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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
一章 異世界転生編
6/60

6話 俺は「エロ神」じゃない!

「それにしても『エロ神』。どんな力かソータもわからないんでしょ?」 


「うん…」


(『エロ神』、普通ならエロいことし放題の能力に思えるが…)


サリーの裸を見たときのことを思い出す颯太


(それはなさそうだな…。今わかる能力は陣痛をやわらげることだけだ、それが以外にもきっと何かあるはずだ!)


颯太が考え込むなか、ジェスが外から走ってきた。


「そ、そ、ソぉータぁ!!!はぁ!はぁ!」


「お、落ち着けジェス。どうした?」


「窓の外を見てください!!」


カーテンの隙間から家の外を見ると、家の前には何十人もの村人がいた。


「なんだ?出産祝いでもしに来たのか?」


「ち、違いますよ!ソータの『神の力』の噂が村中に広がって!!」


「襲ってきたのか!?」


「いえ、祈りを捧げたいと!」


「はぁぁぁあ!?」


颯太は夕食時になると村の中心にある綺麗に飾られた集会所に座らさせられた。食事が運ばれてくると同時に数十人の村人が集まってきた。


「あなたの神の力、『エロ神』の力をどうかこの我らに!!」


村人たちが妊婦たちをつれてきた。


「もうすぐ産まれるこの子達に健康をどうか!」


「む、む、ムリムリ!!そんなこと...」


突然、颯太の目がピンク色に変わり、手からピンクの光を産み出し、妊婦たちのお腹に光が入っていく。


「これで赤ちゃんの健康は間違いありません。良い名前をつけてあげてください。」


「是非、名付け親に。」


一人の妊婦が颯太に言う。


「いえ、この子の親は私ではありません。あなたがつけてあげてください。お子さんもそれを望んでいますよ。」


その様子を遠くから見ているサリーとジェス。


「ブフォ!!何ですかあれ!!」


「うぇぇ...気持ち悪…」


「目が光っている時のソータはまるで別人ですね。」


「うん…別の人格を神の力で呼び出してるってとこね。」


「もうちょっと面白いので見てましょうよ。」


「賛成。」


ソータの目の光が消え、元の人格に戻る。


「はっ!また俺は…」


「素晴らしい!!エロ神様!!」


「ありがとうございます!エロ神様!!」


村中からエロ神コールが始まり、サリーとジェスも手を叩きながら大爆笑している。


「だぁれがエロ神だ!!俺の名前は江口颯太だ!!!」


その雰囲気から宴が始まった。魔法で料理をつくったり、火柱を高くあげ、盛り上がる村人たち。サリーとジェスも楽しそうに笑っている。颯太も(無理矢理)村人と共に踊り、一晩中宴が続いた。


翌日


「俺、もう…ダメだ…動けん」


「何言ってるのよ。だらしないわね。」


「うるせぇ!!結局エロ神エロ神言われて全然眠らせてもらえなかったんだよ!!!」


宴の最中、寝ようとしていた颯太だが次々の村人がやってきては一緒に踊らされたり、おばさんたちの話に付き合わさせられたりしていた。


「ここ12年間は『神の力を持つ者』が現れなかったから、あんたみたいな人が突然現れたら、それはこうなるわよ。」


「そうですよ…エロ神…ハッハハッ!エロとか…ブフォ!!」


「ジェスさん、あなた幽霊とかほざいてますけど、もう一度殺しましょうか?」 


颯太が恐ろしい笑顔で塩を塗った手でジェスの肩に手をおく。


「わ、わ、私が悪かったです!!いや、その名前素晴らしいですわホント。」


村を後にする颯太達、来たときの倍の人数の見送りがあった。主にエロ神信者である。


「ソータ君、ジェス君。妹を頼むよ。」


「はい。お世話になりました、サーリスさん、ありがとうございました。村長も元気で!」


「お前のことを信じているぞ。あ、後。私の知り合いに『神の力を持つ者』がいる。奴なら君の力の使い方を教えてくれるかもしれん。」


(俺と同じ転生者ということだよな…)


「知り合いにいるんですか!?」


「古き友人じゃ。私の紹介で行くといい。少し遠いからサーリスを行かせよう。瞬間移動で行くといい。」 


「ちなみに場所は?」


「モンジル教団だ。」


「モンジル教団って、俺たちの目的地じゃねぇか。ちょうど良い、助かります。」


「では、言ってこい!エロ神よ!」


「あんまり呼ばないで欲しいんだけど、まぁいっか。行ってくるよ。本当にありがとう。」


見送りの者たちが手をふっている。前の方には赤ん坊をつれているサーリスの妻もいた。


村を出て、しばらくした所でサーリスの魔法で瞬間移動した。移動した先は巨大なジャングルの入口であった。


「ここからは瞬間移動魔法を使えないようになっている。歩いてここを抜けてくれ。その先にモンジル教団の本部がある。」


「ありがとうサーリス兄さん。じゃあ行ってくる!」


「気を付けろよー!」


三人がジャングルの中を進んでいく。木々は高くそびえ立ち、ジャングルの奥は暗く、何も見えない。


「ここ抜けるのに何日かかるんだ?」


「60キロくらいだから…だいたい4日ね。」


「4日!?そんな長い時間、このジメジメしたジャングルを歩くのか?」


「何言ってるんですか、この程度の森大したことないですよ。」


「まぁ食料も村で貰ってきたし、雨とよく降るから飲み水にも困らないわ。」


「でもでもでも…敵とかさ…?」


「出てこないわよそんなの。それに魔法使いの私に、幽霊のジェスもいるし、大丈夫よ。一様言っておくならば、『神の力』を持つ者だっているしね。」


「一様言うな!一様……確かに俺の力の攻撃手段はないしな…、あぁ!!もう!こん中で最弱俺じゃん!!」


「まぁなんかあったら、それはその時よ。まずは一日目!とばしていくわよ!」


その日、颯太たちは10キロを歩いた。もう足はヘトヘトだった。


「ジェスが羨ましいよ、いつも歩いてる風だけど、実は2ミリくらい浮いてんじゃん。」


「私だって地面を踏みしめて歩きたいんですよ!!まぁ確かに私にはこんな道のり苦ではないですね。」


「そんな幽霊ちゃんにお願いだ。塩やるから俺たちを担いで飛べ。」


「えぇー!重いから嫌です!!」


「名案ねソータ!!大丈夫よジェス、私の魔法で軽くしてあげるわ!」


翌日の朝、三人は力を合わせ(?)、チートなみの早さでジャングルを進んだ。この日は残り5キロの地点まで到達した。


「最高のパーティーだ!そう思わないか?」


「ゆうてソータが一番活躍してなくないですか?。」


「しょうがないだろ!!俺は攻撃系のキャラじゃねぇんだよ!!」


「つい最近まで平和な世界をとか言ってたのはどこのどいつよ、全く。」


「と、とりあえず!明日には到着するはずだ、今夜もさっさと寝て、明日の早朝に出発だ。」

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