おっさん、仕事を辞める
「あぁ、今日もいい天気だなぁ」
そのおっさんは空を見上げた
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おっさんの年齢の定義は数あれど、だいたい35を超えたあたりでほぼほぼおっさんと呼ばれる年齢になるだろう。
緑が綺麗に咲いている庭園の世話を甲斐甲斐しくやっていたおっさん、ドルドは額に浮かんだ汗を拭ってふぅとため息をついた。
ドルドの仕事は領主様の庭の手入れである。その庭は太陽の光をキラキラと受け輝いている。この庭の世話をほぼほぼ一手に引き受けているドルドの年齢はもうそろそろ50も後半になる。
庭の手入れは大変だ。重い土を持つこともあるし、水だって重い。腰を低くして手入れをすることもある。陽の光に晒されて脱水を起こすことだってざらである。ドルドの年齢からすれば辛い。若い頃はぶっ続けでやってても平気だったのに今じゃ少し休憩しなければ倒れてしまいそうなのだ。
ドルドも弟子をとってない訳では無いのでドルドの技を持ってる青年はいる。しかし、ドルドから見ればその技は拙いと言っていい。その技でこの庭を任せられるかと言われればドルドは無理だと答えるだろう。しかし、実際にドルドも師匠からこの庭を任せられたのはまだまだ師匠の技には追いつかないような時だったと思えば、そろそろ交代の時期なのかもしれないとも思う。
「ししょーどうしたんですか?」
ドルドの弟子であるそばかすのある明るい青年がドルドのため息を聞いて聞いてくる。
「んー、お前俺が引退するって言ったらどうする?」
「え?引退するんですか?そうするとこの庭俺一人で?え?無理くないですかね」
弱音を言う弟子の頭を叩く。
「若いもんが弱音吐いてるんじゃない。オレもお前くらいの年齢の時に任せられたのを思えばそろそろ交代の時期かなぁと考えるだがなぁ」
はぁと、もう一度ドルドはため息をついた。