婚約破棄を宣言されましたけど私あなたの婚約者じゃありませんよ
ダルス王国の王城にて王家主催のパティーが行われており、そのパーティの最中に私はとても困っていました。
「お前との婚約を破棄する!!」
金色の髪と青い瞳を持ったラドル王子からこう宣言されたからです。
ラドル王子はダルス王国の第一王子で今年で18になられます。
えっ?どういう事ですか?私は突然の事で訳が分かりませんでした。
ラドル王子が私の顔を見ながら言います。
「その理由を知りたい顔だな。お前はミリアを貴族学院でイジメていた。そして王家の秘宝であるリリアの鏡を壊したのだ。ひどいいじめをしてミリアの心に大きな傷をつけた。お前のような女は婚約破棄されて当然だ!!」
そこに鮮やかな青い髪とサファイアの瞳を持った少女が現れました。
彼女はミリアという名前でクルース男爵家の令嬢で私と同じ17才でした。
そしてこう私に言いました。
「そうよ私はあんたから過酷ないじめを受けていたのよ。」
「私はそんな事はしていないと思うんですけど。」
「はん、とぼければ済むと思っているようだな。」
「おいミリア。あれをみせてやれ。」
するとミリアは手の甲をまくって自分の左腕を見せたのだった。
「みなさん、これはこいつがミリアをいじめていた証拠です。」
「はい私はこの女に熱湯をかけられたんです。」
「なんてひどい女なんだ、ミリアにこんなひどいイジメをするなんてな。」
私は二人に言います。
「ですから私はまったく知りません。」
「はん、いまさらイジメてないなんて言っても遅いんだよ。」
「そうよ、私はあんたにイジメられて心にも体にも大きな傷を負ったんだからね。」
「さらには王家に昔から伝わる鏡まで割りやがったんだからな。」
「それもまったく知らないんですけど。」
「だからとぼけても無駄なんだよ!!俺達はお前が王家の秘宝であるリリアの鏡を粉々に割る所をバッチリ見てるんだからな。」
「そうよ間違いなくあんただったわ。」
「それで婚約破棄って事なんですか?」
「そうだ!!ミリアに過酷なイジメをしたうえに王家の秘宝であるリリアの鏡を粉々に割りやがったんだ。このダルス王国の王子であるラドル様がお前みたいなクズ女と婚約者するわけないだろうが!!婚約破棄するに決まってるだろうが!!」
「そうよ、あんたは私に過酷なイジメをしたうえに王家の鏡を割るようなクズ女なのよ。あんたみたいなクズ女はラドル様との婚約破棄をされて当然の女でしょうが!!」
「王家の秘宝である鏡を粉々に壊し、ミリアへの貴族学院での苛烈ないじめ、婚約破棄だけですむと思うなよ。」
「そうよ、私をイジメたあんたには貴族学院を退学処分にしてもらうわ。そのうえで罪人として国外追放処分にしてもらうんだから!!」
「そうだテメエみたいなクズ女は国外追放処分にしてやるからな、覚悟しやがれ。」
「いい気味ね。あんたみたいなクズ女にはお先真っ暗な罪人生活がお似合いよ。」
「お前の代わりにこのミリアと婚約する事にしたんだ。」
「ミリアこれから一緒に仲良くしていこうな。」
「はい、ラドル様と結婚できるなんて幸せです。」
「嬉しい事を言ってくれるな。こんなクズ女とは真逆だな。」
私はただ困惑していました。
「どうした言葉も出ないのか?まあ仕方ないなこのラドル様に婚約破棄されちまったんだからな。」
「あんたがラドル様に捨てられるのは当然よ。あんた私をいじめてたクズ女なんだから。」
「そうだテメエみたいなクズ女は婚約破棄されて当然なんだからな。さあ分かったらとっとと出てけ!!」
「ちょっと待ってください。ですから私はやっていません。リリアの鏡なんて割ってませんし、ミリアあなたをイジメた記憶もまったくありません。」
「このごに及んでまだシラをきるきか?」
「往生際が悪いわよ。素直に認めりゃいいのに、本当に性格の悪い女ね。」
「お前はこのラドル様に婚約破棄されて当然のクズ女なんだよ。」
