⋯」

「雑魚でございます。ご安心下さいませ」



 ──スライムの時もそう言ってたような⋯⋯


「わかった。ファティのことは信頼してるから」


 私は剣を握り、ゴブリンが来るのを待ち構えた。

 するとゴブリンは私に気付いたのか奇妙な(うな)り声を発して、ドスドスと足音を立てながら襲い掛かってきた。

 その姿はなかなか迫力があって怖い。

 目前までゴブリンが迫ってくると、耳(ざわ)りな声と共に剣を振り下ろしてきた。

 私がその斬り下ろしを剣で受け止めた瞬間、鋭い金属音と火花が()き散らされる。

 ゴブリンは私に受け止められたのが気に入らなかったのか、メチャクチャに何度も斬りつけてきた。

 私は剣が折れやしないかとハラハラしながらも、その攻撃をすべて受けきった。

 私の腕はあまり筋肉がついてるようには見えないけど、ゴブリンに不思議と力負けしない。

 ゴブリンも怪訝(けげん)に思ったのか、飛び退(しさ)ると対峙たいじしたまま動かなくなった。


 今度は私から攻めに転じてみようと地を()った瞬間、信じられないスピードでゴブリンとの距離が縮まる。

 内心ドキッとしながらも剣の間合いに入った瞬間、防御する間も与えずゴブリンの身体を(よろい)ごと袈裟(けさ)斬りにした。

 ゴブリンは絶叫を上げながら左肩から右脇腹にかけて青黒い血が吹き出し、その場に倒れ()す。


 この光景は女子高生の私には、なかなか刺激が強すぎた。

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