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運命の歯車の始まり

後書きはきちんと読んだ方が分かりやすいかと思います。

後書きに誤字が有りましたので改稿いたしました。

迷い込んだ何処かの農村の男が、ある塔を発見した。

塔に人が住んでいるかもしれない、助けてもらおう。と、入口を探すが何処にも扉はなかった。あるとすれば4階ぐらい上の所にある窓だけだった。

男は落胆し、自分の人生が終わりを告げるのを塔を背にし待っていた。


そんな男にとっては一大事なことを唯一ある窓に肘を付き、片手で紅茶を下品に飲みあげ手を貸すことも無く、傍観しているだけの女がいた。


「珍しいなぁ、こんな森の奥に迷い込むなんて。てか、水があげれない。」


自身の黒髪をサラリと背中にやり、花だけは好きな女は毎日花に水をあげていた。

だが、その花がある場所に男がいるため、あげれないのだ。


「…んー。まぁ、いっか。」


少々考えた結果、何がいいのか、花が好きなわりに大雑把な性格の女は、水が満タンに入ったバケツを窓の角を使って傾け、水をあげた。

そう、男がいるにも関わらず…


頭上から大量の降ってきた水に男は驚いて上を見上げる。



「ぶふっ!何あれ…き、鬼太郎にそっくり…」


男が上から降ってきた水を浴びて、長い前髪が右目を隠し、まさに鬼太郎にそっくりであった。

そんな鬼太郎にそっくり男を見て何を思いついたのか女は、アキーという熟された木の実をその男めがけて落とした。


熟されたアキーは見事に男に当たり、割れて中から目玉のような種が出てきた。

運良くアキーの種は鬼太郎似の男の肩に乗っかり、女はその男を指差し笑った。


「ぷっ!鬼太郎と目玉親父、凄く似てる!」


そんな声は男には届かず、男は落ちてきた木の実を食べるのに必死だった。


「あ~あ。暇だなぁ。」


一通り笑った後、ベッドに倒れ天井を見上げる。


産まれた直後、一週間もしないうちに名前もつけてもらえないまま、この塔に軟禁された。

原因はこの髪色、黒くて何かの呪いではないかと父、もとい王が命令したのだ。

小国なので呪いでもあったら、ひとたまりもない。そう思い、王は娘よりも国を選んだのだ。

今でも鮮明に覚えている。

この髪色を見て、気味悪がった父と母の顔を。

どうして赤ちゃんの時の女がそんなことを覚えているのか、それは簡単だ。

女は稀に見ぬ転生者なのだ。前の世界で生を受けた時の名は(れい)紫亜(しあ)

今の世界で生を受けても名は貰えなかったので、前の世界での名前を使った。《レイシア》それが今の女の名前だ。

っとまぁ、転生者だから産まれた時も素早く理解出来て、覚えている訳なんだよな。うん。

でも、転生者って言っても前の世界のことを思い出すことは出来ない。

フッとするごとに断片的に思い出すだけなのだ。

産まれてきた日から人に触れていないレイシアは、自分にこんなことをした人間に対して、人間不信…になるわけでもなく、逆に性格が捻じ曲がった。

逃げ出すことも可能だが結構、居心地がいい塔なので、なかなか逃げる決心がつかない。

お風呂やトイレは綺麗だし、朝、昼、晩と、部屋の外に何故か食事が置いてあるので食は困らない。質の良いベッドもあって、何も言われないというのはレイシアにとって最高なのだ。

ベッドの上で寝返りを打ち、鬼太郎似の男はどうしたのだろうと、もう一度窓から覗いてみると、もういなかった。


レイシアの逃げる決心はつく間もなく、運命はこの日を境に動き始めた。



*****



鬼太郎似の男は農村に無事、帰れていた。


「おい!キータロー、お前よく無事だったな!あの森は迷い込んだら二度と抜け出せないって噂なのに!」


農村のみんなはキータローを囲み、泣きながら「良かった」「良かった」と言っている。


「どうやって助かったんだ?」


1人の男が聞いた。すると、キータローは答える。


「あぁ、黒の天使にあったんだ…」


鬼太郎似の男もとい、キータローはそれだけポツリと呟いて、どうやって抜け出せたのかを農村の皆に話した。いや話そうとした。


「お前、良い加減その鬱陶しい前髪切ろよな」


友人から言われ、(のち)に切ったのは言うまでもない。

あの森は迷い込んだら二度と抜け出せない。っていうのは間違いだ。広すぎて、抜け出す前に疲れて死んでしまうんだよ。あの森には泉も無ければ、食べ物もない。僕も死ぬ一歩手前だった。

そんな時、塔が見えたんだ。助かった!って思ったよ。だが、すぐに落胆した。その塔には入口がどこにも無かったんだ。

僕はこの塔で命が散って行くのを待とうとしたよ。もう、動く気力も無かったからね。

喉は渇き果てて、お腹は腹と背中がくっつくかと思うぐらい空いてたんだ。

ゆっくりと目を瞑ったら、なんと…上から大量の水が降ってきたんだ!本当に嬉しかったね。渇き果てていた喉が一瞬で潤った!

驚いて上を見上げてみたら、吃驚さ!

この世の人物とは思えない、白く線の細い肌に映える、艶のある見たこともない深い漆黒の髪。

すぐに察したさ!あの『黒の天使』は僕を助けてくれたんだって!

すぐに塔の中に入ってしまったけど、また出てきたと思ったら今度は食べ物が降ってきた。

なんて言う食べ物なんだろう…体力がすぐに戻ってきたみたいだったよ。

その後、黒の天使は指を指したんだ。

僕はその指した方へと導かれるままに歩いたよ。

すると、10分もしないうちに抜け出せたんだ。

黒の天使は俺の命の恩人だ!

…でも、なんで入口がない塔の上にいたんだろう。



「興味深い話だね。」

そうだろ?

…ってあれ?君、この村の人じゃないよね。旅人かい?

「そうだよ。僕はそろそろこの村を出る。出る前に興味深い話が聞けて嬉しかったよ」

それは良かった。でも、あれは作り話なんかじゃない。実際に僕が生きて帰ってきたんだから!

「そうだね。ありがとう。君のおかげで良いのが出来そうだよ。」

ん?いいの?まぁ、それは良かった。

あれ、もう行ってしまうのかい?

そうか、寂しくなるね。

また寄ってくれよ





キータローと話した男は一体誰だったのか。

長く失礼いたしました。

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