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小悪魔は、正義の使い 1  作者: 渋井かな
2/50

名前

「自分の名前も思い出せないのか?」


女性の声が聞こえる。


「ん、んん?」


俺は、その声で目を覚ました。また同じ夢だ、同じ夢を見た。夢の中で同じ声の女性が俺に語り掛けてくる。


「ここは、どこだ?」

「ここは、あなたの家です。」

「俺の家? ・・・家ってなんですか?」

「ズコー!?」


俺は、話を聞いてもピンと来ない。俺の前に、正義の使いのデビちゃんが姿を現す。


「俺の夢の中で、誰もいないんだが、女性の声で、「自分の名前も思い出せないのか?」って言ったんだ。」

「それは「あの方」が、あなたのことを・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「ゲフ~。」

「すいません! 正義の使いさま! 神である「あの方」のことは、話すことができないんでしたね。」

「・・・はい。」

「じゃあ、紙に書いて下さい。」

「ズコー!?」


俺は「あの方」のことが知りたかったので、諦めなかった。


「まぁ、いいでしょう。しゃべるのがダメなら、書きましょう。」


正義の使いは、ペンを持ち、紙に「あの方」のことを書きだした。


「「あの方」の正体は・・・。」


その時だった。正義の使いの体を、アツアツの炎が包む。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。もちろん紙も燃え尽きてしまった。「あの方」のことを書くのはタブーなのである。


「ゲプー。」

「大丈夫ですか!? 本当に「あの方」に関することはダメなんですね。」

「・・・はい。」


正義の使いは、これでは命がいくつあっても足らないという表情をしていた。


「あなた、自分の名前も忘れてしまったんですよね?」

「はい。」

「それなら、まず自分の名前を決めましょう!」

「そうですね! さすが、正義の使いさまだ!」

「エッヘン!」


勝ち誇ったように堂々と自信満々に気勢を見せるが、デビちゃんの本音は、こうである。


「なんとか話を「あの方」から変えなければ! このままでは、デビちゃんは死んでしまいます!」

「なにをブツブツ言っているんですか?」

「なんでもありませんよ!? 神と交信していただけですよ!」

「神様と交信!? やっぱり正義の使いさまは、偉いんですね!」

「そうです! 私は、偉いのです! エッヘン!」


まさに悪魔のささやきであるが、ダメージを受けまくった体はグラグラしている。


「名前・・・何にしようかな? 記憶喪失だからアムニシアかな? 今一だな。」

「私がつけてあげましょうか?」

「いいんですか?」

「はい! 正義の使いですから! あなたに祝福のある名前にしますね!(ウソ。)」

「ぜひ! お願いします!」

「分かりました。それでは、天界の神々と交信して、決めますね(ウソ。)」


正義の使いの表情が輝きを放つ。人を騙すのが楽しくて、体がゾクゾクする。「あの方」から受けたダメージが回復していく。


「あなたの名前は・・・サタンです!」

「おお! なんて神々しい名前だ!」

「神が選んだ名前ですからね!(ウソ。)」

「俺の名前はサタンだ!」


サタンとは、悪魔の上位クラスの呼び方である。俺は、そうとも知らずに、名前が決まったことに喜んだ。それを見て、正義の使いは、クスクスっと笑っている。


「正義の使いさま。」

「なんでしょう?」

「次に何をすればいいんでしょうか?」

「そうですね、記憶を失っているので、冒険に旅立つ前に、もう少し勉強した方がいいでしょう。学校に行きましょう!」


俺の次の目標は、学校に決まったのだが・・・。


「学校ってなんですか?」

「ズコー!?」


こうして、俺は、学校に行くことになった。


つづく。


あらすじ。


「おまえは何を忘れた?」女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう?


サタン。俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。しかし、この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?


おしまい。

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