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30章 戦い

 さすがラスボス。

 もしくはさすがはウロボロスなんだろうね。

 

 ゴウっ!


 目の前を巨大な拳が唸りを上げる、絶対神の身体は自分のウロボロスをムキムキマッチョにした感じだ。

 それでいてスピードも今までの敵の中でも最速。

 ハッキリわかる。

 このゲームを作った絶対神は戦闘バランスの調整をしていない。

 クリアできるような作りにさえしていないな……

 こんな敵どう考えても俺みたいなチートがあるから渡り合えるだけで、

 このゲームのシステムに従った普通のプレイヤーでは絶対に倒すことは出来ない。

 しいて言えば、

 Lv99までしか上げられない主人公がLv9999のラスボスがいるゲーム。

 そんな感じだ。


 『クソゲーだな……』


 『? マスターなにか言ったにゃ?』


 『いや、強すぎだろって思っただけだよ』


 『でも、ウーニャたちのほうが強いにゃ!』


 そう、俺達の方が強い。さっきの話で言えば俺はレベル制限もステータスの限界もないプレイヤーなんだ!


 それでも簡単にはいかない、今までのボスよりは遥かに行動の自由度が高い。


 俺のウロボロスもあの世界に行った絶対神の師匠とやらが作ったものらしいし、このボスもそうなんだろうね。適当な戦闘ゲームできちんと作りこんだ部分ってことだろう。


 四方八方から迫る敵の攻撃を躱し、受け流し僅かな隙をウーニャが攻撃。

 今では俺が防御を担当してウーニャが攻撃を担当している。

 ウーニャに攻撃の矛先を向けないためにわざと隙を作ってみたり、

 攻撃しようとした機先を抑えたり、防御に徹していてもかなり忙しい。

 それでも前の轍は踏まないように冷静にそして時に激しく作業をこなす。

 

 『それにしたって、硬い!!』


 『リジェネ持ちみたいで少しでも手を休めると無駄になるニャ』


 『伊達に3年も延々とバトルを一人でやってきた俺を舐めるなよー!』


 『所々寂しいのニャ……』


 同情するなよ、泣きたくなるだろ。


 チッ


 軽く敵の攻撃に触れてしまう、一瞬の油断で軽く触れただけでその一撃がクリティカル。

 唯一の幸運はHPがほんの少し残ったこと。

 今のはいけない、完全な油断。

 気を引き締めなきゃ、そう思った瞬間。

 

 ビリッ


 敵が触れた部分に違和感を感じた。

 ほんの一瞬してその違和感が何なのか気がついた。

 

 痛み


 『痛い……痛い! いてー! ぐわ!! 超いてぇ!!!』


 『痛みをマスターが感じるはずが無いニャ!』


 『痛いもんは痛い!!』


 『ホントなのかにゃ!? 不味いニャ! 一旦撤退ひくニャ!!』


 なんとか攻撃の隙間に大きく距離を取り、戦闘離脱を行う。

 それこそ至難の業だけどウーニャが防御に徹してくれている隙に、

 アイテムがどうのとかそういう説明がうざかったが今は塔の前に撤退できている。痛みも外に出ると消えていた。


 「可能性としては、相手とマスターが同じものだからっていうことニャ。」


 今はウーニャと作戦会議。


 「ウロボロスと同一化したマスターが同じ存在に攻撃を食らうとマスター自身にその影響が届いている可能性があるニャ。」


 「別次元で戦っていたけど、今回の敵は同次元みたいなことかな?」


 「それが正解かはわからないニャけども、たぶんそれに近い感じだと思うニャ」


 「まぁ、なんであれ実際に俺が痛いと感じたんだからそれが事実だよな……」


 「ウーニャは中の人などいないのでなんともないニャ、カフェもそう言ってるニャ。」


 外に出れば痛みも消えていたし、体自身にもダメージはない。

 ただ戦闘中の痛みは本当だった。

 しかもかすっただけでもトンデモなく痛かった。

 HPを持ってかれる感覚に引っ張られて俺が痛みを感じているんだろうか?