「そうよ私にひどいイジメをしたから、あんたはラドル様に捨てられたのよ。そして私がラドル様の新しい婚約者になるの!!ちゃんと現実見なさいよ!!」
「その婚約破棄っていうのがわからないんですけど?」
「はあ?いい、あんたはね、あまりに性格が悪いからラドル様に捨てられたのよ。ちゃんと現実を見なさいよ。」
「そうだ、ちゃんと理解しろ。お前はとんでもなく性格の悪いから婚約破棄されたんだ。ミリアをいじめて、王家の秘宝の鏡を割るようなクズ女と結婚なんてするわけないだろうが!!」
私は根本的な事を二人に尋ねました。
「あのう婚約破棄って婚約した後にやるものですよね?」
「そんなの当たり前だろうが。」
「何言ってるの、あんた?」
「そもそも私ラドル王子、あなたと婚約してないんですけど?」
「何言ってるんだ?ふざけた事を言ってるんじゃねえぞ!!アンリエッタ!!」
「そうよアンリエッタふざけた事言ってるんじゃないわよ。」
「私はアンリエッタじゃありません。ソフィーです。ルジリア伯爵家の第二令嬢の。」
「なんだと??」
そうなんです。私ラドル王子とは婚約してないんですよ。
ラドル王子もミリアも勘違いし続けていたんですよね。
ラドル王子もミリアも私の顔を凝視してようやく気が付いたようでした。
「本当だ、違うじゃねえか!!」
「アンリエッタはどこに行ったの?」
「魔導士協会の発表会に行ってると思いますよ。今はたぶんサイボールにいると思います。」
「サイボールって大陸のはしじゃねえか?」
「あんなところまで行ってられないわ。いつ戻ってくるの?」
「今回の発表会は期間が長いらしいですから、しばらく戻ってこないと思いますよ。」
「なんですって。」
「分かってもらえました。」
二人はそれを聞いて頭を抱えているようでした。
「どうすればいい?もう高らかに婚約破棄を宣言してしまったんだぞ。王子たるこのラドル様が人を間違えましたなんてかっこ悪すぎだぞ。」
「今日の為にいろいろと準備してきたのに。いろいろと無駄になってしまうわ。」
「よしもうこうなったら仕方がない、このまま押し通そう。」
「そうですね、この女で構いませんこの女も性格悪そうだし。」
「だなこの女も性格悪そうだから問題ねえだろう。」
二人は向き直るとこう言いました。
「ソフィー、お前との婚約破棄する。」
「ですから、私はあなた婚約してないんですよ。してない婚約をどうやって破棄するんですか!!」
「うるさい!!婚約破棄って言ったら婚約破棄なんだ!!」
「そうよ!!!私をイジメたソフィーあんたを許ししないんだからね!!」
「だから私はイジメてないって分かるでしょ??別人なんだから!!」
「うるさい!!サイボールまで行くなんてめんどくさいだろうが!!」
「そうよ、あんな所まで行くのはめんどくさいのよ!!だから婚約破棄をして大恥かかせてやるのをソフィーあんたで済ませる事にしたのよ!!感謝しなさい。」
「いいかソフィー、テメエとの婚約破棄して貴族学院を退学処分とする。王国からの追放処分もこの場で出しておくからな。」
「いい気味ね!!性格の腐ったクズ女め!!」
「お前みたいなクズ女は追放されて当然だ!!」
するとミリアがワインの入ったグラスを手に取って、私に向けてワインを掛けてきました。
「このクズ女をゴミまみれにしてやりましょう。」
そういうと二人は私にワインとかケーキとかパンとか床に落ちていたゴミをたくさん投げつけてきました。
お気に入りの服がどんどん投げつけられる食べ物やゴミで汚れていきまいした。
私はもう我慢できなくなり大広間から逃げ出しました。
後ろから二人の声が聞こえてきました。
「ラドル様見て!!あの女ゴミまみれよ!!!」
「なんて情けない格好なんだ!!!」
「クズ女!!二度と王城に来るんじゃんねえ!!!」
「クズ女、あんたはゴミをくわえて逃げ回ってなさい!!」
「ぎゃはっはっ!!いい気味だ。」
「本当ね、いい気味だわ。」
