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03_そして再会

とても心地いい風も、暖かな木漏れ日も普段だったら「シエスタって素晴らしい!」

といって大の字で寝転がるところだが、今はそんな気持ちにはなれない。


体育座りをした格好のまま横に倒れる。

膝を抱えて目をぎゅっと瞑る。


結婚・・・とか言ってたけど、何でだろう。

もとの世界に戻してくれるって話はどこにいったんだろう。

置いてきちゃった2人は大丈夫かな。

ミドリちゃんどこ行ったんだろう。

お腹すいたなぁ。


なんてことをつらつら考えていると、

シャリっという微かな音と「やぁっと見つけた~!」という間延びした声が耳に届く。

はっとして上半身を起すと、5メートルぐらい先に金髪の男性。

そして、その男性に腰を抱かれた赤毛のグラマラス美女の2人。


「アレクさんに・・・ヴァネッサさん?」

「見つけられてよかったぁ~。」

「ちょっとあんた大丈夫なの!?・・・あのおチビはどこいったのよぉ!」


赤毛のグラマラス美女ことヴァネッサさんに肩を鷲掴まれてグラグラと揺さぶられる。

・・・ちょっと気持ち悪くなってきた。うっぷ・・・。

そんな様子に気が付いた金髪の男性ことアレクさんヴァネッサさんを止めてくれた。

よかった。悲惨なことにならなくて。うぅ・・・。


ヴァネッサさんを後ろに押しやり、俺の前に膝をついて目線を合わせてくれたアレクさん。

特に何か言うわけではないけど、垂れ目気味の目が『大丈夫?』と言ってくれている。


アレクさんは世界で5本の指に入ると言われている魔法使い。

本人は料理が趣味のしがない魔法使いだって言ってるけど。

ミドリちゃんが喋れるようになった時に、「魔人を封印するなら魔法使いが必要」だって言われて、

その時いた街から一番近い所に住んでいたのがアレクさんだった。

その街の人たちに"隠者の塔"と呼ばれている塔に住んでいたんだけど、

どれだけ怖い人が住んでいるかと思ったら、垂れ目気味で長めの金髪を緩く肩口で縛った若い男性だった。


これまでの経緯を話して力を貸して欲しい旨を話すと、アレクさんは涙目になって協力するって言ってくれた。

アレクさんはこっちが心配してしまうほど情に厚く、涙もろい。

後々、どうして"隠者の塔"なんてところに住んでいたのか聞くと、

今まで色々な人に騙されて、傷ついて、人と係わり会うのが怖くなったと少し悲しそうに教えてくれた。

人ごみとかも苦手らしく、街中ではいつも俯いている。

イケメンなのに勿体無い。


そのアレクさんの後ろで仁王立ちしているのがヴァネッサさん。

こう見えても俺ぐらいの大きさがある大剣を振り回すことの出来る剣士だったりする。

アレクさんと旅をし始めて暫く経ったある日、

街の中でガラの悪い人たちに因縁をつけられていた時に助けてくれたのがヴァネッサさんだった。

全身正義感で出来ている!って感じのする彼女はガラの悪い連中を伸した後、

魔人という強い相手と戦ってみたいため、俺たちの旅の一員となった。


・・・ということになっているけれど、本当はアレクさんに一目惚れしたんで一緒にいたいそうだ。

アレクさんが居ないときにヴァネッサさん本人から「仲を取り持って欲しい」と頼まれたからね。

曰く、顔が好みだった上に、アレクさんの料理(これがまた絶品!)に胃袋もガッツリつかまれたそうな。

男は胃袋で掴めって言う言葉は聞いたことあるけど、それって女の人にも有効なんだー。って思ったな。うん。


ぼんやり2人を見ていたけれどはっとした。そうだ、2人を謁見の間に置いてきちゃったんだ!

「ご、ごめんなさい!2人を置いていっちゃって!」

ガバッという効果音がつきそうなほど頭を下げた。

あんな所に置いて行っちゃって絶対2人とも怒ってるはず・・・!!

怒鳴られるのは嫌だーって思っていると頭をポンポンって撫でられる。

「大丈夫ですよ。ねぇ、ヴァネッサさん。」

「そうよ!別にあんたが気に病むことなんて無いんだからね!」


いつもと変わらないアレクさんの笑顔にツンっとしているけれど心配そうなヴァネッサさんの顔。

心配されているんだと感じて若干涙目になる。

ちくしょう。元々涙もろいんだよ。文句あるか!


「それはそうと、あんた。アレ封印したらもとの世界に戻れるんじゃなかったの?

なんで結婚することになってんのよ。」

仁王立ちのヴァネッサさんが眉間に皺を寄せて問いかけてくれば、

アレクさんも「それは僕も吃驚しましたよ~。」と若干戸惑い顔になりつつ聞いてきた。


そんなの俺が知りたい。

そんな俺の心境が表情に出ていたのか、2人は俺を見ながらため息をついた。

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