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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
二章 魔法世界編
56/60

55話 敗けの選択肢しかない!

 各12人の8チームが警察と泥棒に4チームずつに分けられ戦う『ドロケイ』。俺のいる泥棒チームはサリーの神魔法で先制打を相手に撃ち込み、その後少々のトラブルがあったが無事二つのチームを降参させ、残る警察はわずか十数人ほどとなっていた。


「ドロケイなのに警察がどんどん殺られるなんて、この町小さいくせに治安最悪ですね。モンジル教団とは大違いだ。」


「するとつまり、俺は大犯罪者というわけかな?モンジルの牢屋は窮屈と聞いたことがあるが、一度くらいは入ってみたいな。」


「そうですか、お隣にローブ帝国の幹部様がお住まいの物件でしたら空いていますが?」


「え…遠慮しておこう…」


ヨイヘー村のリーダーと他の四人を教会に転送し、俺達は次の行動のためにその時を待っている。


「何その気持ち悪い会話…ソータ、そういうセリフは似合わないと思うけど…」


「うるせぇ、俺は爆弾で三人も倒したっていうゲームクリアの達成感に浸ってんだ。カッコつけてジョークの一つや二つ、話したって良いだろ?」


「ま、どーでもいいけどさ。ハーフタイム残り一分で言うのも遅い気がするけど、泥棒から警察になってもやることは変わらないような…?」


「だと楽なんだが、例年通りなら追加ルールが来るはずだ。」


「追加ルール…?」


「前回は今回同様にハーフタイム交代制の『氷鬼』だったのだが…」


本当に毎回鬼ごっこ系の種目があるんだ…


「ハーフタイムで鬼を凍らせることができるお札が何枚かばら蒔かれて、後半鬼だった俺達はかなり追い詰められたものだ。だから今回も追加ルールがあるのは確実だろう。」


「追加ルールの内容によっては今有利な俺達が一気に不利になるかもって事ですか…?」


「そういうことだ。だがその追加ルールを予め知っていれば話は別だ。ソータ君、このドロケイのおかしな所はなんだと思う?」


「おかしな所…ハーフタイムで交代ってのは毎回あるらしいし……あ!牢屋がない!」


「正解!」


確かにおかしい、牢屋がないドロケイなんてクソゲーじゃないか…つまり追加ルールは…


「牢屋と…そこに捕まった者の復活…!」


「大正解!そうなると予想して、予め倒したもしくは降参した敵を全員拘束して教会に送った。牢屋が現れるということは次に警察になる俺達は彼等の復活を全力で阻止しなければならない。」 


「ハーフタイムになり、追加ルールが発表された瞬間に敵の本隊は一斉に牢屋に向かって進軍するってわけね。」


「それを迎え撃ちたい所だが、牢屋がどこに設置されるのか、今教会で拘束されている者達がどうなるのかもわからない。慎重に動かなければならない。」



 鐘の音だった。ゴーンゴーンと会場全体に響き渡るその音がハーフタイムであることを告げる。そしてフィールド上に突如として牢屋が現れた。場所は元警察側の陣地の北東の


広場だった。


「う、う、う、うっそぉぉぉっ!!!!?」


「マジ!?」


「こ、これはさすがに予想外だ…」


白い柱が正方形になるように四つ立ち、柱と柱の間には中が見える魔力の壁があり、キラキラと光っている。


『北東の広場に牢屋を設置した。中から脱出することは不可能だが、外側から少しでも中の者に触れていれば脱出が可能となる。では』


天井のモニターに写った審判はルール解説を手早く済ませるとすぐに席に戻っていった。  


「『では』じゃねぇ!!」


「えっと…今から私達は仲間が助けにくるまで三人でここを死守しなきゃ行けないってこと!?え、無理じゃないそれ!?」


「魔力残量を考えると…少し厳しいかもしれないな。早いうちに撤退する方が良いかもしれないな…」


牢屋の中を見るとロープで縛られたマーバンやハット帽の男などが俺達の方を見てクスクスと笑っている。


「声は聞こえないが、バカにされてるのはなんとなくわかるぞ…。」


「撤退してもいいが…それでここの者達が復活して一斉に教会を攻めたら一溜まりもないな。正直言ってこちらのチームはヤンドル以外弱小部族ばかりだ…。あぁ…なんでフィールドの端に…これはさすがに酷いだろ…ふぅ…敵本陣の目の前じゃなかっただけ良しとするか。」


未だにサーリスさんも頭を抱えている。状況は最悪だ。敵は既に俺達の方へ進軍を開始しただろう。ついにサーリスさん便りも限界だ。俺が…俺自身が何とかしなければ…!



 その頃、着々と足を進める新泥棒チームの後方には巨大な銀色の銃を担ぎながら歩くシルバードの姿があった。彼が連れていた燕尾服の男は高い屋根の上から双眼鏡で広場の方を見ている。


「セバスチャン、敵は何人だ。」


「三人でございます。」


「三人か、つまらない。」


「お言葉ですがシルバード様、三人の中にはサーリス・フリーアもいます。度重なる戦闘で魔力をかなり消費していると考えられますが、油断は禁物でございます。」


「サーリス…ふっ、ようやく歯ごたえがありそうな敵と直接戦えるのか、楽しみだ。」


シルバードは銀色の銃を見ながら楽しげに笑った。

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