39話 朝起きたら誰もいない!
ヤンドル村の魔法使い達はみんな早起きだ。俺がサーリスさんの家の一室で目が覚めたのは6時頃だったが、もう既に家の中には誰もいなかった。二階から一階のリビングに降りると机の上に一通の手紙があった。
『朝の仕事に行ってくる。飯は自分で作ってくれ。』
後半は料理が苦手な俺はスルーすべき内容だったが、前半の朝の仕事って何だ?家には奥さんサルヤもサリーもいない、家族全員で朝からどこへ…
「あ、司教様。朝から早いですね。」
ジャストが大きな箱を抱え、二階から降りてきた。良く見るとパジャマから魔法使いの服に着替えている。
「今からどっか行くの?」
「トウキオに戻るんですよ。俺、今仕事ほったらかしちゃってるんで。」
そういえば…。
「と言うわけで。俺はここで失礼します。」
「あ、ちょっと待って、聞きたいことがあるんだけどサーリスさんやサリーはどこいったんだ?」
「あ、今日だったか。」
近くのカレンダーを見てジャストがそう溢した。ジャストが寂しそうに顔を俯かせる。これは良くある暗い過去を言う流れだ。俺は悲しむ準備を整え、ジャストの方に向き直った。
「魔導大会があるんです。」
「今なんて?」
「魔導大会があるんです。」
「えっとー…」
「説明しましょう!」
ーーーー以下省略ーーーー
ジャストの説明は下手くそ過ぎたので俺がまとめてみた。
魔導大会とは、魔法使い達が色々な種目で競う言わば運動会みたいなものだ。しかし、真の目的はストラシア大陸の魔法使いのランキングを決めることであり毎年、我こそはという強者達が集まり、白熱した戦いを繰り広げているらしい。
「ちなみに今年で52回目です。」
「あ、割と長いんだ。てかお前は出なくていいのかよ?」
「僕は最強の魔法使いの一人なんで免除です。あんなむさ苦しい大会出たくないですよ。」
「なんか、ムカつく言い方だな。」
「まぁ真面目さんなサーリスは毎年出てますけど、今んところ数年連続圧勝です。」
あーやっぱ最強キャラはどこにでもいるもんなんだなー。
「てか、サリーもらしくないな、そんな大会があるなら誘ってくれればいいのに。」
「魔導大会は魔法使いでない者の立ち入りを禁止してます。どうせ、入れない人を誘っても意味ないじゃないですか。」
「うぅ…」
「そんな悲しみます!?」
魔導大会、なんだよそれ。超楽しそうじゃないか!見たかった…強いて言うなら出たかった…
俺が諦め二度目の睡眠のために階段を登り始めようとしたその時、
『エロ神、そこにいるか?』
部屋の片隅に鎮座していた水晶玉が青く光り、プロジェクターのように村長の顔が壁に写された。
「村長!?」
「おぉー、これは…俺が子供の時に流行った魔道具。こんな化石を使ってるなんて相変わらず、変な村だ。」
『なんじゃジャストもいるのか。お主も相変わらず口が悪いのう。』
「どうも」
「で、何の用で?」
『おっと緊急の内容じゃった。エロ神、今すぐ魔導大会にこい。』
「俺魔法使いじゃないから入れませんって。」
『いいか、良く聞くのじゃ。お前は魔法使いじゃ、昨日の検査で魔力反応が出た。』
「ファ!?」
突然な展開に思わず変な声が出てしまったが、それ以上になんだこれ、嬉しい!!
「と、とりあえず俺はその大会に行かないといけないんですか?」
『随分とワクワクした声に聞こえるが、行きたくないのか?』
「行きます!!」
『よし、今すぐ出発しろ。開会式までにこっちへこい。場所はそこのジャストに聞くと良い。待っておるぞ!』
そう村長が言うと青い光が消え、壁に写っていた映像も消えた。
「よっしゃぁ!!俺も自分が魔法使いってのは最初からわかってたんだよハハハ!!」
「さっき二度寝しようとしてましたよね?」
「さぁ?」
俺が惚ける間にジャストが魔法で大陸の地図を作り、ペンような魔道具で書き込んでいた。大きな丸で一つの町を囲んだが、
「ここです。」
場所が場所だった。
「おいマジか…」
「別に遠い場所でもないでしょう。」
いや、そういうことじゃないんだ…
「だってここ…」
俺はうつむき頭を抱え叫んだ。
「レイト教の領内じゃねぇかっ!!!」




