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04_不幸の手紙

「そうそう、お手紙を預かってきたんですよ。」

そういって鞄を漁るアレクさんを見つめる。

手紙なんて、日本に居た時も年賀状ぐらいしかもらった事無い。

しかも、この世界で俺宛に手紙を渡そうなんて人は居るはずが無い。

さっきまで居た場所が城の謁見の間であるということもあって不吉な予感がする。


あったあったと渡された手紙は若草色の封筒に入っている。

それもしっかりと蝋印までされていた。

「アレクさん。」

「ん?なんだい。」

「つかぬ事を伺いますが・・・。これ、どなたから預かりました?」


アレクさんはにこー。と微妙な笑みを浮かべて「カトリーナ様。しかも姫様直々に手渡し。」と

語尾に音符(♪)が付きそうな声色で言われてしまった。

正直こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。


怖いからと言っても読まないわけにもいかないので、早速読んでみることにした。


が、


「アレクさん。」

「ん?なんだい。」

「・・・・読めません。」

「・・・・」


便箋にはミミズがのたくった様な字(俺基準)が綴られている。

俺はこの世界の文字が読めない。

だけど、旅の合間にアレクさんに文字を習っては来た。

ちなみに、アレクさん曰く識字レベルは大体5歳児ぐらいまでレベルアップしているらしい。


少なくとも、英語とかのアルファベットで言うブロック体のような字は大体読めるようになった。

店の看板とかに書いてある筆記体みたいなのも時間と綴り表(アレクさん作)があればどうにかいける。

俺スゴイ!やれば出来る子!!

なんて自画自賛していたけれど、この手紙をみて自画自賛していた自分を殴りたくなった。


ガックリしながらアレクさんに見せると「達筆ですね~。」なんて言っている。

そうか。このミミズ字は達筆なのか。


「流石にこれだとマサト君にはキツイですね。代わりに読んでもいいですか?」

「・・・どうぞ。。」





異世界の来訪者 様


風香り、緑豊かなる季節如何お過ごしでしょうか。


申し送れました。私、レインドル王国第2王女カトリーナ・ディ・ドロテア・レインドルと申します。


さて、早速本題に入らせて頂きたく存じます。

異世界の来訪者様も我が父である国王の決定に驚愕なさったことでしょう。

貴方様の意向も考慮せず、あのような振る舞いをしたことをお許しください。


我が父、ならびに大臣達は魔人を封印した貴方様の力をみすみす手放したくない様です。

私と婚約させ、王族に魔人を封印した者を取り入れる事が出来たならば、

我が国から他国への影響力も高まると思っております。


また、旅立ち前に我が父は無事に帰還なさった後に、貴方様を元の世界に戻すと約束なさいました。

しかし、それは我が国にいる魔道士を全て集めても不可能である。

魔法を使ったとしても、また別の世界に飛ばしてしまうであろう。と聞き及んでおります。


さらに、貴方様の捜索隊、及びと貴方様を攫ったドラゴンの討伐隊を結成しようとしております。

お気をつけなさいませ。


レインドル王国第2王女

カトリーナ・ディ・ドロテア・レインドル





「ま」

「ま?」

「ま じ か よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


うあぁぁぁぁぁあああぁぁ。と頭を抱えて転げ回る俺を観てアレクさんが驚いた顔をしている。

不断なら俺が変なことしても「いつものことね。」って顔をするヴァネッサさんまでアレクさんと同じ顔。


でも、コレだけは言わせてくれ。


「どうしてこうなったぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁあああああぁあぁぁぁあ!!!」

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