私は王城の外で逃げ出した後で、大泣きをしていました。
お気に入りの服をめちゃくちゃ汚されて罵声を浴びせられて、なんでこんなひどい事をされなきゃいけないの。
私は悲しくて大泣きしていると後ろから誰かに声を聞こえました。
「どうしたんだいソフィー?その格好は??」
振り返ると美しい銀の瞳とアッシュブロンドの綺麗な髪できれいな顔立ちをした男性がいました。
彼は私の本当の婚約者であるリヒターです。フォルン公爵家の長男で私と同い年の17でした。
「実は。」
私はリヒターこれまでの事情を話しました。
「ラドルのやつ!!!」
私の話を聞いたリヒターはそのまま王城の中に駆けていきました。
☆一方その頃ラドル達は
ラドルとミリアは笑いながら大広間を出て自室に戻ろうとしていました。
「ぎゃはっはっ、いや名案だっただろう?あの女との婚約破棄で押し通せば、周りもしっかり騙されていたからな。」
「名案だったと思います。さすがはラドル様です。せっかくの準備が台無しになるかと思って心配しました。」
「そうだろう、このラドル様ならどんな状況だって切り抜けられるんだ。」
そこにリヒターが現れたのだった。
「おいラドル!!貴様!!ソフィーをイジメたそうだな!!!」
「ああ、あのクズ女に婚約破棄の代役をやらせてやったんだよ。あのクズ女にゴミを投げつてやったんだが、ゴミまみれで逃げ回る姿は本当に薄汚れてて最高だったぜえ。あのクズ女にピッタリだった。テメエにも見せてやりたかったぜ。」
これを聞いたリヒータは激高してラドルに飛び掛かるとラドルの顔を殴り始めたのでした。
「愛しのソフィーにふざけた事をしやがって!!!」
リヒターの怒りは凄まじくラドルが意識を失うまで殴り続けるのだった。
すぐに衛兵達が駆けつけてきて仲裁に入ったが、リヒターの怒りは収まらなかった。
「ラドル!!ソフィーを泣かしたお前を絶対に許さないからな!!!」
リヒターにボコボコにされたラドルは衛兵に支えられながら、自室に戻ろうとしていた。
顔面の傷をさすりながらラドルが呟いた。
「ああ、痛てええ。本気で殴りやってリヒターの奴。全然痛みが引かねえじゃないか。」
ラドルはそのまま自室に戻ろうとしたが、衛兵にこう言われた。
「ラドル様、国王様がお呼びです。至急謁見の間に来るようにとの事。」
ラドルとミリアはそのまま謁見の間へとやってきた。
「親父、なんか用か?」
「聞いたぞラドル!!お前一体どういうつもりだ?ソフィー殿に無礼な事をしたそうだな。婚約破棄と国外追放を一方的に宣言したうえでゴミを投げつけたそうではないか!!」
「いいですかあいつは婚約破棄されて当然の女だったのです。ソフィーとはその程度の女だったのです。婚約破棄した私に何の問題もありません。」
「お前はいつソフィー殿と婚約したというのだ。ラドルお前の婚約者はアンリエッタ殿だろうが。それを婚約破棄とはどういう事だ??」
「おやじ、これには深い理由があるんだ。」
「深い理由だと。」
「いいか親父、聞けばアンリエッタは大陸のはしにあるサイボールにいるというではありませんか。そんなとこまで行くのめんどくさいじゃないですか。」
「そうです、国王様あんな遠いところまで行くのはめんどくさいです。絶対に嫌だったんです。」
「それでこのラドルは思いついたんです。あのソフィーをアンリエッタの代わりに婚約破棄してしまえばいいんだと。そうすればサイボールまでの行く時間を短縮できると。」
「すばらしい考えです。さすがはラドル様。」
「お前ふざけてるのか!!!そんなふざけた理由でソフィー殿に無礼千万を働いたわけか??」
「国王様待ってください!!ラドル様にはまだほかにも理由があるんです。」
「なにそうなのか?」
「実はですね。アンリエッタに無実の罪を着せるために、いろいろと準備してたんですよ。それが無駄になってしまうのが嫌だったんです。」
