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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
二章 魔法世界編
49/60

48話 この魔法は魔法使いの物じゃない!

 全チームに儲けられた3分間という話し合いタイムが終わり、一組目の選手約12チームがスタートライン立った。警察は東側、泥棒は西側に。


そして


〔さぁ長らくお待たせしました!!今年の第一種目、《ドロケイ》を開始します!!レッツカウントダウンっ!!〕


フィールドの天井からぶら下がったデカイモニターに10という文字が表れ、次の瞬間には9となり、さらに8と減っていく。


「さぁソータ君始まるぞ、用意はいいか?」


「バッチリですよ。」


カウントダウンがさらに進み残り3秒となった。自分の心臓の音がよく聞こえる。緊張とは違った心地よい気分だ。


〔3!〕


〔2!〕


〔1!〕


〔Zero!!〕


魔導大会が始まった。

警察、泥棒の両選手がゼロのコールと共に飛び出した。


「バリア!!」


「結界!!」


「魔法壁!!」


泥棒チームが一斉に防御魔法を発動させ、町を二分する魔法の壁を出現させた。ここまでの所要時間約20秒。走りながらその様子を見ていた俺はあまりの迫力に見いってしまった。


「すげぇ…!」


「足を止めるなソータ君!壁が破壊されるまでに防御体制を引くぞ!」


「は、はい!」


町の北西にある町全体を見渡せる教会にたどり着くとすでに到着していたサリーや泥棒チーム側の他の村の者たちが攻撃魔法の詠唱を進めていた。


「ここで敵を迎え撃つ!先頭は我々ヤンドル村に任せてもらおう!!」


「それは助かる!よし、俺たちは遠距離からお前らのサポートをする!」


「私達は町並みを使ってゲリラ攻撃を仕掛けるわ!」


さすがは大陸の強者達だ、判断が早い。


「兄さん!!南東の壁が崩壊したわ!30人くらいの敵がこっちに迫ってきてる!!」


教会の屋根の上から町を見ていたサリーの報告の直後、すぐにヤンドル村の選手数人が町に散り、戦闘を開始した。


「炎熱魔法!!」


「蒸気魔法!!」


「炎獄魔法!!」


町のあちこちから爆発音が飛び交い、巨大な火柱が天に向かって立ち上った。


「さすがはヤンドル村の魔法使い!炎系魔法に関してはサーリス以外の者もエース級の実力だ!」


「我々も負けてられない!!」


「全員ぶったおす!!」


一瞬でこっち側の指揮が上がったのがわかった。どいつもこいつも目をギラギラ光らせてやがる。


「おい、サリー。これってドロケイだよな?敵に攻撃しちゃっていいのか?」


「私に気安く話しかけないで貰える?」


屋根の上から上から目線で言われるとかなりムカつく…


「まぁあなたでもわかるように簡単に教えてあげるわ。これがドロケイってことは要は捕まらなければいいの。だから相手を倒して動けなくさせれば捕まらずに済むってわけ」


「なるほど」


なんとも自分以外全員がこれを理解しているってことが驚きだが…まずは魔法が使えない現状況で何ができるのかを考えなければ…なんて思ってはみたが…


「と、とりあえず!俺は後方で静かにしてますので…サリーさん……頑張ってください…」


「あら、自分が使えないってことをようやく理解したようね。とても懸命な判断だと思うわ」


「はい…」


くぅっ……言い返せない自分が情けないっ!


「ふぅ…、さてまずは準備体操も兼ねて!一発かましてやるわ!」


何やら詠唱をし始めたサリーにあたりは騒然とする。前衛で戦っていた選手達も教会に向かって一目散に帰ってくる。サリーは大きく手を広げ、フィールド全体に語りかけるように唱えた。


「今、天神の名によって裁きを受けよ!!」


敵が侵入した南東側に空と大地それぞれに巨大な魔方陣が出現した。魔方陣が時計の針のように回り、発動までの時を刻む。


「全員衝撃に備えろ!!防御魔法を使える者はこの教会を守れ!」


「「「「了解!!」」」」


サーリスさんの指示で泥棒全体が腰を低くし、家々の裏に隠れた。俺の位置から二枚の魔方陣とその二枚の間に困惑した様子で立ち止まった警察達が見えた。

あぁ…可哀想な人達だ…


「超魔法っ!!


 モンジリアぁぁっっ!!」


次の瞬間、二枚の魔方陣の間に無数の光線が放たれた。巨大かつ高魔力。神魔法モンジリア、今日も約15人を地獄に送ったのだった。

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