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俺は「エロ神」じゃない!   作者: 柳原テツロウ
一章 異世界転生編
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12話 雪見の強さは尋常じゃない!

雪見が町に来てから5日後の朝、やっと仕事から翔弥が帰ってきた。雪見も挨拶ついでに本部に来ていた。


「仕事は終わったか?」


「は、はい…もちろん…。」


目の下にくまができ、ゲッソリとした颯太が大量の書類をドサッと机にのせる。


「美香はどこだ?」


「まだ、寝込んでるんですよ!!あの人、全然よくならないじゃないすか!!」


「またか…相変わらず体調崩すと復帰まで時間かかるなぁ。」


「おかげでこっちは連日徹夜ですよ!!」


「まぁまぁ良いじゃない。宿もただで貸してあげてるんだしさー。お、そこの君、颯太の彼女かい?」


「違いますよ、俺の幼馴染です。」


「へぇー、幼馴染かぁー。はぁ!?ちょ、え?なにいってんの?」


「どうも香取雪見です!一様、こういうものでして。」


雪見が金のペンダントを翔弥に見せる。


「あ…ぁ。ゴホン!!とりあえず、なんとなく状況はわかった。で、君も特訓希望かい?」


「はい!是非やりたいです!!」


「颯太も含めて今日から特訓だ!!」


「俺の徹夜の意味は一体!!!」


シクシクと泣く颯太とそれを見ながら笑う雪見、そんな二人をつれ翔弥がやってきたのは


「コロシアム?」


「あぁ、今日は試合が休みだからな。」


「で、ここで何を?」


「ここまで来たらわかるだろ?戦うんだよ。」


「いやぁ…それはちょっとさすがに…」


「どうした?か弱い女の子相手には戦えないと?」


「逆ですよ!!こっちが殺されますって!!」


「え」


「『え』じゃないですって!!」


「へぇー、戦い?面白そうじゃん、やろう颯太!!」


(あぁ…こいつには勝てる気がしない…。小学生の頃だってスカートめくっただけで全治二週間の怪我負わされたんだぞ!!無理だから!絶対幹部とかより強いから!!)


「この特訓でまずは自分の能力について知ることを意識しろ。それがコントロールのコツの一つでもある。さぁ、位置につけ!」


「くそっ!やるしかねぇ!!」


「掛かってきなさいよ、普通野郎!!」


「バトル!!開始ぃぃっ!!!!」


翔弥の合図と共に檻から放たれた獣のように雪見が颯太に殴りかかる。


「しねぇぇぇっっ!!!」


そしてもちろん颯太は逃げ回る。


「こ、こ、こっち来んなぁ!!!」


全く能力を使わない二人を翔弥が呆れた様子で見ている。


「お前ら能力を使わんか!!」


「無理ですって!!そんな急に!!ギョエェェェェッッッ!!!!」


ついに颯太の背中を雪見が掴んだ。


「さぁ終わりよ!!オラァァァー!!」


雪見の鉄槌が颯太を今にも貫こうとしていた。さぁ、そしてここで颯太の目が青く光り始める。雪見の鉄槌をかわし、そのまま後ろへと下がる。


「青く光る目!?」


「うっせぇな雪見。てめぇ、姉でもねぇ癖に調子のってんじゃねぇよ?」


「あぁん?今なんつった?」


雪見の周りから蒸気が上がり始める。



5分後



「ごめんなさい、雪見の姉貴。もう二度と逆らいません。」


ボコボコにされた颯太が青い目のままの状態で土下座をしている。


「えぇ…なんかやられちゃってるよ…」


翔弥も驚くことにローブ帝国の幹部にも打ち勝った青い目の状態の颯太を圧倒し、ボコしてしまった雪見。


「性格が変わろうが颯太じゃ私には勝てないわ。」


「いや、正確にいうと性格じゃねぇ。『セイカク』だけに?」


「あ?」


「す、すいません。簡単に言うと俺は颯太の中のいる他の颯太だ。」


「他の颯太?」


「つまり、全くの別人ってことが言いてぇんだよ。記憶は共有してる。だけど、思考とかは一切違う。」


「なるほどね、ちなみに何人の颯太がいるの?」


「本人を抜いたら5人、性、雷、光、風、炎の力の人格がある。ちなみに俺が雷だ。」


「颯太があなたたちの力を使いこなすことはできるの?」


「結果から言えば無理だ。あいつの力でこの5種の力を使いこなすなんつー話は不可能だ。」


「そ、そうなんだ…」


「だが、あいつが俺たちを自分の意思で呼び出すことはできる。今は本当に危険な時とかにしか俺たちを出せない。」


「なるほど、脳が本当に危ないと感じたときに強い信号を自然に送っているのね?」


「そういうことだろうよ、俺からの奴へのアドバイスは一つだ。俺たちはお前だ。」


そう言うと青い光から目から消え、元の颯太に戻っていく。


「大丈夫?颯太」


「あぁもう慣れた。『俺たちはお前だ』ってどういうことだ?」


「さぁね。とりあえず、この特訓続けてみましょ。」


「あぁ、他の俺も引っ張り出せるかも知れない。」


「さてお前ら、もう一戦やるか?」


「「はい!!」」


そして、それから一週間に及ぶ戦闘による特訓が始まった。雪見に毎日何回も負けてボロボロになりながらも颯太は諦めず、ついに雷を呼び出すことに成功した。


「成功したみたいだな。」


「あんたのおかげよ。それにしても、今回の修行中やたらと貴方が出てくるわね。他の四人に関しては性(ピンクの目)が一回だけ出てきただけよ。


「そりゃそうだろ、あいつを気に入ってんのは俺だけだ。」


「え、そういう仕組み?」

 

「性の奴は妊婦がいたら出る傾向が多い、光(金色の目)もよほどの悪がでてこないかぎり動かねぇ。」


「あんたら割と自己中集団なのね。」


「俺はあいつの微妙に曲がった性格が気に入った。だから、呼ばれたら出ている。」


「つまり、奴等の心を動かせれば良いという訳ね。」


「そういうことだ。」


特訓が終わった後も颯太は一人でボソボソと話すことが増えた。他の颯太たちへのメッセージを送っているのだ。でも、出てきてくれるのは雷だけ。


「ダメだ…雷しか出てこない…」


「まだまだ大丈夫よ!私だってまだまだよ。」


「嘘つけ、お前ほぼ完璧に力を操れるじゃないか…シクシクシク」


「どうしよ…」


「おい颯太、あんまし気張るなよ。雷がいるだけでも頼もしいと思え。」


「翔弥さん…」


「そんなお前に提案だ。」


「なんですか?」


「美香とバトってこい。」


「いやいやいや…強すぎますよ…」


「確かにあいつは強い、この大陸でも最強三人と言われるほど強い!」


「そんなに凄いの!?」


「あいつと戦えば何か掴めるかもしれない。」


右手の拳を強く握る颯太。


「はい、やります!!」


「よし!じゃあ明日、本部へこい!まぁあいつも病み上がりだからな、優しくしてやれよ。」


「そういえばあの人、一昨日まで風邪で寝てましたよね?」


「15日間という過去二位の大記録だ。」


「一位はもっと長いんですか!?」


「あぁ…」


「ん?」


「まぁこの話は今度してやるよ。」


翔弥の顔が急に暗くなったように颯太には見えた。

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