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43章 パワーレベリング

 「これ、俺らいるのかね?」


 「ほえ~サオリちゃんはこれ見えてるの~?」


 「大賢者のスキルに思考を加速できるのが出てそれのおかげでなんとかね、

 たぶん各職の上位職に同じようなスキルが有ると思う。」


 「それは楽しみだ、ってもう終わったか。」


 PTLが塔へ侵入できる条件が揃っていればPTMは問題なく塔へ入れることがわかった。今は1階から上がっている。

 一階とはいえヒマワリちゃんやダイチさんにとってはハイレベルな敵がわんさか出るエリア、戦闘をこなすごとにメキメキとレベルが上がっている。


 「い、今までの苦労が……」


 「わかる、最初は私もそう思った。諦めるしか無いよ。」


 「え~いっぱいスキル取れるし、たのし~じゃん!」


 そんな話をしているうちにもタカシとウーニャは次々と敵を倒していくのである。


 そんなこんなで4人のパワーレベリングも進んでみんなタカシとウーニャの高速戦闘を認識できるようになり(スキルを手に入れて)戦闘支援が円満に出来るようになっていった。


 今日は61階からの攻略を目指す。メンバーはトシアキアンリペア。

 魔法による撹乱デバフなどは非常にありがたい。

 

 「ここしばらくパーティプレイしてたけど、戦略の幅とかも当然そうなんだけど、なによりも楽しくていいね。」


 「そうニャ! 楽しいニャ!」


 「ちょっと私達が楽しすぎな気もするけどね。」


 「そんなことないニャ! 敵が柔らかくなってすごい楽になるニャ!」


 「ウーニャちゃんはかわいいねー」


 羨ましいぞ変われ! そんな目線でサオリに抱かれているウーニャを見ているとサオリにあっかんべーされた。 かわいい。


 最初の気構えが肩透かしになるくらい攻略は進んでいた。

 バフとデバフの重要性はほんとに高い。

 さらに攻撃の援護もあることから殲滅速度は目に見えて早くなっている。

 サオリが一手に引き受けていた支援が分散することで戦略分析もはやくなり、

 それをサオリが他のギルドの人達に教えていけば全体としての攻略効率もあがっていく。

 

 「ボスは人型かぁ、人型は強いってのがお決まりなんだよね今までからすると」


 「宮本武蔵ですからね、強いでしょうね。」


 「強い奴と会うとワクワクするニャ!」


 「どっかの戦闘民族みたいねウーニャちゃんは。」


 「まずは様子見で行ってくるニャ!」


 言い終えるとウーニャは高速で敵に突っ込んでいく、

 それに反応して日本刀の一閃がウーニャに迫る。

 

 「早いね、まともに撃ち合えるのはタカシくんとウーニャちゃんぐらいね」


 俺は日本刀での打ち合いができると内心ワクワクしながら距離を詰めていく。

 ウーニャに打ち下ろした返す刀が迫る、俺は落ち着いて最短距離を突く、

 俺の意図を察してか下方から切り上げを途中で止めて素早く距離を開ける、

 やはり、強敵だな。

 ボスにデバフはあまり通らないのバフをしっかりとして攻めていく、

 卑怯だけど俺が正面から鍔迫り合いのような状態になっている隙にウーニャが攻めたり後方から攻撃を加える。


 そういえば心配していた同士討ち(フレンドリファイア)はなかった、

 PT単位で攻撃が当たらないシステムになっているようだった。


 ウーニャの攻撃に反応してそちらに向かえば俺がその隙を突く、

 ちょっと敵が可哀想だけど、こういうものだよ戦いはと自分に言い聞かせる。

 人型と戦う時の嫌なことのもう一点が、人の形をしたものを攻撃する罪悪感だったけど、それももう無くなっている。切っても血が出ないからねそこはほんとうに良かった。

 

 まぁ、そんなことを戦闘中に考えられるほど余裕を持って戦えるぐらいなので、雑魚よりは時間がかかったけど宮本武蔵さんは光となって消えていった。


 「加速してるはずなのに二人の動きが追えなかった……」


 「ウーニャとマスターはもうひとつ上の超加速してるニャ」


 「なるほど、ほんと凄いんだねぇ二人は」


 「えっへんなのニャ!」


 「でも、この調子なら塔攻略も問題なさそうだね」


 「だね、早いとこ天空城に行って絶対神様に話聞いてもらわないと」


 


 「70階攻略おつかれさまでした、かんぱーい」


 「「かんぱーーーい!」」


 区切りがいい時はいつもの宴である。


 「いやー、タカシたちとレベル上げしたからフリーパーティに誘われることが多くなって忙しいよ!」


 「上位ギルドの人並みのレベルまで来てるからね~ダイチもヒマワリも香川さんに声かけられたよ~」


 「ただねーちょっと僻みっぽい声も上がってるんだよね」


 「あー、そりゃそうですよね。なんかすみません。」


 「いいのいいの、気にしてないから。それに別に普通に生活するのに上層階攻略なんて必要ないからね、日銭は十分稼げるし不満ない生活は送れるからね。」


 「戦闘でも死なないし、この世界は優しい感じだよね。」


 そんな会話をしながら食事と少しのお酒を楽しんだ。

 労働の後のビールの美味しさを少しづつわかってきているタカシであった。




 その後も特に大きな動きもなく塔攻略は進んでいる。

 今日はみんなの予定が合わなかったのでサオリと久々の二人と二匹での攻略だった。


 「やっぱ、殲滅速度は目に見えて落ちるねー」


 「3人分人手が減るし仕方ないと思う」


 「敵が固くて手がしびれるニャ」


 敵も倒せるし危なげもないんだけど、時間はかかる。

 まぁ、ソロプレイの日々を考えればなんてことはないんだけど問題は、


 「もう3時になっちゃったからここまでね」


 「85階、5階だけかぁ……しかたないね。」


 内部時間が一緒になったので時間がかかると攻略が進まないんだよね、

 中でキャンプとかするにしても夜襲を警戒しないといけないし、それこそ二人では難しい。お昼ごはん持ち込んでやっても8時間ぐらいが気を張り続けている限界だとサオリも言っている。


 「次はどっちか捕まるといいんだけどね」


 「まぁ、ゆっくりとでも進めていこう!」


 「はいニャ!」


 ゆっくりと、でも着実に攻略は進んでいる。

 

 結果として塔攻略を終えたのは、タカシがこの世界に戻ってきてから半年を必要としたのであった。



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