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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
二章 魔法世界編
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35話 村人の怒りは尋常じゃない!

 「帰りにヤンドル村に寄るんですか?あのサーリスが住んでるっていう。」


サーリス・フレーア。ストラシア大陸最強と言われるの魔法使いの一人、サリーのお兄さん。


「サーリスさんのことを知ってるのか?」


「あの人には若い頃に勝負挑んでは負けてましたからね。まぁ今は俺の方が強いですけど。」


「おうそうか、興味ねぇ。」


「冷たいっすね…」


「質問したいことがあるんだけど、俺に魔臓があるかどうかを村長に教えてもらおうと思ってるんだけど、お前じゃわからないのか?」


「あの規格外ジーさんと比べないでくださいよ。戦闘力はないとは言えども透視魔法や推理魔法みたいな超級の魔法をいくつも使えます。正直あの人と面と向かって会話なんてしたくないですね。」


そういえば以前俺も村長に「神の力を持つ者」であることを見抜かれたことがある。きっと俺が転生者であることも、その経緯についても見透して知っているだろう。


「正直、先輩に魔法が使えるとは思えないんですよね。」


「え?」


「魔法は遅くとも生後半年には発現します。先輩は転生してきてから既に7年近くたってます。今の時点で魔法が発現してないってのはあり得ないです。」


「え……魔法使い、なれないのか?」


「はい」


「そんなぁ…」


「そこまでガッカリすることじゃないでしょう?今だって神の力で十分強いじゃないですか。」


「まだ強くなりたいんだよ!!それに魔法ってなんかカッコいいし、便利だし!」


「またバカなこと言ってるわね。」


お盆の上にコーヒーや何やらを乗せ、雪見が戻ってきた。


「バカとはなんだ!お前だって使えたら嬉しいだろ?」


「私、魔法使いだけど?」


「え?」


何の前触れもなく、そう言われた俺は固まった。


「イーリカ大陸への旅の途中になんか手から急に火が出てさ、ジャストに聞いたら魔法だって。言ってなかったっけ?」


俺の前に手を差しのべ


「バーナー」


雪見がそう唱えると手の上に火柱が立った。


「ね?」


「うまいうまい、大分上達したな。」


「ジャストの教え方がうまいのよ。」


パチパチと拍手をするジャストに雪見が笑いかける。何故だろう、すぐにでも魔法を覚えてジャストを潰したい。


「おいジャスト!瞬間移動魔法使えるか?」


「使えますけど…」


「よし、今からヤンドル村にとんでくれ。」


「「は!?」」


「サリーのこと待たなくていいの?」


「もう待ってらんない!ジャスト早くしろ。」


「はぁ…わかりましたよ。」


俺はジャストの肩に手を置く。


「ちょっと、他のお客さんがやや引きぎみにこっち見てるから外でやってよ。」


雪見の指摘を聞いて辺りを見回すと客達が男の肩に手を置く俺を見てコソコソと話している。どっちにしろこの場から消えたい。


「うるせぇ!唱えろ!」


「は、はい!る、ル○ラ!!」



ーー2時間後ーー


「もうダメだ…休憩しよ。てか、もう一回魔法使えよ。」


「できないからこうして歩いてるんですよ。司教様が急いだせいで今日一日分の魔力使い果たしちゃったじゃないですか!」


俺とジャストは草原をフラフラと歩いていた。ジャストが魔法の詠唱をミスったせいで目標のヤンドル村からかなりそれた場所に瞬間移動してしまったのだ。ここまでの長距離の移動はさすがのジャストでも魔力切れを起こしたため、しょうがなくそこから歩いてヤンドル村を目指すことになった。


「み、見えたぞ…」


「ようやくか…」


既に時刻は夕方時、広大な草原にポツリと現れた小さな村が長い影を伸ばしている。


「ヤンドル村久々だな。さぁジャスト、ここからが本番だぞ!」


「え…どゆこと?」


柵で囲まれた村に一つだけある入口に俺が立った。そして、俺を一人の男が見つけた。


「旅人か?ん…!?そのお顔!忘れるはずがありません!!『エロ神』様!!!」


「『エロ神』様!?」


「どこだ!?」


入口付近が大パニックになるが、これは想定通りだ。俺は村人達に挨拶しながら、一歩ずつゆっくりと村の中心の村長の家に向かう。


「あの…司教様、これはどういう状況ですか…?」


話すと面倒臭すぎる、ここはスルーで後で教えてやろう。そして、まずは村長の家にたどり着く!!

俺の周りに数十人規模の人だかりができ、ついに歩くのが難しくなった。ここは、あれを使うしか無さそうだ。


「《風》!!」


《風》の力で足の裏に小さな竜巻を発生させ、俺は空中に飛び立った。


「「「「!?」」」」


「『エロ神』様!!!やはり貴方は神だ!」


「我らに性なる導きを!!!」


「おぉっっー!!!!」


この村じゃ俺は『エロ神』、性の神と思われている。以前に《性》の力を使って助産をしたことが原因だ。いやしかし、この旅の前に覚悟はしていた筈だったが、改めてこの村の恐ろしさを知ることができた。


「ちょっと!!司教様!!置いてかないで!!」


空中で浮遊する俺の足元で民衆に飲まれながらジャストが助けを求めてきたが


「頑張れジャスト・ユグリッツ。」


「「「「!?」」」」


「おい、よく見たらこのエロ神様と一緒に来た奴ジャスト・ユグリッツだぞ!!」


「ジャスト!?いつもヤンドル村のことを鳥小屋とか世間でバカにしているというあのジャストか?」


「この顔、間違いない!!新聞で見たことあるぞ!」


ジャストが俺に救援の視線を送ってくるが、この件に関してはお前が悪いとしか言えない。そして、一人の屈強そうな男がジャストの前に立ちはだかった。


「聞けばお前、最強の魔法使いの一人だよな。なら、俺たちと相手なんて余裕だろ?」


「ちょ…待って…今は魔力が…助けてください司教様!!…っていない!?」


少し可哀想だが、ジャストを劣りに一気に飛んで村長の家の玄関にたどり着いた。そして、それと同時に玄関扉が開き、杖をつきながら村長が出てきた。


「こんにちは村長。」


「ほぉお前さんか。なるほど、自分に魔臓があるか教えてほしいってとこじゃな?」


この人には考えてることが全てお見透しだ。少し気味が悪いが覚えてみたいとも思う。


「で、この透視魔法が覚えたいと?」 


「一々心の中を見ないでください!!」

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