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見ていると微笑ましい

第十一部、ありがとうございます!


今回結構長めです!


ゆっくりしていってください!

『意外と人いねぇな。』


この真冬ということもあり、水着コーナーに人はまばらだった。楽に選べる。


「さてと、どうしようかな。」


『どんな形にすんのー?』


「それも決めてない。」


店内を軽く見て回った。ビキニは可愛いのがあったが、キャミソール型は派手なのが多くて嫌だ。


「ビキニが良いなー。キャミソール型は可愛いの無い。」


『そうだな。派手なのばっかだもんな。』


『お客様、何かお探しですか?』


髪の毛を頭のてっぺんでお団子にした声だけは可愛らしい店員が話しかけてきた。


「あ、はい。ビキニの水着を。」


『どんなものがお好みですか?』


「あまり派手じゃない、青とかが良いです。」


『お前青が好きなのか。』


「まあ、青なら少しくらい派手でも良いかなって感じ。」


『それでしたら、こちらの2点がお客様にはオススメだと思います。』


1つは青い生地に白い水玉模様が入ったもので、もう1つは藍色の生地に上下共にひらひらが着いたものだった。


「どっちが良いと思う?」


『んー、俺的には藍色の方かな。』


「じゃあこっちで。」


『はぁい。レジまでどうぞ〜。』


「ねぇ、私が払うのに隣にいて恥ずかしくないの?」


『絶対あの店員俺らのことカップルだと思ってるから俺が出してなきゃ恥ずかしいよな。』


「でもまあ付き合ってないし良いか。」


『まあ。』


『彼氏様、パーカーなどは購入しなくてよろしいですか?』


『パーカー?』


『彼女様のお身体がまわりの人に…、』


『あー買います。』


「お前彼氏じゃないだろ。」


『まあいいだろ!パーカー代は出すから!』


「もー。じゃあパーカー選んでよ?」


『待ってて。』


『素敵な彼氏様ですね。』


「ただの友達なんですけどね。」


『あらまあ。』


声だけは可愛らしい店員がにやにやしている。いや照れ隠しじゃなくてまじで友達だからな。これ以上の答えはない。


『ピンクにしてみた。』


彼が持ってきたそれは、淡いピンク色でお尻の下あたりまで隠れる長さの物だった。腰のあたりでキュッと縛れるようになっている。


「可愛い。ありがとう。さすがセンス良いね。」


『よっしゃ!これでお願いします!』


『はあい。ありがとうございますぅ。』


「あ、じゃこれ水着代。」


『おっけー。』


水着代を手渡すと、少しまわりを見回した。プールで貴重品が濡れないようにする首から下げる箱みたいな物(名前は知らない)や、ビーチサンダル。その辺のものは、確かうちにあったと思う。


『ありがとうございました〜!』


『はい、これ。俺が買ってあげたみたい。』


「半分は私出したし。てか、なんで店員さんがパーカーの話した時食い付いたの?」


『いや、なんかな。あんまり他の男にお前の体がじろじろ見られても気分良くないからな。せっかく2人で行くんだから、俺だけが得したいじゃん?』


「変態か。」


『違うから!!』


これはこれで嬉しい気がする。ますます明日が楽しみになってきた。


『カラオケ行こ、カラオケ!』


「よっしゃ。私の歌唱力にきっとあなたは涙する。」


『どんだけ自信あんだよ!』


「ふっふっふ。自信は勝利を導く。」


『負けねー。』


平日の放課後、1人カラオケで練習をした。バッチリだ。絶対に負けない。コイツにだけは!!


