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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
二章 魔法世界編
34/60

33話 双子だからって性格は一緒じゃない!

 六年、それは小学校の入学から卒業まで、中学の入学から高校の卒業まで。長いようで短い、短いようで長い、そんな歳月だ。

 俺は四年おきの司教選で再選し、今までと変わりなく仕事をしている。パールも再選し、今日も共に仕事部屋にいる。


「今日も少し早めに帰るよ。」


「私も十時頃には仕事片付けて帰るから、ご飯置いといて。」


「ジェスに行っとくよ。じゃあ頑張れよ。」


こんな感じでパールも既に江口家の一員である。それにしても何故俺が早く帰るのかというと。


「ただいま!」


夜の七時頃に家につき、ドアを開けながら明るく言う。これが最近の日課だ。そして


「「おかえりなさい!!」」


小さなそっくりな二人の男の子が俺を迎えてくれる。


「おかえりソータ。」


サリーが男の子たちの後ろに立っている。


「ただいまサリー。」



彼らは六歳の双子でヨクセルの孤児院にいた所を俺が養子として引き取った。名前はシオンとレオン、彼らを残していなくなった両親がつけた形見のようなものだ。


「二人とも学校はどうだった?」


「父さん聞いてください、やっと友達ができました。」


「よかったな!仲良くしろよ。レオンは?」


「俺は二年をぶっ倒した。」


双子とはいえ、性格は全然違う。シオンは引っ込み思案な性格、対してレオンは活発で強気な性格だ。そして喧嘩っぱやい。


「レオンまたやったのか...」


「だってアイツらが司教の拾い子って馬鹿にしてくるから。」


「拾い子であることは間違いじゃないし、変なことでもないから聞き流せ。喧嘩なんてするもんじゃない、見るものだ。」


現実世界で普通野郎だった俺からすれば喧嘩=見物イベントでしかなかった。我が子が喧嘩とは黙ってられない。


「レオン凄いです!年上を倒しちゃうなんて!」


「お前も尊敬するな!」



 二人がやってきてから、ようやく家の部屋が埋まった。食卓のテーブルも大きいものに買い換え、食事のメニューも少し変わった。俺が帰ってくるの待っていたせいか、双子はお腹を鳴らしている。


「よし、ご飯にするか。」


既に盛り付けされ、ラップしてキッチンに並べられた皿をサリーが魔法で温め、俺とレオン、シオンが運ぶ。夜中までレストランの仕事があるジェスが夕方ごろに帰ってきて、作っておいてくれる。


「ジェスさん、今日も遅いんですか?」


シオンがサリーに皿を受け取りながら寂しそうな顔で尋ねた。


「シオン達が寝た頃に帰ってくるわ。彼女、料理家としては天才だから、気に入られているのよ。明日は早く帰ってくるはずだから、そしたらお疲れ様とか言ってあげてね。」


「はい!」


最近少しサリーが優しく&賢くなった気がする。以前まではちょっとした魔法バカだったコイツも魔法を人のためや役に立つことに使うようになった。


「何気持ち悪い目でニヤついんてのよ。エロ神。」


「おいっ、ちょ!」


「「エロ神って何?」」


その話に関しては息子たちには話していない。『エロ』の部分に触れられたらたまったもんじゃない。


「サリー…このやろう…ん、なんだこれ?」


皿を置いているとテーブルに置いてあったサリーの字で書かれた手紙に気がついた。


「それヤンドル村の兄さん宛の手紙。近々トウキオのホテルに行こうと思うわ。そのついでにヤンドルに寄ろうかなって。」


「そういえばだいぶ前に俺も村長さんに魔法使いか見てもらおうと思ってたんだ。」


「ついてくる?」


「どうしよかな…シオンとレオンを置いていくにしてもジェスもパールも仕事あるし。」


「なら、あの二人に預けましょ。」



 3日後、俺とサリーは本部の隣に建設された大司教館に双子をつれやってきた。


「おい颯太、お前相談もせずに来たな。」


「ホント、私達だって暇じゃないんですから。」


だいぶ老けてきた二人の大司教が俺に文句を浴びせるがここは無視し


「シオン、レオン、おばさんおじさんの言うことをキチンと聞くんだぞ?」


「「まだ若いわ!!」」


「なんですか、今の仕事にご不満ですか?定期的にしか仕事がないこの外交の仕事が嫌なら、変えますが。今ちょうど本部の清掃員が二枠…」


「「どうぞいってらっしゃいませ司教様。」」


「助かります。」



 二人を美香さん達に預け、俺とサリーはジャングルとの境目である町の入口に向かった。この巨大なジャングルはヨクセルを含めたモンジル教団領全体を囲むように形成されている。そして、外から中へのワープ魔法は使えないため、帰りは数十キロのジャングルを越えなければならない。


「この下り十数回はやったけどさ。帰りどうする?」


「…」


「おい、黙るな。」


年に数回ある神ゴール同盟との会談の際はいつも苦労してやっとのことで帰った記憶がある。


「その事は後で考えましょ。忘れ物ない?」


「ないよ、いつでもいける。」


「OK!」


俺がサリーの肩に手を置くと、サリーが唱える。


「ル○ラ!」

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