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九月末の税の季節。これまでコヤマ村は五千ゴールド分の税を納めれば良かったのが、六千ゴールド分まで引き上げられた。幸いなことに、全額魔石で賄えたものの、『王都キョウト』の混乱はすさまじいらしく、『サンイン地方』の領主アマゴはその混乱を少しでも治めるべく移民を引き取った結果、かなり物資が不足しているとこのと。
「つまり、税以外にも支援が欲しい、と?」
「言葉を偽らなければ、そうなります」
ヨシオカにやり込められる徴税官はげっそりとやせ細っていた。徴税官の一行全員がこの調子なため、村長のヨシオカは「今後二十年はこれ以上コヤマ村に増税をしない」との条件を紙面で残す代わりに、薪や私が『トットリ砂漠ダンジョン』で得た各種素材を『献上』し、昨年の相場で梨を『領都マツエ』に売ることにした。このため、ヨシオカはしばらく村を離れることになった。
村は村長の奥さんのサナの指揮(?)の下、冬に向けてドングリ拾いや漁に精を出す。私もダンジョン通いを一旦止めてドングリを拾ったり漁に行ったりする。新入り組の中ではシィが一番釣りが上手く、村一番の釣り人のゲンも感心していた。
そんなこんなで十月は終わり、冬がやって来た。