 問題は、


 「死んだらどうなるのか試すわけにいかないよな……」


 輝石による復活が無いから撤退になるんだけど、

 死んだ場合意識がどうなるんだ……?

 今までなら撤退を選べば撤退できたけど、

 ほんとうに、そこで終わってしまうんじゃ?


 ゾクリとした。


 正直いままでゲームだから頑張ってきているし、そして無茶が出来た。

 本当の死?

 それを目の前にちらつかされて、それでも挑めるのか?


 「とりあえず、今日はもう休もう。」


 「わかったニャ……」


 心配そうなウーニャの言葉は伝わってくる、でも、


 「ウーニャ、悪いんだけど今日はカフェのところで寝てくれないか?一人で考えたいんだ。」


 無言でウーニャは姿を消した。



 


 俺はプールサイドに腰掛けて空を見上げている。

 今の現状で取るべき選択肢を考えている。


 1.死を恐れずにアイツを倒す。そして絶対神に気がついてもらって、

   サオリの世界へ連れてってもらう。


 2.死を恐れて諦める。

   いつか気まぐれで絶対神が気がついてくれることに期待する。


 3.輝石を枯らせてダンジョンで死ぬ。


 いろいろと考えていたけど、このどれかになる気がする。


 1はわかりやすい。

 ただ、死ぬかもしれない。

 さらにアイツを倒せば本当に絶対神に気がついてもらえるのか?

 本当にサオリの世界へ連れてってもらえるのか?

 これは前々から何度も思っていたことだ。

 なんの保証もないけど、まぁ大変だけどやってみる価値があった今までと、

 最悪、死、が待っている今では話が違う。


 言ってみれば2はそのリスクを除外して時間というもので解決を図る。

 ただ、ずーっと気がついてもらえない。

 何も起きないという可能性もある。と、いうかそれが高そうだと思う。

 数千年単位、もしくはそれ以上このままという可能性もある。


 3はなんか、非常に分の悪いギャンブル的な選択肢で、これはないなと自分でも思う。たぶんサオリを諦める選択肢だと思うし。

 そう考えると1の死がさらに重くのしかかってくるんだよね……


 サオリ……


 花江 早織


 中学3年なんだけど見た目は小学生、ちんまい。胸はちんまくない、立派。

 綺麗な黒髪と白い肌、そして幼く見えるけど整った顔立ち、

 可愛いのになぜか人生に絶望してるような目つきが印象的だった。

 なんか男嫌いらしく最初はツンツンしていた。

 いきなりボロボロの村に一緒に連れてかれて、

 輝石の魔力に俺がとらわれてガチャしまくったら、変な女神が現れた。

 奇跡の力であれよあれよと女神の街を再建して、

 一緒に沢山冒険したなぁ……

 

 いつの間にか好きになってた。なんか自分を大事にしてない感じはずっと感じていた。守ってあげたい。って気持ちがいつの間に自分の中で大事な子になって気がついたら惚れていた。高校生だしね俺。仕方ないよね。

 

 サオリから自分の話を聞いた。

 俺が思っていたサオリの態度の理由がわかった。

 サオリは辛いだろうけどそれを話してくれた。さらに俺のじゃまになりたくないから消えるとか馬鹿なことを言い出した。

 サオリがいてくれなきゃ嫌なんだ、俺は。

 サオリが好きなんだ。

 どうしようもなく好きなんだ。

 こっちに残されて俺が進み続けたのはサオリに逢いたかったからだ。

 

 簡単なことだ。


 俺は何があろうとサオリに会いに行くんだ。

 サオリの元へ帰るんだ。


 答えは出た。


 あとはそれを実現させるだけ、

 実現するだけの力を獲ればいい。


 絶対にサオリに逢う。


 迷うことはない、今の俺にとってそれが全てなんだ!!






 翌朝、部屋にサオリによく似た猫耳、ちょっとツリ目の女の子が訪れた。


 「マスター……想い過ぎなのニャ……」

 


 

 全裸で


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