「人多いのに空いてるかなー?」


『あー。ミスった。予約入れときゃ良かったな。』


「もうだいたいお昼過ぎでしょ。夕方まで入れなかったらどしよ。」


『とりあえず行ってみようぜ。』


建物を出て、斜め向かい側にあるカラオケ店に足を運ぶ。どうか空いていてくれ。


『えぇっと〜…次入れて2時半ですね〜。』


「その時間にきます。」


『よろしくお願いします。』


運が良い。とても良い。2時半ならば3時間は余裕。歌い放題だ。


『取れて良かったなー。運が良かったな。』


「本当良かった。とりあえずお昼食べよっか!」


『そうしよう。今日はファミレス入ろっか?』


「良いね。おしるこあるかな。」


『おしるこは知らねーけどハンバーグ食べたい。』


「決定。」


ファミレスもまた近かった。だがそれまでの道が寒い。この街は風が強く、向かい風はかなり苦しいものとなった。


『ファミレスいっぱいだったらどうするよ!?』


「その発想はなかった。でもまあ待ち時間あっても時間潰せるし良いんじゃない?」


『確かにな。まあいいか。』


『何名様ですか?』


「2名で。」


『ただいま満席となっておりますので、しばらく椅子にかけてお待ちください。』


「やっぱいっぱいだっだね。」


『仕方ないよな、ファミレスだから家族連れもいるしな。』


待ち時間の間に、他愛ない会話をした。


『明日楽しみだなー。』


「そうだね。誰にも会わないと良いなあ。」


『出かけた先で知り合いに会うのはキツイな。』


「ましてや私たち付き合ってないしね。」


『いっそ付き合っちゃう?』


ドキッとした。そういう冗談はよしてくれ。


「ばかじゃないの?まったくそういう冗談はやめてよね。」


『はは、冗談に決まってるだろ!』


何か言いたげだったが冗談ならそれ以上の答えは求めない。


『2名でお待ちのお客様〜!』


「私たちじゃない?行こう。」


『そうだな。』


『こちらです。ご注文がお決まりになりましたらそちらのボタンでお呼びください。』


軽く会釈をした。


『よっしゃー。何食おう!』


「どうしよっかなー。グラタン美味しそう。」


『お前、焼きそばクリームパンとおしることココア以外に美味しそうとか思うものあったのか。』


「ばかにしてんの?」


『いやすまん。』


「じゃあ私、海鮮グラタンとおしるこにする。飲み物はお茶でいいや。」


『分かった。じゃあ俺はこの普通のハンバーグでいいか。』


「足りんの?」


『余裕だろ。意外とこれでかいぞ。』


そんな大きさなのかとメニューをまじまじと見つめていると、店員が来た。


『お水お持ちしました〜。ご注文お決まりでしたら承ります。』


『えーっと、海鮮グラタンとおしること、飲み物はお茶で。それから、このハンバーグとコーンスープ。飲み物はコーラで。』


『ご注文繰り返します。海鮮グラタン、おしるこ、お茶、ハンバーグ、コーンスープ、コーラを1つずつでよろしかったですか?』


『はい。』


『承りました。少々お待ちください。』


「よくあんな淡々と受け答えできるね。すごいや。」


『できたほうがかっこよくね?』


「まあそれはある。」


『お昼は俺が出すよ。』


「え、悪いよさすがに。」


『いいのいいの。お昼だけでも全額払わせてくれ。』


「あ、ありがとう。カラオケは私も出すよ。」


『いつか全部出せるような男になりてえ。』


「無理して出さなくて良いのに。」


『部活やってるとなかなかバイトと両立できなくてさ。週2日しか行けないバイトとか雇ってくれないだろ?こうやってお前とも遊びに来たいし。』


「私もバイトしようかな。」


『俺より金持ってたら恥ずかしいんだけど。』


「知るか。でも軽くコミュ障だからバイトキツイかも。」


『耐えろそんくらいは。』


「ですよね〜。」


『失礼します。お飲み物と、コーンスープとおしるこです。』


『ありがとうございます。』


『他のものももう少しでお持ちしますのでお待ちください〜。』


「おしるこ美味しそう。」


『いただきます。』


「いただきます。」


『ん、んまい。濃厚。』


「お餅ふわふわ。美味しい。」


『これならハンバーグも期待できそう。』


「だね。」


このファミレスのおしるこは甘すぎずさっぱりしすぎず、お餅がふわふわで食べやすかった。もちろん缶のおしるこが1番なのだが、こういうところで食べるのも良い。食べるなのか飲むなのかどっちなのかは分からない。日本語って難しい。


