シャルティシエ
シャルティシエは連邦国家だ。
日本でいう、江戸時代の徳川幕府のようなものだ。中心に幕府があり、その周りに藩がある体制だ。
だから、幕府である首都シャルバルディアには、全体を従える力を持たず、代わりに藩であるパートが各々力を持っている。つまり、パートごとに独自の産業があり、パートごとに財源を持っている。それはつまり、各々独立した経済圏をもっているのだ。
首都シャルバルディアは、発展していた。
高層のレンガ造りの建築物は立ち並び、歩く人たちは、様々なおしゃれな衣服を身にまとっていた。
西暦で言うと、1900年代水準かもしれない。産業革命は通過しているのかもしれない。高層建築は、軽く200メートルは超える高層建築が存在していた。
しかし、アプリに話を聞くと、昔の建造物はそのまま使っているため、築300年の建造物も結構あるのだという。
それだけで、とどろは、この国は、長く戦争をしていないのだと思った。少なくとも、自国が戦火にはさらされてないのだと思った。
築300年の建造物なんて、普通は戦争をしてしまえば、破壊されて残ってはいない。
それだけで、とどろは、シャルティシエが良い国だなと思った。
「役場へ早く行こう。アプリさん」
とどろは、アプリを急かせた。
「街案内はもういいの。それに、どうしちゃったの、とどろ。目を輝かせちゃって」