忠告
私を見て硬直してしまった執事さんをヴンシュさんがこずいて正気に戻して私の部屋に案内してもらい二階の奥の部屋につく。
「こちらが聖女様の寝室となります。入って右の扉はベットルームでございます、左の部屋はドレスルームと浴室がございます、詳しいことはまた後日では失礼いたします。」
執事さんは私たちを部屋まで案内するとさっさといなくなりメイドさんは湯浴みの準備をすると言って左の部屋に引っ込んでしまった、・・・まぁヴンシュさんの『さっさといなくなれ』という無言の圧力のせいだと思うけどね。
「はぁ重かった、何入れたらこんな重さになるんだよったく。」
ヴンシュさんはぶつぶつと文句を言いながらテーブルに荷物を下ろしてソファーに座る、文句を言いながらも荷物を乱暴に扱わないのね。
私は荷物を足元に置き直して飲み物が入ってる袋からペットボトルのお茶と紙コップを2個出してお茶を注ぎヴンシュさんと自分の前に置く。
「なんだこれは、緑の水?このコップもずいぶん柔らかいな、すぐに壊れてしまいそうだ。」
ヴンシュさんは飲まずにコップと中身を観察している、私はカバンから取り出したストローをコップに入れてマフラーの隙間に差し込み飲む。
「・・・それはなんだ、飲めてるのか?」
「ズコッ!」
飲めてるのか聞いてきたのでストローで返事をしてみた。
「・・・飲めてるのか、お前が持ってるのは奇妙なものばかりだな」
そう言って彼はお茶に口をつけた、一瞬驚いたように目を見開いていたけどその後は何も言わずに飲んでいたので気に入ったのかな?
私は反対側のソファーに座って改めて彼を見る、褐色の肌に黒髪黒目の容姿をしており大きくたくましい肉体に金の縁取りがされた白い軍服のようなものを着ている。
・・・にしても紙コップ似合わないなぁ、長い脚を組んで優雅にお茶を飲んでるけど白い紙コップのせいで何か色々台無しになっている。
「・・・何をじろじろと見ている」
長い前髪で見えないだろうと思ってたらばっちりばれてましたねうん。
「ああそうだ、いくつか忠告しておくことがあるんだ」
彼はそう言ってコップを置き姿勢を正しこちらを見据える。
「俺はお前を愛すつもりはない」
そう切り出した。