~第1駅~瞳の奥にある絶望と行動
外は緑の芝生が広がり、それを太陽が白く照らす。そんな景色を見ていると、なぜあんな行動をしてしまったのかと後悔を繰り返す。
1時間前、篠山大樹は怒りと憎しみを感じながら家を出た、大樹は高校を卒業したばかりだった、大学へは進学せず、家業を手伝うという将来計画を持っていた、だが、父親は、大学に行かないものは俺達のの子とは認めんと言っていた、大樹の家は両親ともに大学へ進学しており、小さなころから大樹に大学には進学しなさいと教え込んでいた、大樹はそんなプレッシャーに疲れてしまい、大学には進学しないと決めたのだ、だがそれが原因で、父親と言い合いになり、大樹はそのあとのことも考えず、家を出ていった、少しの金と食料、そして、スマホを持ち、今時走っている事すらも珍しい、汽車に乗り行く当ても分からない旅に出た、そんなことをやってみたかった。というのもあり、そんな旅を楽しんでもいた。
そんなことを考えていると、汽車のスピードがだんだんと速くなっていく、周りの乗客たちもそれに気づき、立ち上がり様子を見ようとする者、座って様子を見る者、そんなことには興味もない者、いろいろといるが、全員が心の中で少し恐怖心を抱いているのは確かだった、そのうち、駅も通り過ぎていき、スピードも上がっていく、すると、車掌らしき人物が運転席から出てくる。
「皆様、非常に申し訳ないのですが,,,,,,,,」
そう車掌が言うと、
「ちょっとどうなってるのよ!」
と30代ほどに見える黒髪の女性が叫んだ
「あのぉ、そのぉ,,,,,,,,」
車掌が言いにくそうに何かを言いたそうに見える、何かむずがゆく大樹は
「あの、何かがあったならはっきりと言ってください」
と言った、その言葉を聞いた車掌は
「あの、この汽車が古いこともありまして、ブレーキが利かなくなってしまいまして、皆様の目的地には行けない可能性がございまして,,,,,,,,」
車掌が発した言葉は、いきなりで、衝撃的で、自分の耳を疑った。だが、突然のスピードの上昇、駅を通り過ぎる汽車、車掌の焦り具合、それらはそんな信じられない出来事を証明している、大樹はこれからどうすればいいのかと固まり、その他の乗客の目は、絶望を見つめていた。