「そうなんだ親父、アンリエッタを陥れるために秘宝であるリリアの鏡をミリアと一緒に粉々にしたんです。」
「なるほどリリアの鏡を破壊したのはお前達なのだな。だがなぜそのような事をした?」
「実はミリアにせがまれたんですよアンリエッタじゃなくて私を正妻にしてくれって。」
「はい私がラドル様の正妻にしてくれって頼みました。」
「だけど理由もなく婚約解消できないじゃないですか、だからアンリエッタに無実の罪を着せてやろうって話になったんです。」
「アンリエッタに無実の罪をきせようって提案したのは私なんですよ。私がアンリエッタにイジメられてたように偽装しましたから。ほら見てください、アンリエッタにイジメられてるように見せるためにわざわざ絵の具で手にあざややけどの痕を描いたんですよ。」
ミリアはそういうと左手にあるアザのようなものを見せたのだった。
「それは絵具で描いてあるのか?」
「ええ描くの大変でした。」
「つまりお前達はアンリエッタ殿を陥れようとしていたが、間違えてソフィー殿に婚約破棄をしてしまい、アンリエッタ殿がいるサイボールまで行く時間が惜しいから、ソフィー殿を代役にして婚約破棄を押し付けた、そういう事か。」
「まさにその通りだ親父。」
「その通りです。国王様。」
「そうか、よーくわかった。」
「分かってくれたか親父。」
国王が衛兵達に指示を出した。
「後でラドルとミリアを地下牢にほうり込んでおけ。」
「はっ!!承知しました。」
ミリアは驚いた様子で国王に尋ねた。
「国王様、分かって頂けたのではないんですか?」
「ラドルとミリアが全て悪いという事がよく分かった。」
「親父、悪いのはすべてソフィーなんだ。」
「馬鹿を言うな!!悪いのは全部お前らだろうが!!ふざけた事をしおって!!」
「でも国王様、地下牢とかやり過ぎです。私もラドル様も高貴な身分なんですよ。」
「そうですミリアの言う通りです。俺達が地下牢に入るなんておかしい。」
「すでに諸侯から連名でラドルとミリアを処罰するように求めてきておる。諸侯達はお前達の行いに激怒しておるのだ。」
「全くこのラドル様の命令一つ聞けないなんて、なんてふざけた連中なんだ。」
「本当ですね、ラドル様の命令も聞けないなんて心の狭い連中です。」
国王が大声を張り上げた。
「全部お前達のせいだろうが!!よいかお前たちには責任を取ってもらうからな。もういいこの二人を今すぐ地下牢に放り込んでおけ!!!」
「国王様待ってください、私たちをずっと地下牢に放り込んでおくつもりなんですか?」
「そうだ親父、このラドル様が地下牢生活をするなんて絶対におかしい。」
「そんな心配はせんでいい。どうせお前たちはすぐに地下牢から出る事なるからな。」
「なんだ、そうなんですか。良かった。」
「親父初めからそれを言ってくれよ。」
二人はすぐに出してもらえて王子や貴族としてすぐに復帰できると取ったのだが、国王はもっと重い処分を考えていたのでした。
数日後、私が住んでいるルジリア伯爵邸に国王とクルース男爵が謝罪のためにやってきたのでした。
「ソフィー殿、愚息のラドルのせいで本当にご迷惑をおかけした。この通り謝罪いたします。」
「ミリアが申し訳ない事をしました。」
国王とクルース男爵が深々と頭を下げてくださいました。
すると隣にいたリヒターが国王に尋ねました。
「それで国王様、ラドルとミリアの処分はどうするおつもりですか?」
「ラドルとミリアには死罪にするつもりだ。」
「死罪ですか?」
「うむ、諸侯の了解を取り次第、ラドルとミリアの刑を執行するつもりだ。」
「分かりました、ではこちらも鉾を収める事にします。」
「国王様、ちゃんと対応してくださってありがとうございます。」
「ソフィー殿、非礼の数々あの愚か者に代わり、改めて謝罪させて頂きます。」
国王はまた私に頭を下げてくれました。
私は国王様に言いました。
「国王様、一つお願いをしてもいいですか?」
「ああ、なんなりと。」
