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自称文筆家始めました  作者: 蔵河 志樹
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第1話 自称文筆家始めました

いい歳したサラリーマンのオッサン。それが私だ。

読書は嫌いではなかった。というか、好きな作家の作品はいつも読んでいたし、お気に入り作品は何度も繰り返し読んだりもした。物語に夢中になって、寝るのも忘れて夢中で朝まで続きを読み続けたこともある。

それは今も変わらないと思う。

Web小説も読んだ。好きな作品にも巡り合えた。

しかし、そうして読み漁るうちに、何か物足りなさを感じるようになった。読んでも読んでも何か空虚なものが心の中に残っているのである。

さて、どうしたものかと考えた。

私は理屈っぽいので、考えるときは理屈で考えようとする。

面白い作品は面白いと感じられるのに、なぜ物足りなくなったのか。

何と言うか、贅沢になったのではないかと思った。

人の欲望には限りが無い、と良く言われる。

最初は満足できていても、段々飽き足らなくなってしまって、さらなる満足を求めてしまうようになるというアレだ。

色々な作品を読み、満足するうちに、それに慣れてしまい、段々と満足できなくなってしまったのだ。その結果、自分が「これ」と思えるような話が見つからなくなってしまったのだと仮説を立てた。

仮説を立てたら検証だ、って、どうやって検証したら良いんだ?

見つからないものは、いくら探しても見つからないのに。

まずい、思考が袋小路に入りそうになってしまう。

考え方を変えよう。

他人が書いた作品群から、自分が読みたいものが見つからないときにどうしたら良いのか。

そもそも、自分が読んで満足するものって何だろう?

そこのところが曖昧では、探そうとしたって見つかるわけがない。

自分が求めるものを具体化してみよう。そう思った。

さて、自分の求めるものをどう具体化するか。メタ的なところから考えるのも一つの手ではあるが、曖昧な状態でメタな議論をするのは困難を極める。勿論、いくつかの要素を挙げることはできる。でも、それらの要素ですべてかどうかを証明するのは難しい。

と言うことで考えたのは、具体的な事例を挙げることだ。

具体的な事例とは、すなわち、具体的な物語。自分で読みたい物語を、まずは自分で書こうということである。書いてみればきっと分かる。

そうして、私は物語を書くことにした。

考えてみれば、自分が欲しいものは、自分で作ればいいじゃないか、と言うのは前からやってきたことだった。

例えば、ご飯のおかずも。レバニラ炒めを食べたくなったら、レバーとニラを買ってきて、下ごしらえして炒めて味付けしていたのだ。

勿論、料理が出来ても、物語が書けるとは限らない。が、書かないと自分の嗜好が明らかにならない以上、やるしかない。

そうして、物語を書くことを始めた。


さて、人間、やり始めるとどうしても欲が出て来る。

ろくに文章を書けてもいないの、人気が出た時のことを考える。

まあ、妄想は無料だからいくらでも妄想すれば良いのだが。

妄想は突っ走り、作家として収入が得られるようになったときのことを想像する。

あれ、うちの会社、副業できたっけ?と心配になる。

心配になったので、就業規則を調べてみた。

副業についての取り決めはあった。というか、人間の幅を広げるために、積極的に副業を推奨しましょうと書いてあった。

おお、うちの会社凄いじゃんと思った。

そうであれば、先の心配は無いので思いきり物語を書いていこうと元気になった。

妄想は膨らむ。

会社の人事の人や上司に「副業申請お願いします」と申請用紙を持って行ったらどんな反応するのだろうか。「凄いね」と言ってくれるのだろうか、「もっと仕事せいや」と言われてしまうのか。「どんな作品書いているの?」と聞かれてしまったときに何て答えようか。

いや、お前、全然そういうところまで行っていないから、と冷静に自分ツッコミ。

作家として会社に副業申請する日が来るのかは大きな謎としておこう。


それより何より、そんなこと心配したり妄想したりしている時間があるのなら、物語の先を早く書けよと自分に思う。


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