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第42話 決意

「まあ、国王から王子様に執政が変わって一番困るのは宰相だよね。国王にでもなった時、お前は要らないって首を切れる人は国王なんだもん。それまでの不正を見抜かれれば、自分の居場所がなくなるって焦ったはずだよ」

 アンドレは切り崩すのはそこでいいと思うと頷く。

「となると、レオが直前まで行っていた政治で、拒否した案件が怪しいわけで、それを調べるのが重要になってくるな」

 シモンは調べられるかとシュリを見る。すると、シュリは協力するわと笑った。

「ついに私の異能をレオに披露する時が来たみたいね」

 蠱惑的な笑みに、俺はなぜか顔が引き攣った。一体何をする気なのだろうという怖さを感じたせいだ。

「情報を掴むのは私たちに任してくれれば、何とかなるわ。これから王宮に近づくけど、レオは大丈夫なの?」

 最大限に協力するけれども、心の傷は大丈夫なのかとマリナは俺を見る。

「たぶん、大丈夫。俺、この旅で色んな人たちを見てきて・・・・・・この人たちの生活を守りたいって、強く思ったんだ。それは簡単なことじゃないけど、ケイルやその奥さんのような悲劇を全部食い止めることは無理だけど、でも、ちゃんと平和を守りたいんだ」

 俺はあの酒場での出来事、そして、メルロが言った言葉がずっと頭の中にあったと正直に告げる。そして、後悔のない選択は、やはり全部を投げ捨てて自分が逃げることじゃないと思うようになっていた。

「羊飼いの生活や農民の生活を間近で見ていたら、俺たちの兄弟ゲンカなんて小さなことで、でも、そのせいでこの人たちの生活を崩してしまうかもしれないって解ったんだ。だから、最低限の責任は取りたい。今、すぐに戦争が起きるという危難が去ったのならばなおさら」

 俺が思いを吐き出すと、パチパチとシモンが拍手をしてくれた。それに続いて、アンドレもマリナも、そしてシュリも拍手を送ってくれる。

 誰かに意見をして拍手をされる。それは、ちょっと前まで当たり前だったことだった。しかし、ここでの自分の演説も、そして送られる拍手も、今までとは全く重みが違う。

「俺、やれるだけやってみる」

 追放されて三か月ほど。俺はようやく、追放された原因に立ち向かう覚悟が出来ていたのだった。




 さて、俺が立ち向かう覚悟を決めた頃、王宮でも様々な動きが起こっていた。

「シャルル様が王太子になられるべきです」

 そう訴える者たちがいる一方で

「あの廃嫡決定がそもそもの間違いでした。懺悔します。私はつい自らの身が可愛くなり、公明正大なレオナール様を疎ましく思ってしまったのです」

 と訴える者がいる。

 その訴えている相手は、ようやく車椅子に乗ることが出来た国王だ。とはいえ、落馬事故の影響は大きく、国王は下半身不随である。この先、王政を執っていくには困難であることは、誰の目にも明らかだ。だからこそ、次はどちらかという議論が活発になっている。

 一方で、国王が出てきたことで、姑息な手段では無理だということははっきりした。よって、ここからは本当にどちらが次の国王に相応しいかということを証明する時間になっている。

「無理に起き上がった甲斐はあるが、まったく、パウロにはいつも困らされる」

 やれやれと再びベッドに戻ったピエールに、あなたが黙認なさったからですとローラはしっかり苦情を言う。

「そう言うな」

「もちろん、政変が起こったのは、まだまだ陛下がしっかりと起き上がる事も出来ず、また傷を治すために眠っている時間が多い時でしたわ。でも、レオの能力が大きいからと、国中を巻き込むこんな大騒動を起こすなんて」

 父のジョゼフに総てを打ち明ける際に色々と背後に複雑な動きがあったのだと聞いたローラだが、あれほど心配した最初の一か月は何だったのかと腹立たしくなる。

 しかし、それは無事にピエールが目を覚まし、また、下半身不随で済んだから言える話だ。もしもピエールが皆の前に出ることも叶わないほどだったとしたら、シャルルとレオナールの間にあったことは、本当に戦争でも起こらない限りは収束をみなかっただろう。

「本来ならば、内戦でも起こさせるべきなのかもしれないがな」

 それに対し、ピエールは不穏当なことを言ってくれる。

「何をおっしゃいますの」

「いや。レオは本当に優しすぎるのだ。それと同時に公平に物事を見る目を持っている。これは確かに王に必要な能力かも知れないが、それだけでは百戦錬磨の政治家どもを納得させることは出来ない。そういうことを学ぶ場が、あの子には必要なのだよ。その点に関して、次男としてどう生き残るかを考えていたシャルルの方が優秀なのは間違いない」

「まあ」

 息子たちをそう評価しているという話を聞くのは初めてで、ローラは驚きの声を上げてしまう。


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