私のお願いを国王様は了承してくださり、国王様とクルース男爵はそのまま帰られました。
翌日私はリヒターと一緒に王城へとやってきました。
私達はラドルとミリアが収監されている地下牢へ向かいました。
地下牢の一角にある面会室でリヒターと一緒に待っていました。
しばらくして看守に引っ張られながらラドルとミリアが面会室にやってきました。
ラドルがリヒターを睨みつけてきました。
「リヒター、テメエなにしに来た?」
「ラドル、お前達と最後に話しておこうと思ってな。」
「最後だと?」
「知らないんですか?あなた達は二人とも死罪になったんですよ。」
「し・・死罪?」
「嘘・・よね?」
「嘘じゃないぞ。ラドルとミリアは死罪になると国王様から命令書も出ている。」
リヒターがラドルとミリアに国王様からの命令書を見せるとラドルもミリアも顔が真っ青になっていった。
ミリアが慌てた様子で私に尋ねてきました。
「私が死罪って嘘でしょ!!」
「だから嘘じゃありませんって。この命令書にミリアあなたの名前が書いてあるでしょ?」
私はミリアにその命令書を見せました。
ミリアは命令書に自分の名前が書かれているのを確認すると言葉を失っていました。
「そ・・そんな!!」
すると今度はラドルがリヒターに聞いてきました。
「おかしいだろう!!俺は王子なんだぞ、それなのになんで死罪にならなきゃいけないんだ。俺はこの王国を継ぐんだぞ。」
「とてもではないがラドルお前ではこの王国を任せられないという判断だろう。国王様の御判断は至って当然の判断だ。俺としてもソフィーにあんなふざけた事をしたお前達にちゃんと処罰が下ってくれて嬉しい。」
ミリアは必死な様子で私に懇願してきました。
「ねえお願い助けてよソフィー。」
「あなたが私にクズ女とか言われてゴミを投げてきたの、つい先日なんですよ。よくそんな事が言えますね。」
「だって死にたくないのよ。お願い助けてよソフィー!!」
「嫌です。」
「なあ俺からも頼む俺もまだ死にたくないんだ。親父に助命してくれるように頼んでくれ。」
「あなた達は全部自業自得でしょう。アンリエッタを陥れようとしていたみたいだし、そのまま罪を受け入れてください。」
「そう言わずに助けて!!お願い!!」
「お願いだ、助けてくれ!!」
ラドルもミリアも必死に私に命乞いをしてきたのだった。
「ですから何度言われても無理です。」
「話は終わった、この二人を地下牢に戻してくれ。」
「はっ。」
看守がやってきてラドルとミリアを地下牢に引きずっていきました。
その間もラドルとミリアの声が響いていました。
「ソフィー様、お願いします!!助けてください。」
「ソフィー!!お願いよ、命だけは助けて!!」
そしてしばらくして聞こえなくなりました。
その日の夕方、ラドルとミリアは王城の地下牢にて刑の執行が行われたそうです。
ラドルとミリアにはそれぞれの独房に毒が運ばれ二人ともその毒を飲まされ刑が執行されたとの事です。
一週間後
「まったくこの前は災難だったなソフィー。」
「ええそうですね、色々と大変でした。」
「あいつらアンリエッタを陥れようとしてたみたいだな。」
「そうみたいですね。その事でアンリエッタやクラフト子爵様から何度もお礼を言われましたよ。そういえばリヒター今日はどうかしたんですか?」
「うん実は国王様からある打診を受けてね。」
「打診って?」
「王家に入ってくれないかと頼まれてるんだ。」
「ええっ?」
「ラドルが死罪になって王国を継ぐ人間がいなくなっているからな。たぶんそれで白羽の矢が立ったとは思うんだが。」
「おめでとう、リヒターなら立派な王子様になれると思いますよ。」
「ああありがとう、ソフィー、そうなっても俺と一緒に来てくれるかい?」
リヒターはそう言うと私に手を差し出しました。
「はい、もちろんです。」
私はそう言うとリヒターの手を取りました。
完
読んでくださりありがとうございます。