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異能力バトルの世界で  作者: 悪死姫
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記憶

部屋に戻ってベッドにダイブする。

なんであんな事を言うの?

私は何も覚えてないけど…幸せなんだけど。

枕に顔を埋めると囁かれた言葉が脳内再生。

『俺の嫌いな奴を殺してくれて感謝する。それだけだ』

何よ!?こんなセリフ吐かれたって…。

「あーもう…」

美咲を抱きあげて私は言う。

「美咲、新しいお洋服いる?」

「分かった。フリルが付いた赤色のドレスね」

ベッドから降りて机に向かい合う。

赤い布をタンスから出して、寸法を測る。

「此処にフリルを付けて…眼帯に似合う格好でいいかも」

布を切って縫う。

「他の人形にも服を作ろうかな」

気づけば沢山の洋服を作っていた。

「まだ…もっと作りたい…」

急に襲う睡魔と戦いながら服を作り続ける。

「…もうダメ…」

目を閉じるとすぐに寝てしまう。

椅子から落ちそう…。

あれ?身体が浮いてる。

夢かな。

って、椅子から落ちたのかも。


窓に差し込む朝日に目を開ける。

ベッドの上じゃん。

「あれ?昨日ベッドで寝たっけ」

身体を起こして天蓋から顔を出す。

机の上は散らかっている。

「誰かがベッドまで移動させてくれたのかな」

髪の毛を久しぶりに結んでみた。

頭の上で結んでも肩ぐらいの長さだけど。

腰までの長さって多元に居ないと思うけど。

「…出かけようかな」

「美咲、お留守番できるわね?」

それだけを言い残して宮辻さんを探しに行く。

此処に来て4日が経つんだな。

なんか、馴染めちゃったけど。

「宮辻さんを知りませんか?芥川さん」

廊下で新聞を読んでいる芥川さんを見つけた。

『ん?おはよ、麗奈ちゃん。今思うと可愛い名前だ。で、要件の宮辻はTRHKに行ってるよ』

「どう言う意味?あと、嬢ちゃんがいいな?」

『取引の隠語だな。いつもの癖で悪い。宮辻に要件なら伝えるが?分かった、嬢ちゃん』

「出かけて来ます」

『金は?』

「ないですけど」

すると、手のひらに札束を握らされた。

パット見るけど、10万はあるだろう。

「え、えっ!?こんなにも」

『俺の給料。麗奈ちゃんのお小遣いだ』

「申し訳ありません…。あと、ありがとう」

お礼を言い玄関まで走る。

人形とかの材料が欲しいからなぁ。


狭い路地を抜けると広場が見える。

人が多いな。

「何処に行こうかな」

街を歩いていると声をかけられた。

『よぉ、姉ちゃん?一緒に遊ぼうぜ?』

チャラチャラしている男性。

金髪にピアスを沢山つけてる。

「無理です」

『いいじゃんかぁ?そうだ、欲しい物を沢山買ってやろう!』

「いりません」

逃げようとした瞬間だった。

『チッ…人が親切にしてんのにさぁなんで、帰ろうとするんだよ。こっち来い』

買物をしている人が何事かと思い視線が集まる。

嫌っ。

「離してっ!」

能力を使ったら負けだ。

お願い、出てこないで!

