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ハピネスカット-葵-  作者: えんびあゆ
松岡優里編
3/76

第3話「大胆カットで大変身!?」[1]

ある日の放課後、内気な性格の高校生・松岡優里(まつおかゆうり)(まつおか ゆうり)は友達の三田村梓(みたむらあずさ)(みたむらあずさ)、小林美咲(こばやしみさき)(こばやしみさき)、宮野結衣(みやのゆい)(みやのゆい)との会話に苦悩していた。

彼女の顔には緊張が見え、うまく会話に入れない様子だった。


梓はワクワクした様子で言った。

「ファッションショー、一緒に行こうよ!有名モデルに読モがたくさん来るんだよ、楽しいって!」


美咲も楽しそうにうなずき、「うん、私たちも行くからさ、一緒に行こう!」と言った。


結衣は優里のことを気遣いながら、「そうだよ、優里も一緒に楽しもう!」と提案する。


普段は制服しか着用しない優里にとって、どんな服装にしようかと考えること自体が苦手だった。

本来、オシャレや美容に興味が無い優里には、これはかなりの苦痛である。

しかし、遠慮して断ることもできず、やむなく承諾する。

優里は躊躇しながら言った。


「…わかった。一緒に行くよ。」


梓は満足そうに笑った。それと同時に不敵な笑みにも見えた、そう、ちょっとだけ。

―――じゃあさ、せっかく行くんだしオシャレしていこうよ

梓のその言葉は優里を恐怖に陥れる・


―――オシャレ

つまるところ、優里はオシャレというものが苦手だったのだ。

自分に似合う系統、髪型、メイク、そのすべてがわからない。


小さい頃は親に決められた服を着ていれば良かった。

中学生になるころには制服とジャージだけを着ていれば良かった。

可愛い私服など大してもっていない。


髪型なんてもってのほかだ。

幼いころから同じ髪型、黒髪ロング。

ただただ、制服のミニスカートより伸びた太ももあたりの長い髪をそのまま下すか、または後ろに一本に束ねるか。ただそれだけ。


「じゃあ、何着てくる?私は新しいワンピース買ったんだ!」


美咲は得意げに笑って、

「私も新しいスカートがあるから、それを着るつもり!」と言った。


結衣は明らかに困り顔の優里に心配そうに尋ねた。

「優里、何着る?」


優里は困った顔をして言った。

「う、うん…まだわからないけど、何か考えるね」


分かれ道で友達と別れた後、優里は心の中で苦悩していた。

一方、美咲が梓にこっそり話しかける。


美咲は小声で聞いた。

「なんで優里なんて誘ったの?あんなのいても地味で暗いし盛り下がるよ」


梓はにっこりと笑って答えた。

「あーいう、根暗な奴を呼んどいたほうが私たちの可愛さが際立つでしょ?」


美咲は納得したように、「あーなるほど!」と言った。


結衣はそのやりとりを聞いて、心の中で「優里は陰口を叩くあんたたちよりずっと可愛いけどね」と思いながら不快に思っていた。

結衣はその場を離れる口実を作るため、「あ、そういえば急用があったんだった!私、先に行くね!」と言った。


梓と美咲は少し驚いたが、「え?あ、うん、じゃあね!」と答えた。


結衣が去った後、梓と美咲は顔を見合わせ、小さな声で結衣のことも小バカにする陰口を叩いた。

梓は目を細めながら、「結衣も、急にどうしたのかな?」と笑う。


美咲は顔を顰めて、「ほんとうに、あんな真面目ぶって。まるでお節介おばさんみたいだよね」と言いつつ、優里を追いかける結衣の背中を見送った。


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