異世界召喚された幼馴染みの苦悩 上
幼馴染みの苦悩を主人公が慰めるシーンです。
黒は薄暗い廊下を一人歩いていた、夜風が吹き抜け冷たい風が黒の頬を撫でる。ふと上を見上げるとそこには影に隠れていた月が現れた。
「はぁ〜やっぱりここは異世界なんだなぁ〜」
ため息こぼし少し項垂れながら黒は呟く、そしてまたコツコツと廊下を歩き始めた、扉の前に立ちノックをする。
「入るぞ、勇斗」
「ああ、どうぞ入ってくれ黒」
そう部屋に誘おうとしてくるのは、いつもの笑顔ではなく少し哀愁を感じさせる笑顔をした勇斗だった。
「しかし、一人部屋なのに広いなここの部屋、家の道場からあるぞここ」
「そんなだな確かにお前の道場くらいあるな、そいえばどうしたんだ黒?」
「ん?、ああいやお前今何してんなかなって、珍しくお前弱ってたろ」
「やっぱりそう見えるか?」
いつもの調子じゃあない勇斗に内心本当に弱ってるなこいつと思いながら会話を続ける黒
「ああ、見えるねこれでもかってくらいに弱ってるよお前は、まぁ分からんでもない、いきなり異世界に召喚されてこの世界を救ってからだなんて」
「ああ、そうだな確かにビックリしたよ」
愛想笑いを浮かべる勇斗を見ながら黒は今日の朝の事を思い出していた
「うむ、よく来た異世界から来た勇者達よ!余の名は、トライファスト王国の王エイリック・トライファスト・グラントと言う、どうか我らを救ってくれ!」
いきなりのことに皆頭が真っ白になっていた、何故ならいきなり知らない場所に連れてこられこの世界を救ってくれただなんて訳の分からない人がいるのだから、そんな中一人だけ、勇気を出したものがいた。
「な、何を言ってるんですか貴方は!?一体ここは何処なんですか!?」
と、大声を上げながら、このクラスメイト達の先生野々原明はエイリックと言う人物に皆が思っているであろう言葉をぶつけた。
「これは済まない異世界から来た勇者達よまずは落ち着いて話を聞いてくれまいか?」
「そんな落ち着いて話を聞けだなんて無理に決まってるじゃないですか!?貴方は私達に一体何をしてたんですか!?」
いつも明るく優しい先生とは思えないほど大声を出しているのはそれ程かなり動揺しているのだろう、そんな明に向かってエイリックと名乗る人物は変わらない態度で
「ふむ、確かに其方の言うとうりだな、分かったまずは、其方の疑問に答えるとしよう、まず余の名をもう一度告げるとしよう余の名は、トライファスト王国の王エイリック・トライファスト・グラントと言うものだ、そして其方達勇者を召喚した者だ」
「勇者?一体何ですかそれ?」
少しだけ動揺が解けたのかさっきより落ち着いた声でエイリックに聞く明
「うむ、勇者とは」
エイリックは勇者とは何か語り出した、曰く、その力は人の身でありながら魔王を凌駕する力を持つ存在である。曰く、その勇者はこことは別の世界から呼び出されるものである。曰く、勇者を呼べる時は、この世界の秩序を守る女神に許可を貰わなければ呼べる存在でない。
とエイリックは語った。
「それで私達がその勇者だ言う事ですか?」
「そうだ」
「なんで勇者が必要なんですか?」
「今この国は魔王の手によって危機に瀕しているからだ」
「魔王とは一体なんなんですか!?」
「魔王とはこの世界に十一に存在し、この世界を傍観する者、国を作る者、静かに潜む者、など多種多様な者たちである、だがその中には世界を支配しようとする者もいる」
質問するたびにその声の大きさがまた大きくなってゆく
明、それ程までに自分に起きた出来事が納得出来ないからだろう、そんな責めるような口調にエイリックは淡々と質問された事に答えてゆく。
「なんで私達なんですか!?どうして、どうして、うっうっ」
「先生は少し休んでて下さい」
「そうですよ先生あとは俺達に任せてください」
「うっ、勇斗くん黒くん」
余りにも理不尽な話に遂に明は涙をポロポロと流し出し始めた。そんな明を落ち着かせる
「勇斗、先生を頼む」
「分かった」
黒は明を勇斗に任せるとエイリックを少し睨みながら質問を始めた。
「エイリックさん、でいいですか?」
「ああ、好きなように呼ぶが良い」
「じゃあエイリックさん、魔王がこの国を攻めようとしてるって話してたがそれは何故なんだ?」
「それは分からない、いきなりこの国を攻めると魔王が宣戦布告をしてきたのだ、いきなりの事で我々はかなり動揺した」
「そうか、じゃあエイリックさんあんた達は俺達を召喚しこの世界に呼んだじゃあその逆も出来るんじゃないか?」
「うむ、確かに出来る」
「じゃあ!俺達すぐ帰れるのか」
「そうでわ!帰ることが出来るんなら早く返してくださらない!」
「そんだよ俺達を元の場所へ返せ!」
動揺で何も喋ることが出来なかった、クラスメイト達が帰れると分かった瞬間、元の場所に返してくれと立ち上がりながら口々に叫び始めるだがエイリックは、生徒達の心を折る言葉を告げた。
