表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

真夜中の帰り道

作者: K

暗闇の世を電柱の灯りが地面を照らす中、静寂と月夜の静けさが支配する時を人が歩く。ふと車が横を通り過ぎると耳が音を取り戻す。耳障りではない程の走行音を立てながら次第に世界は音を失くしていく。同時に自分の足音に気づき、それは一定のリズムで独奏していた。歩みを進める度に換気扇のファンの音や誰かのバケツが響かせる音、下水道や池溜まりの水流の音がメトロノームにアレンジを加えていく。



ここまでは一本道の帰路だったが、彼は足を止めた。信号が示す色は赤であり、歩みを止めざるを得なかったのだ。

そこで彼は一時の無音世界に浸ろうとするが、時が止まったような感覚は一瞬で、次は足を止めることはない。

白線を渡った後で左につま先を向け、また歩みを進めた。直後彼の目には先ほどとは違う一本道が映る。これから進む道をみても、驚きはしない。そして彼は道が夜空に続くような坂道を登り始めた。道の勾配が零になっても歩みは止まらない。左右に窓から色が漏れる一軒家が群をなしていて、その中の並木道を一人静かに歩いていく。芝生が広がる公園がみえたら、あとは二百の階段を登るだけだ。街灯に慣れた目でもそこは深淵とみえてしまうように街灯に光がなく、頭上の月だけが雲をかき分け薄く差し伸べるのみであった。

まもなく彼は玄関の前に着き、家族が鍵を開けて迎い入れてくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