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1Chain.異世界キタァー!

 体重は100キロ近くあるのに、身長は140ちょいしかないオレ、天空城(てんくうじょう)タクマはいわゆる豆タンク体型で、猪豚(いのぶた)肉団子ダルマとか、もしかしてベル〇ルクに出てなかった? とか、他人からいろいろ言われる人生に絶望して、一番メジャーどころなトラックにひかれてからの異世界転生を希望していたんだが、その必要もなく、希望とは少し違ったかたちで異世界へ旅立つ夢が叶ってしまったらしい。


 ゲートと呼ばれる、天国への扉みたいな天国への扉ではない場所に、夜中に突然召喚されたオレはパジャマ姿のままでスマホRPGの美少女キャラクターみたいな女神さまのめちゃくちゃでかい上半身に説明を受けているところだ。


 よくわからんだろう? オレだってまだ、現状を理解しきれていない。というか、まだ圧倒的に夢である可能性が高すぎる。オレは寝ぼけるのが得意だし、美少女の夢などしょっちゅう見る。うん、つまりこれは夢だ。すんごいリアル過ぎて恐いんだけど、まあ、夢だろう。


「ほんじゃねー、お兄さんこれからラブベーゼってゆー世界を救うために行ってもらうわけだけどー、ただ行ったって2秒でくたばると思うからー、そーならないためのスキルをあげまーす。でも選べるのはいっこだけでーす。人間ひとりがそう都合よくたくさんのスキルを覚えることなんてできませーん。それに、お兄さん以外にもたぁーっくさんの人を呼ばなくちゃいけないので、やっぱりスキルは一人いっこなのでーす。いまだに誰も救ってくれないけど、どんなスキルを得たどんな人がラブベーゼを救ってくれるのかわからないのでー、可能性を増やす意味もありまーす。でもご安心。スキルはいっこしかあげられませんけどー、レベルアップすればもちろん強くなりますのでー、がんばってレベルアップしてくださいねー。ラブベーゼという世界は、お兄さんの世界だとテレビゲームの中にしか存在しなかった人間のレベルというものが実際に存在する世界ですのでー、まあ、VRMMOな感じでやってもらえればいいかと思いまーす。じゃあスキルを選んでねー。もちろん誰かが選んじゃったものはもう選べなくなってるから、残ってるものから選んでねー」


 なんつって目の前に表示されたスキルの一覧表は、オレの目線だけで上下にスクロールさせることができた。なんかわからんが、とんでもないテクノロジーがそこにある。


 ━━よし、どうせならめちゃくちゃ強そうなスキルを選んでやるぜ。


 って思ったのに、どうもさんざん選ばれたあとの残り物みたいなクソッカスキルばっかり並んでいて、正直どれも選べない。悪い意味で。

 オナラブーストなんて、絶対誰も選ばんだろう。なんだよ、毒ガスで短時間痺れさせるって。その短時間で倒せなかったら終わりだし、逃げられなくても終わりだな。そんな、なんの役にも経たなそうなスキルしか残ってない気がする。いったいどれだけの人間が呼ばれたのかしらないが、すでにめぼしいスキルは取られたあとなんじゃないのか、コレ。


 ちょっとカッコいい名前のファイアスターターというスキルを見つけるも、内容説明は高火力の炎を自在に放つことができるということだったので、もちろん弱くはないだろうが最強スキルにはほど遠いだろうということで保留にしておく。

 回復系のスキルはスルーだ。敵を倒せなくちゃしょうがない。やられて治してを繰り返していたら、なんのために異世界きたのかわからなくなるだろう。それは避けたい。とにかく最強か、それでなくとも最強に近い神スキルを見つけなくては━━なんてやっていたら、女神さまの「はーい、制限時間はあと三十秒でーす」という声が聞こえてきた。


 ━━早っ!


 これはまずい。オレは焦った。焦って高速スクロールでどんどん先を見ていくが、高速すぎてなんとなくしか確認できない。この間に最強スキルを見逃した可能性もなくはないが、もはや後戻りはできない。スキルは無数に存在していた。星の数ほどあるんじゃないだろうか。これ絶対時間足りないだろ。全部は見れないようになっているのか……やばい、時間ない。考えるな、見るんだ。スキル名を。カッコいいやつなら強いだろう……ない、ここにきてカッコいい名前のスキルがない。スクロールを遅くした場所の前後には吹き矢とか三段ジャンプとか微妙すぎるやつばかりが並んでいる。これはしくじったかもしれない。こんな先のほうまでこないで、最初のほうで無難なスキルを選んでおけばよかった。ああ、ダメだ……もう時間ない。そろそろ三十秒くらい経つんじゃない?


 やべぇ、オレオワタ。


「ブッブー! はーい、時間切れだよぉ! んもー、気の小さい優柔不断なお兄さんだねー。小さいのは身長だけにしてほしいよ、まったくぅ」


 ━━うるせえよっ!


「そんな選べなかったお兄さんには、しょーがないんでこちらのシステムがランダムに決定したものを付与しまーす。文句言わないでくださいねー、選ばなかったお兄さんが悪いんですからねー。はーい、じゃあもうラブベーゼに飛ばすからねー。こっちもお兄さんひとりを相手にするわけじゃないから、あとがつかえてるのー。てなわけで、最後に説明するからよく聞いてねー。聞かないとソッコーでオダブツだから。ちなみにやられても生き返ったり元の世界に戻れたりしないからねー。そんな甘くないよー。えっとねー、お兄さんの使命は魔王軍を相手に戦って、最終的には魔王をボコってラブベーゼを救うことでーす。以上。スキルは『スキルはつどーう!』みたいなことを心の中で念じてもらえば多分出たり出なかったりすると思うから、まあうまくやってねー。はーい、説明おわりー。じゃあ、いっくよぉー!」


 ━━ふっざけろよぉぉぉ……オレぜったい死ぬわコレ。


 スキル発動せんかったら、その時点で終わる。しかもなんのスキル付いたのかわかんねーし! オナラブーストだったら最悪だな。ははっ。なんでこんなことになってんの、オレ?


 身体が光に包まれると、ゲートが開きオレはその中へと吸い込まれるように飛んでいった。

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