「確かに帰れる、だが返すには魔王を倒さねばならないそれが勇者召喚だからだ故に目的を達するまで元の世界に帰すことは我々が帰したくても出来ん」
「なっ!」
「そんなぁ〜」
「マジ、かよ」
エイリックの言葉にクラスメイト達は床にへたり込む、黒も動揺する気持ちを抑えながら、頭で考え答えをエイリックに告げた。
「ふぅ〜、分かったエイリックさんまずは落ち着いて自分達で話してみるよ。まずは俺達には悩む時間が必要だ」
「いいだろう、まずはじっくりと話し合うがいい話が纏ったらまた私にその時の決断を聞かせてくれ」
「分かりました」
「此処では、なんだ君たちを城の部屋に案内しようさぁお前たちこの方々を部屋にご案内しろ」
エイリックは、周りにいる鎧を来た兵士達にクラスメイト達一人一人に部屋へと案内させた、各々動揺しつつも兵士に案内された部屋の中へと入っていった黒も自分の部屋と案内された。
「夜のお食事は各々の部屋に届けさせます何かまたご要望がございましたらその呼び鈴をお鳴らし下さい、すぐに近くにいるものが駆けつけますので」
「分かりました、ありがとうございます」
その兵士が言った通り食事は待っていると可愛いメイドさんが運んで来てくれたリアルメイドを見て内心少し興奮するも、今はそんな事どうでもいいと自分を律した。
飯を食べ終わり呼び鈴を鳴らすとすぐにメイドさんが食べ終わった食器を片付け始めた、そして今日の事について、考える為勇斗の所へと向かったのだった。
そして話は、現在に至る。
「本当ビックリだよな今日一日で本当腹一杯だよな」
「そんだな、本当にビックリだよ」
「はぁ〜勇斗お前はどうするんだ?」
「えっ、ああ今はまだ迷ってるんだ、そう言う黒こそどうするんだ?」
「んっ?俺か?俺はな戦うよ」
「え?」
「だって、そうだろ?もう召喚された時点で後戻りは、出来ないだったらやるしか無いだろ?」
勇斗はビックリしてた表情で勇斗を暫く見ていた、そして暫くすると唇を噛み項垂れながら、
「黒は凄いなぁ〜いつも俺とは違う道をいく、なんでだなんでそんなにお前は強いんだ」
そこにいたのはいつも笑っている勇斗の姿はなかったそこに居たのは、情けない姿の勇斗だった。黒は自然と自分の手を握り締めていた。
「はぁ〜勇斗俺は強くなんて無いよ」
「いやお前は強いよからそれに比べで俺は」
「勇斗こっちを向け」
「えっ?」
「いいから早く」
「分かった」
勇斗が黒の方を向くと黒の目は勇斗を真っ直ぐ見つめていた。
「いいか勇斗、もう一度言うぞ俺は強くなんか無いただ俺は強くあろうと見栄を張っているだけだ、もし俺が一人でこの世界に召喚されていたらマジでやばかった、でもなそれでも俺が見栄を張れるのは、お前達と一緒にこの世界に召喚されたからだ、お前達は俺に取って心の支えになってたんだ」
「俺達がお前の心の支えに」
勇斗は信じられないと言う顔で黒の事を見ていた、黒は滅多に弱音を吐かない、だからこそ弱音を吐いている今の黒が信じられないのだ
「ああ、俺はお前らが居ないと脆い存在だ、だから勇斗今から俺と約束してくれないか?」
「約束?」
「ああ、勇斗もしお前が今みたいに、まいってたり困ってるなら俺がお前の事を今みたいに助けてやる!だからなお前も俺がまいってたり困ってる時お前は俺を助けてくれ!これが、俺と約束して欲しい事だ」
「黒、お前」
黒の真剣な顔を見て本気なんだと察する勇斗、そんな勇斗に黒は、いつもの口調で、
「それにな、今のお前見てたら腹立つんだよいつもヘラヘラして笑ってる癖に少し異世界に召喚されただけで心折れやがって、らしくねぇーんだよ!いつものお前はどこ行ったんだ?いいからさっさと立ち直れこのイケメン野郎!お前は俺の幼馴染みだろ!」
「黒、ふっ、あは、あはははははははははは!、はぁ〜そうだな俺達は幼馴染みだったなじゃあ黒もし俺がまいってたり困ってたら俺を助けてくれ、だからもし黒がまいってたり困ってたら俺がお前を助けてやる!」
「ああ、約束だぜ勇斗!」
「ああ、約束だ黒!」
二人はお互いの右拳を軽くぶつけ合いながら約束を交わした。
(それでこそお前だよ勇斗)
黒は勇斗の顔を見ながらそうそう思った、もう勇斗の顔に一切の迷いはなくいつもの勇斗に戻っていた。それから黒は勇斗の部屋から出ていき、黒は夜の月を見ながらもう一人の幼馴染みの顔を浮かべながらその部屋に向かうのだった。
黒が勇斗を慰める時このセリフでいいかかなり考えましたがこのセリフしか思いつきませんでした。何か別のいいセリフを思いついたら教えて下さい今後使うかもしれません。それでは次回お楽しみに。
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