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小悪魔は、正義の使い 1  作者: 渋井かな
3/50

出会い

「私のことは覚えていないのか?」


女性の声が聞こえる。


「ん、んん?」


俺は、その声で目を覚ました。また同じ夢だ、同じ夢を見た。夢の中で同じ声の女性が俺に語り掛けてくる。ん? 俺は声の主の女性を知っているのか? 正義の使いは、神というのだが・・・。


「これから、どこへ行くんですか?」

「学校に向かいます。」

「学校? ・・・学校ってなんですか?」

「ズコー!?」


俺は、話を聞いてもピンと来ない。俺は、正義の使いのデビちゃんと一緒に、学校に向かっている。


「夢の中で、女神さまが、「私のことは覚えていないのか?」って言うんだ。」

「ドキ!? 「あの方」が女神!? プププッ。」


正義の使いは、「あの方」が女神と聞いて、思わず笑いそうになるのを必死にこらえる。


「俺は、女神さまと知り合いだったのだろうか?」

「あなたと「あの方」はですね・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「ゲフ~。」

「毎回、大変だね。」

「そう思うなら、質問しないで下さいよ。」

「すいません。」


楽しく会話している間に、学校に着いた。


遅くなったが、この世界は、普通に中世ヨーロッパ風のロールプレイングゲームのような世界である。妖精や精霊、小人などもいる異世界ファンタジー世界が舞台である。正義の使いさまのように、子悪魔なんかもいる。


「みなさんに転校生を紹介します。自己紹介をして下さい。」

「自己紹介って、なんですか!?」

「ズコー!?」


先生、生徒、正義の使い、みんながこけた。


「自分の名前を言って、みなさんによろしくお願いしますって言うことです!」

「そ、そうなんだ!? アハハ。」


俺は、改めて挨拶をした。


「名前は、サタンです。」

「え!?」

「よろしくお願いします。」


ザワザワっとクラスメートが騒がしい。


「サタンって、上位悪魔の呼び方よ!?」

「自己紹介も知らないなんて、頭がおかしいんじゃない!?」

「あの連れている精霊・・・もしかして悪魔じゃないか?」


俺は、一躍クラスで人気者になった・・・。


「静粛に! 静かにしなさい!」

「シーン。」

「サタンくんは、記憶喪失です。」

「記憶喪失!?」

「本当の名前が分からないので、正義の使いさまが、神々と交信され、神が彼の名前を授けたのです。みなさん、サタンくんと仲良くして下さいね。」

「プププッ。」


もちろん先生には、小悪魔がささやいて、洗脳済みである。


「サタンくんは、1番後ろの席に座って下さい。」

「はい。」


俺は席に座った。


「それでは、授業を始めます。教科書を開いてください。」

「正義の使いさま、教科書ってなんですか?」

「本のことですよ!? さっき、もらったでしょう!?」

「いると思わなかったので、置いてきました。」

「ズコー!?」


俺は、教科書を置き忘れた。


「ペンとか消しゴムは持ってきましたよね?」

「ペンと消しゴムって、なんですか?」

「ズコー!?」


俺は悪くない! 記憶喪失が悪いんだ! ペンや消しゴムがいるだなんて、記憶喪失の人間が分かる訳がない。気がつけば、俺は何も持っていなかった。


「貸してあげる。」


隣の席のカワイイ女の子がペンと消しゴムを差し出してくれた。


「あ、ありがとう。」

「困った時は、お互い様です~。エヘッ。」


彼女は、天使のように、俺に微笑んだ。


「お互い様ってなんですか?」

「ズコー!?」


こうして、俺の楽しい学園ライフが始まった。


つづく。


あらすじ。


「おまえは何を忘れた?」女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?


サタン。俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。しかし、この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?


学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?


おしまい。

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