『失礼します。ハンバーグと海鮮グラタンです。』


『ありがとうございます。』


『ご注文は以上でよろしかったでしょうか?』


『はい。』


『失礼しました〜。』


「美味しそう…!」


『目キラッキラじゃねぇか。グラタン好きなのか?』


「結構好きな方。」


『良かったな。いただきます。』


「いただきます!」


いただきます、と言ってから、彼は少し私を見ていた。なんだか恥ずかしかったので、私は顔を上げなかった。人に食べているところをまじまじと見つめられるって、こんなに恥ずかしいんだ。


『美味そうに食うなあ。』


「美味しいもん。早く食べたら?」


『忘れてたわ。』


悔しいので、私も彼を見つめてみた。さすがスポーツ部というところであろうか。ほんとに味わっているのかと言うくらい食べるのが早い。ずっと見つめていては置いていかれてしまう。


『お前さ、俺と話し始めた時は焼きそばクリームパン食べてるときも美味そうな顔してなかったのに、変わったな!』


「えっ、そう?」


『俺はそう思うぜ。』


「そうかな。貴方と出会ったおかげかもね。」


『全く何言ってんだ。ごちそうさま。』


「はや!?」


『おっそ!おしるこ飲んじまうぞ。』


「やめろ!」


『まだカラオケまでは時間あるからゆっくり食えよ。』


「ふ、ふむ。」


『なんかデザート食べよっかな。』


とりあえず私は海鮮グラタンを味わった。せっかく奢ってもらうのだ。味わわないと申し訳ない。それに私はもともと食べ物は味わって食べる派だ。


『すいませーん。』


『はいー!』


『ショコラケーキ。1つお願いします。お前は?』


「んーん、私はいらない。」


『じゃ、それでお願いします。』


『承りました〜。』


「女子みたい。」


『うるせぇなあ。』


「よく食べるねぇ。」


『一応俺だってスポーツマンだからな。好きなバスケのためにももっと鍛えてぇ。』


好きなバスケ?やり直す前と言っていることが違う。まあ、ここはあえて突っ込まないようにしておこう。


「次の大会も良い結果残せると良いね。」


『まあな!最低でも市では優勝しねぇとな。』


「レベル高いこと言うね。」


『今年で顧問がここの高校最後なんだよ。だから良い結果残したくてさ。』


「そうなんだ。あの先生これで最後なのかあ…。」


『エビもらい!』


「は!?」


『うめー。』


「許さねぇ…。」


『ショコラケーキお持ちしました〜。』


『あ、どうも。』


「私のエビ…。」


『ほら、こっち向けよ。』


「ん?」


顔を上げると、目の前にショコラケーキの上に乗っていたイチゴなあった。


『口開けな。』


「あー。」


イチゴを貰った。美味しい。


『ショコラケーキにイチゴ乗ってるって結構珍しいよな。』


「ん、美味しい。」


『甘いもんは何でも好きなのか?』


「基本的になんでも好き。」


『そうか、それだけは女子っぽいな。』


「さっきからなんなんだし。」


『甘党女だな。』


「もお。ごちそうさま。お腹いっぱいだ。」


『良かった良かった。』


「ちょっとお手洗い行ってくる。」


『了解。』


席を立つと、他の席には子供がたくさんいた。あまり子供は得意ではないけれど、見ていると微笑ましいものだ。見てると微笑ましいのは、彼も同じかもしれない。彼は、ずっと見ていたいと思う。

お手洗いの鏡で顔を見ると、私は笑みを浮かべていた。嫌だ恥ずかしい。ずっとニヤニヤしながら歩いてたのか。


『あれ?なに不機嫌そうな顔してんの?』


「べ、別に不機嫌じゃないよ?」


『へぇ?』


彼はニヤッとしてこっちを見た。なんだか恥ずかしくて顔が火照ってしまった。


「うっ、うるさいな!」


『はは、笑った。』


「なっ…。」


『よぉし、払ってさっさとカラオケ行こうぜ。』


「そうしよ!」


彼といると気が楽だ。こんなに短期間で仲良くなれるとは思わなかった。このあとのカラオケもとても楽しみだ。私の歌声で涙させてやろう。


最後までありがとうございました!


またよろしくお願いします!

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