エロゲ(も書く)ライターが解説するエロスなシーンの書き方
エッチな展開でサービスしよう。
あれ、でもじゃあ、エロシーンってどうやって作ればいいんだろう。
普段から欲望叩き付けるスタイルで書いているならば良いのですが、意図して使う時になるとだいたい悩みます。
なのでこれからエロシーンの作り方について、エロゲ視点からサッと解説いたしましょう。さささーっと読み流しちゃって下さい。
さて一概にエロと言いましても、言葉の幅も文化の広がりも果てしなくとても語り切れるものではありません。そんなの説明してたら終わりがないので、エロのセオリー、要点ってやつを押さえていただければ十分です。
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【属性から考えちゃダメ】
人それぞれ好きな傾向ってものがありますよね。ざっとそれを一つ一つくくって属性と呼びましょう。女性上位だとか、性転換だとか、まあメインディシュといえばメインディッシュの位置にある要素です。
でも属性から考えてしまうと多くの部分を見落とします。
その展開へと至る流れも、まるで取って付けたようないい加減なものになりがちになります。
例えばヒロインと主人公がラッキースケベで密着。ドキドキのキス展開を作るとしましょう。作者が書きたいのはその密着感とか匂いとか、キスに流れるイヤーンな甘い展開です。だからド近眼にそのシーンばかりに目が行きます。
その結果、唐突にエロシーンが始まり読者が当惑します。最初からエロを求めているジャンルであっても、やっぱりその取って付けた感にシラケます。
そうです、シラケるんです。そこが一番の問題で、この要点でお伝えしたい部分です。
なのでエロへと至る過程ってやつを大事にして下さい。
愚痴になりますが、携帯ゲーム関係の依頼なんかでエロシーンだけ書いてくれとか言われることがあります。完成してるイベントCGだけ渡されて、あとテキトーによろしく! みたいなご依頼です。タッチ数多いとプレイヤーが辛いから短くね、とか言われます。
そうすると前置きなんて入らないっすコレ。味気ないなぁコレ……とか思いつつ何とかプレイヤーがエロシーンに入り込めるように小細工します。
これこそダメなエロの例です。ビジュアルとか属性ばかりに目が行って、プレイヤーをその気にさせるっていう部分が完全に抜け落ちちゃってるのです。
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【心境描写を重視しよう】
女性向けの話だろうと思った方もいるはずです。でもこれ、全部のエロに共通します。実はエロって男性向けも含めて心境描写が命なのです。
そこに感情の細やかな流れがなければ、ただ肉と肉がぶつかり合ってるだけです。その肉が感情や五感をほとばしらせるからこそ、エロはエロくなってキャラはかわいくなるのです。
実際の執筆時にもこの『心境描写留意』のスタイルは価値があります。まあかさ増しと申しますか何と言いますか、エロシーンですのである程度の尺ってやつが必要になります。パッとすぐ終わり過ぎちゃうのも味気なく、だからある程度の厚みが好まれます。
そうすると展開描写、情景描写とかだけじゃ限界が来ます。書くことなくなります。でも何かつめ込み足りないから無理にまた細かく書いてかさ増しします。
そんな苦労を救ってくれるのが心境描写です。というか、心境面をしっかり考えないで作るからツギハギ作業になって苦労するんです。
感情のほとばしり! それこそエロシーンの真髄です!
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【最後に】
最後に触れておきましょう。
エロは諸刃の剣です。過激になればなるほど人を惹きつけますがニッチになります。
特殊な趣味になればなるほど全体のパイが小さくなります。
若い読者とか、元々性欲の薄い人など、エロそのものを忌避する人も少なくありません。
支持層が極端になってもいいのなら貫き通して下さい。
限られはしますが一定の層に支持されます。
嫌ならちょっと自重して下さい。
そのへんのバランス感覚ってのもエロでは忘れちゃいけない要点です。
エロも一つのドラマであり物語。
欲望のたけを叩き付けるだけでは読めるものにはなりません。
そこにあるのが愛だろうと獣欲だろうと、エロは感情や欲求の塊ですので、実はコレ、形を変えた恋愛モノみたいなものなのです。はいおわりっ!