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小悪魔は、正義の使い 1  作者: 渋井かな
15/50

モグラ1

俺は、初めてダンジョンにやってきた。盛大な歓迎を受けた。しかし、そこにモグラの侵略者が現れた。正義の使いさまの命がけの大活躍で、なんとかモグラたちを倒すことができたのだが、なんだかモグラたちの様子もおかしかった!?


「お~い! みんな!」


忘れ去られていた俺は、洞窟を脱出して、正義の使いさまの奇跡を崇めている大衆の前に駆け足でやってきた。


「人間が来たぞ! 血でも吸うか?」

「あれは、私の弟子です。」

「失礼しました! 正義の使いさま!」


正義の使いこと、小悪魔のデビちゃんは、コウモリたちを完全に洗脳した。


「神人間くんだ。」

「ハハハハハ! 忘れ去られる主人公なんて聞いたことがない! 今から君の名は、忘れ物だ!」

「どうした? 忘れ物?」

「なんだよそれ・・・。」


俺の名前は、4つ目の「忘れ物」になってしまった。


「それが、ウリ子が壁の突き当りのモグラ洞窟を焼き払いに行ったんだ。」



ウリ子がモグラ洞窟に、モグラ退治にやってきた。


「あれれ? モグラさんがいないぞ?」


洞窟には、モグラがいなかった。それどころか、変な臭いがしている。


「なんだ? この臭いは? クンクン。」

「ダメ! その臭いを書いじゃあダメです!」


壁に穴が開いて、穴の中からモグラ女が現れた。ウリ子に飛び掛かり、コウモリの住んでいる、はじまりの洞窟の方に手を取って駆けていく。


「こっちです!」

「うわぁ!? 君はいったい!?」

「話は後です!」


2人は、壁の突き当りの所までやってきた。俺と地面に倒れて気絶しているモグラ親分を見つける。


「お、お父さん!?」


モグラ親分は、モグラ女のお父さんだった。


「どうなってるの?」

「わかんない。お嬢さん、説明してくれるかな?」

「私は、モグラ女のモグちゃんです。お父さんたちは、決して悪さをするつもりは無かったんです。」

「どういうこと?」


モグラも何か、訳ありのようだ。


「実は・・・、私たちは平和に暮らしていたんですが、ある日、いきなり洞窟にキノコが大量に発生しまして、変な臭いを吐き出し始めたんです。」

「さっきの臭いだね。」

「はい。臭いを吸った仲間は、毒に侵されたり、混乱したり、最悪の場合は死んでしまう者もいました。だから父は、穴を掘って安全に暮らせる場所を探していたんです。そこにコウモリさんたちが住んでまして・・・ゴメンナサイ! 私たちも切羽詰まった状態だったんです!」


モグラさんは、キノコに困っていたのだった。


「それでも武力行使はよくないよ。」

「ゴメンナサイ!」

「後でコウモリさんたちに謝ってよ。」

「はい。」


モグちゃんは、深く反省している。その姿勢をみたウリ子は、変な臭いから助けてもらった恩もある。


「それは、それとして、モグラさんたちが、また暴走しないように、洞窟のキノコを焼き尽くしてしまおうか。」

「え!? 助けてくれるんですか!?」

「私たち、正義の使いさまの子分だから。(ウソ。)」

「ありがとうございます! 天使さま!」

「神人間くん、君は地上に行って、モグラさんたちの事情とラファ子を呼んできて、お父さんモグラも、すぐに直せるから。」

「ありがとうございます。」

「わかった、行ってくるね。」


俺は、ダンジョンを走って、出口を目指した。


「じゃあ、キノコ狩りだ。」

「私が道案内をします!」

「それは助かるよ。」

「こっちです!」


ウリ子とモグちゃんは、モグラの洞窟へ消えて行った。



「なに!? ウリ子が目立とうと1人でモグラの洞窟に行っただと!?」

「ミカ子、そこ違う・・・。」

「モグラさんにも、そんな事情があったのね。」

「キノコ退治は、私に任せろ!」


ミカ子は、洞窟に走って駆けて入って行った。


「ああ、ミカ子行っちゃった・・・。」

「きっとキノコの臭気で、動けなくなるのがオチね。」


天使たちは、他人事なので納得できる。


「だからって、コウモリの住処に攻めてくるなんて・・・。」

「そうだ! そうだ! 戦争行為だ!」

「お姉ちゃん、怖かったよ。クスン。」

「リトルちゃんは、捕まったんだぞ!」


コウモリたちは、モグラたちを許せなかった。


「みなさん! お静かに!」


その時、正義の使いさまが声をあげた。


「攻められたコウモリさんたちが、モグラさんを許せないという気持ちは分かります。でもモグラさんたちも、困って仕方なかったのです。」

「正義の使いさま・・・。」

「ここは正義の使いである、私の顔を立てると思って、モグラさんたちを許してあげてください。お願いします。」


デビちゃんは、コウモリたちに頭を下げた。小悪魔にあるまじき行為である。


「正義の使いさまが仰るのなら・・・。」

「そうだな。困ったときはお互い様って言うしな。」

「俺たちは、正義の使いさまに助けてもらったんだし。」

「私、正義の使いさま、大好き!」

「みんなで仲良く暮らしましょう!」


コウモリたちは、偉大な正義の使いさまの言うことを受け入れた。


「ありがとう、みなさん。」


デビちゃんは、みんなの温かさがうれしかった。コウモリとモグラでも、話せば分かり合えることに、小悪魔は奇跡を感じていた。


「正義って、すごいですね。」

「デビちゃん、何か言った?」

「え!? 何も言ってませんよ!?」


うろたえてしまう、正義の使いさまでした。


「まず、ラファ子。モグラ子分を回復してあげよう。」

「は~い。」


ラファ子は、光の魔法陣を描く。


「傷よ! 治れ! 元気になあれ!」


モグラ子分の傷が回復した。


「次、忘れ物。事情を知らない子分を置いていけないので、担いでね。」

「わかった。」


俺は、モグラ子分を背中に担いだ。ガブ子は、光の魔法陣を描く。


「いでよ! 光のエレベーター!」


地面に光でできたエレベーターが現れる。


「では、行ってきます。」

「いってらっしゃい。」


俺たちは、エレベーターに乗りこんだ。


つづく。

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