『黙れ』

ダメだよ…もう。

イライラするなぁ。

「テメェと遊ぶ馬鹿が何処に居るんだよ?死ね」

すると、無数の糸がでて来る。

『グハッ!』

チャラチャラしている男性の首を私は、跳ね飛ばしてしまった。

一瞬の出来事だったけど、確かに人を殺した感触が。

『人殺し!』

『殺人だ!』

買物をしている人がパニックになってしまう。

「嘘…嫌だ…まだ…うわああああああああああああああああ!」

せっかく、人形の材料を買いに来たのに。

また、人を殺しちゃったよ。

『アホだなお前…。喪失トリック』

後ろから声が聞こえる。

この声、聞き覚えが…。

でも、一瞬にして悲鳴が消えている。

「えっ?」

『アホかよお前。自分で異能を使っといて泣きわめくとか』

神代さんの声だ。

『俺が此奴こいつらの記憶を消した。死体が転がっているがお前の顏は覚えていねぇよ』

話が追い付けない。

どうしよう。

『チッ…帰るぞ』

「まだ…人形…買ってない」

『めんどくせぇな。諦めろ。珍しく外に出たっていうのにこの騒ぎ』

「…ごめんなさい」

『帰るぞ』

「…うん」

抱きあげられて屋敷に帰る事にした。


『…よぉ、兄貴』

『此奴を頼む。帰る途中に寝てしまったらしいが』

『何があった?』

『人を殺した。異能でな』

『…そうか。分かった』

話声が聞こえる。

でも、なんで、必要以上に能力が出ちゃうの?

私の我慢が足りないから?

お母さん…。

美咲…。


「また…寝てる…」

最近、睡眠を多くとってるような。

「なんでっ…なんで、お母さんは死んで私だけ助かっちゃうの?」

記憶がないから覚えてない事も沢山ある。

鏡を見ると左目は奇妙に光っていた。

「…赤色はルビー。ネックレスみたい」

首に付けてあるネックレスに触れた。

その瞬間だった。

無数の淡い赤色の光が部屋を包む。

これは夢だよね?

あれ?

身体が熱い。

溶けちゃう。

痛い。

「痛い痛い痛いよっ…熱いっ…溶けちゃう…アグッ!」

ベッドから転げ落ちてもがく。

手足が捥げる感覚に身体が溶けていくような感覚。

熱い…。

「止めてっ…」

視界がぼやけて来た。

死んじゃうのかな。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・


「嫌っ!止めて!人形を壊さないで」

『はぁ?こんな人形の何処がいいんだよ』

あの人は誰?

誰かの夢の中?

『フッ…』

ーバギッー

人形が踏みつけられて壊れた。

手足が捥げてる。

「嫌ぁあああああああああ!」

『操り人形なんてお前には似合わねぇよ…。借金返済をしねぇ奴は殺すのが当たり前だ』

「ううっ…お願い…生れて来る子供の為に期限を頂戴…」

『期限だと?』

「双子だから、この子達が13歳になったら殺していいわ…13歳ならしっかり者だから」

『綺麗ごとを言うなよ。それにこの人形なんてな』

暖炉の中に放り込まれると時間をかけて人形が溶けていく。

この人は私のお母さんだ。

男の人は誰。

「人形がっ…私の人形が…」

『連絡をくれ。子供が生れたらお前の命の期限のSTARTだ』

そう言うと男の人は帰って行った。

歩けない。

お母さんに会いたい。

喋りたいのに。

「…人形が…溶けているわ…お気に入りだったのに」

床に座り込み暖炉を眺めているお母さん。

お母さんから聞いた話って、この人形の話なんだね。

美咲は呪いに耐えていたんだね。

私は幸せだったのかな。


『伯東、大丈夫かい?』

目を開けるといつもの部屋。

身体が楽になっている。

「私…何があって…」

『熱が出て5日間うなされおった。伯東は少しづつ覚醒しておる』

5日間も熱でうなされていたんだ。

「覚醒…?」

『神代から聞いた話じゃが伯東は、母親を殺しているらしいの。それが第一の覚醒じゃ』

神代さんって何者なんだろう。

「母親を殺した?お母さん…を私が殺した…」

『覚醒した後は記憶を無くすんじゃ。第二の覚醒をしたら命はないかもしれんの』

記憶がない理由ってそれかも知れないんだ。

『覚醒がしたくないのなら、覚醒の原因を突き止める方法が残っておる』

なら、全てを話そうかな。

覚えている事だけ。

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