表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

3Chain.最強スキル説

 残りの人生もしかすると永遠にこのままってことないよね……。この状態がなんらかのスキルが発動した結果なんだとしても、こんなにずっと続くなんてことあんのかな? もしかして一度発動したらそれまでよみたいなやつなんじゃ……いや、でもまだわからんぞ。と、不安で不安で不安で仕方なかったオレは、なんとなく周囲の魔物密度が減ったタイミングで「スキル解除~」と試しに言ってみた。


 するとあっけなく身体の自由が利くようになったのだが近くで燃え盛る炎の熱で死にそうになったしオレを見つけた猪頭が猛然と突進してきたのですぐさま慌てて「スキルはつどうーん!」とやったら次の瞬間オレに衝突した猪頭が仰向けに倒れ、どうやら死んだらしい。オレのレベルがまた一つ上がった。


 よし、まあいい。まずはオッケーだ。解除できることがわかっただけでも希望は残った。上出来だ━━ただ、これぜったい解除できねー状態だよなぁ。魔物の軍勢は後から後から際限なく湧きだしてくるようだし……人間たちもわりとしょっちゅうその辺のランダムな場所に現れたりはしているのだが、現れた瞬間やられちゃったりすることも多くて、圧倒的な劣勢が覆ることはなさそうだ。


 オレがなにもできずにいる間にも、次々に召喚された人間たちが殺されていく。本物の血の海というものをオレの人生で実際に見ることになるなんて、生んでくれたお母ちゃんも想像していなかったに違いない。オレ自身、想像すらしたことないもんな。


 しかし、血の海は血の海だが、遺体が残らないというのが良いのか悪いのか……すべての魔物ではないが、遺体を残さず食べてしまうようなやつがけっこうな割合でうろついているので、そのおかげで惨殺死体を見なくて済むのはいいのだが、けして良いことなんかじゃねーよな。最悪だよ。なんなんだよほんとこれ。魔物? 魔王? なんでそんなものがいるんだ。まあ、それはもういい。一億歩譲って、納得しよう。でもなぁ、召喚されてくる人間たち、弱すぎんだろがあああ!


 なんだよスキルいっこって!

 勝てるかよバカチンが!

 見ろよあの人、吹き矢で倒そうとしてるけど、んなもんどう考えたって無理があんだろよぉ、ほらもう食われたぁーっ!


 うわーもうやだよー。オレ悲しいよー。いったい何人死んだ? ふざけなよほんともうふざけなよ、あの女神さま━━あいつ、女神さまなんかじゃねーよ。あいつこそ魔王なんじゃねーのか。いや、きっとそうだ。あいつが魔王だったんだ! はっはーん、オレ、わかっちゃったもんねー。実は一番はじめにもう魔王とは会っていて、魔王自身が人間を呼び寄せていた━━ってゆーシナリオね、はいはい。よく考えました。すごいでちゅねー。ようし、あの女神さま、いや魔王め、次に会ったらタダじゃおかねー。こんなに大勢の人たちを呼び寄せて殺すなんてこと、たとえ神が赦そうともこのオレがぜったいに許さないからなぁ……この、肉団子王子とか、「これなんてポケ〇ン?」と呼ばれたこのオレがなぁっ!


 という意気込みはいいんだがね、これね、まったく動けんのよ、冗談抜きで……。もちろんスキルを解除すれば動けるようになるってことは確認できたから、いつでも動けるけどね━━はっきし言って、そんなタイミングねえぞ、これ!


 ほんと、どっから湧いてくんのか知らねーけど、オレの視界から魔物が消えることはない。そして殺される人間がいなくなることも。


 一人やられると、またあっちこっちに人間が現れて、たいして役に立たないスキルを一度二度試したあたりで息絶える。そんなことの繰り返しを、延々と見せられているオレ。ただし、これは本当に不思議だったんだけど、いつまで経ってもまったく腹が減らないし尿意もないし疲れもしない。唯一考えられる可能性としては、スキルが発動しているから━━という理由しかないだろう。もしこれで腹が減ったり疲労が蓄積されていくようなことがあれば、いくらダメージがなくたっていずれは必ず限界がくる。


 限界がこないという事実は、本当にありがたい。なにもできないけど、とりあえず死ぬことはないからな。魔物が何匹束になろうと、このオレという肉饅頭ひとつ倒すことができないのだよ!


 待てよ━━よく考えたらこれ、最強スキルなんじゃねーのか? 自分からは行けないけどさ、向こうから襲ってくる魔物が勝手に死んでくれるから、ある意味無双状態だし。


 いやマジで、このスキルすごくねーか? 炎も氷も牙も雷撃も、毒ガスだってまったく平気なオレちゃんって、これもう異世界無双決定でしょ。チートもチート、絶対にダメージ受けないなんて、これ最高じゃんか! きた、ついにきたぞ豆タンク様の時代がぁ!


 なんて強がってみたけどね、やっぱまったく動けないのは悲しいよね━━っていうか、魔物連中マジで何匹いるんだよこれ……なんかさ、ちょっと考えたくないんだけどさ……たとえば魔王倒さないと魔王が無限に生み出すみたいな話だったら、オレ、一生このままなんじゃねーの?


 やば……本当に寒気してきたんだけど。


 やばいやばい、ある意味無間地獄とか、ほんと勘弁してくれよ。頼むぜおい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