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私の意識のように

第九部ありがとうございます!


更新ペースが乱れててごめんなさい!


ゆっくりしていってください!

さっきの不思議な出来事のおかげで、ヤツと嫌な雰囲気になることは避けられた。やり直したいと強く願えば、また同じようなことができるのではないか?なら、私はこれから上手く生きていくことができる。いや、だがまた使えるとは限らない。もしかしたら夢だったのかもしれないのだから。


『はい授業はじめまーす。』


『きりーつ。』


このことを考え出すとキリがない。授業に集中しなければ。

…と思ったが眠い。夜中までゲームをやり腐ってたからだろうか。内容が全く頭に入ってこない…。

おやすみ。

バレないように右手で頬杖をついて窓の外を見ているように見せかけた。もちろん目はつむっている。周りの髪が長い女子たちは、髪で隠してイヤホンで音楽を聴いている人が多い。あいにく私は髪がそこまで長くないため、イヤホンが見えてしまう。没収されるくらいなら黙って寝ていた方がマシだろう。

アイツの席は私の斜め前。だが私の隣はよく休むため、寝やすいようにと担任以外の授業では後ろに来ている。今も私の隣でよだれを垂らしながら寝ている。汚い。


そんな眠い状態のまま、2限、3限、4限と過ぎていき、やっと焼きそばクリームパン&おしるこタイムが来た。いや、今日はココアにしよう。おしるこよりさっぱりしたい気分だ。


『よいしょっと。あぁ眠かった。』


「…だからなんでお前は私の机で飯を食うんだ。」


『まぁ、色々あってさ。どうやらあいつらとは話が合わねぇ。』


「は?あんなに仲良くしてたのに?」


『まあ俺のことは良いだろ!飯食おうぜ!』


「い、良いけど…私なんかと一緒にいたら嫌な目で見られるよ?」


『知るかよ、俺はただ飯を食いに来ただけだ。』


「それはそうだけど…。」


『まあまあ良いだろ!そのブレスレット着けてる時点で嫌がっていないと断定した!』


「もー…。」


ブレスレットは気に入ってる。とても。はっきり言って前のやつよりずっと可愛い。これと引き換えならケバ女たちに譲って良かった。


「気に入ってるよ、これ。」


『良かったー、もう取られんなよ!』


「まあ、それはもうないかな。」


私のバッグを捨てたヤツが現れない限り、ケバ女たちがまた私にちょっかいをかけてくることはないはずだ。それにしてもあれは誰だったんだろう。


『なんでだ?』


「だってバッグ…、」


しまった、口に出た。最後の言葉を発する前に気付いたため、語尾が変に上がってしまった。


『ん?パック?』


「私は泥パックはありえないと思う!!」


『なんだ、どうしたいきなり。俺の姉ちゃんはやってるぞ。』


「あ、あは。」


危ない。私の滑舌が悪くて良かった。あとあいつの耳も。

バッグのことは知られたくない。絶対に。そんな情けないヤツだとおもわれたくない…。


『あー、なんか最近面白いことねぇよな。なんか起きないかなあ。』


「アンタには部活あるでしょ。大会近くて休みないんじゃないの?」


『俺、好きでバスケやってねーしなぁ。』


「え、そうなの?」


『たまたま親にミニバスからやらされてなかなかできるようになったからここまで続けてるだけ。本当は高校じゃやるつもりなかったけど、楽に入るには一期しかなかったからな。バスケで入っちまったから、バスケやるしかねぇわ。』


私は、小学生の頃地域のミニバスのチームに所属しており、バスケをしていた。ゲームばかりの私に、他にやりたいことを見つけ出してくれた親には感謝したものだ。

だが、長くは続かなかった。私はしばらく走れなくなるほどの捻挫をし、シングルマザーである母が体調を崩す。小学生ながらに家事と弟の面倒を見なくてはならない日々が続き、バスケという存在は私から大きく遠のいた。母の体調がひと段落すると、私はもう6年生の12月になっていた。またバスケを始めるには、もう遅かった。それに捻挫の治療もまともに受けることができず、未だに歩くと痛みが残る。こんな状態で、バスケなど出来るはずがない。

そして、バスケという大好きだったスポーツは私の中から消えた。

私はバスケがしたかった。ずっと。だがそれは叶わなかった。母の不安定な体調。弟の面倒。治りきらない足。バスケよりも優先すべきことが多すぎた。だから私はバスケをやめた。

なのに、なのに。

なんだこの男は?好きでバスケをやってない?あんなに上手くプレーをしていて。


「が、外部コーチに喜んでたのは?」


『外部コーチとやったほうが楽しいだろ。チームのためにもなるしな。』


良かった。ここで、外部コーチが来ないと自分の相手になる人がいない、などと言い出したらぶん殴るところだった。だが…。


「そんなの、ずるい、よ。」


『ん?』


口が塞がらない。言いたくもない言葉が溢れる。こんなことを言ったら嫌われてしまう。そんなのは嫌だ。


「努力してお前より上手くない人なんて数えられないほどいるのになんでお前はそんなに軽いんだよ!」


違う。こんなこと言いたくない。私が我慢すればいいだけなのに、どうして。


「もっと仲間を見なよ、バスケ大好きでやってる人だっているんだよ!なのにどうしてそんなことが言えるの!?」


手に力が入り、持っていた中身の少ないココアの缶がへこむ。自分を上手く制御できていない。


『す、すまん…。』


また、あの顔だ。口を軽く結んで、目を垂らしている。胸が締め付けられる。どうしていつも人を傷付けたと分かるのは、すべて終わったあとなのだろうか。

コン、と。ココアの缶を置く。また、ごめんの一言が出てこない。どうして学習できないんだ。

嫌だ、やり直させてくれ。

片方の手に持っていた焼きそばクリームパンが、不意に力の抜けた手から机に落ち、少しクリームが飛んだ。私の意識のように。

最後までありがとうございました!


第十部もよろしくお願いします!

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