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03

「ーーそれで、どういうこと?」


孫呉を治める王の私室の寝台で、この部屋の主は仰向けに寝転がった男の身体に跨がりつつ尋ねる。


互いに衣服は身に付けておらず、素肌に浮かび上がった汗が流れ落ちる中、男が見上げていた天井から視線を自身の腰へ跨がる彼女に向ける。


「……その前に…問答無用で評定から連れ出して、これまた問答無用で軍服を剥いで事に及んだ理由は…?」


「嫌だった?その割には途中から和樹も攻めて来たじゃない」


「そう返されると非常に困るんだが……」


少しばかり激しくした所為もあって乱れてしまった髪を掻き上げながら雪蓮は跨がっている男の上から退くと彼の投げ出された腕へ頭を乗せる。


「ーー無理矢理っぽくしちゃったのは和樹が悪いんだからね?」


「ーー俺、なにかしたか?」


「ーー取り合えず、華琳からの召喚命令かしら」


やはりそうか、と和樹は嘆息しつつも腕に乗せられた雪蓮の頭を撫でる。


「とってもビックリしたわよ。半年前の三国会議の後にやった宴で貴方達が張三姉妹と演奏したわよね?しかも、まさかの和樹も楽器持って演台に上がるんだもん。ぎたぁ、だっけ?」


「……エレキの事か?確か、フレメンコギターも弾いたな」


「そうそうそれ。あの時と同じくらい驚いた」


半年前の三国会議の開催前に、宴会の余興で久しぶりにバンド演奏しないか、と寿春の城を訪れて話を持ち掛けて来たのは将司だった。


その時の和樹は書類の処理に追われていた徹夜二日目の朝を迎えており、頭の回転は非常に鈍かった。


好きにしろ、と返したのが悪かったのか言質を取ったとばかりに将司は彼に、じゃあお前もエレキ担当で参加な、と満面の笑みで言い放ったのだ。


一度放ってしまった言葉ゆえに撤回は出来そうになく、和樹はほとんど巻き込まれる形で参加となってしまった。


まぁ、数え役萬☆姉妹こと張三姉妹とのコラボもあり盛り上がったのも事実ではあるが。


「…それはともかく。話を戻すが彼女が何を考えておるかは判断しかねる。だが相手は同盟国の君主にして漢の丞相だ。ヘタな理由で断るなんぞ出来る筈もない」


「そこが辛いのよねぇ……私達としては貴方を行かせたくないんだけど……」


「…そりゃどうも…」


「照れてる?」


「照れてない」







ーーまだ時刻は1500過ぎだと言うのに城下の大通りを騎乗しつつ歩む二人組の内の一人は眉根を寄せて顔をしかめている。


「…普通、昼日中から何回もするか…?」


「隊長個人のプライベートの事なので私からは何も申し上げる事はございません。というより申し上げたくございません」


「あぁ是非そうしてくれ。でないと俺の立つ瀬がなくなってしまう……運動しすぎて腹減った…」


互いに溜め息を吐き出しつつも握る手綱を捌き、進行方向を変える。


和樹の発言が緊急を要する事項と認定され、評定後に予定されていた宴会はお流れとなってしまい、昼前から何も口にしていなかった二人の腹の虫が鳴る。


「それで洛陽行きに関しては?」


「不承不承といった具合だが許可は出た。相棒と俺の用意が済み次第、洛陽へ飛ぶ。お前も同行ーー」


「ーー新兵教育隊の野戦訓練が控えておりますので申し訳ございませんが代役をお願い申し上げます」


「……判った。中尉を連れて行くとしよう。だが欠員になる以上は成果をあげるように」


「全力を尽くします」


馬上で頭を下げる曹長の姿を横目に捉えつつ和樹も軽く頷いた。


「我軍の兵力増強は急務だが半端は許さんぞ。兵の量と質のいずれも欠けては戦争には勝てん」


「承知しております。本年中に1000名の増強を済ませ、各隊へ配置し各兵科ごとの専修に入らせます」


「結構だ」


「それと以前から具申していた親衛隊の新設に関する件なのですがーー」


「…何度も言っているが要らん。ただでさえ兵力増強が急務であるのに既存の部隊を差し置いて新しく設置する部隊へ回す兵力の余裕はない。ついでに言えば、時間とカネの余裕もない」


具申されていた案件を一蹴した和樹に対し、曹長はフードの奥で眉根を寄せる。


「ーーですが以前ならば我々隊員が隊長の周囲に侍っておりましたが現在では各部隊の指揮官や教官に上番しております。つまり危急の事態となった場合、御身おんみを護る事は我々では難しくなります。だからこそーー」


「ーー危急の事態に備え、俺の周囲を警護する親衛隊の設置が必要ーーなのだろう?だが自分で自分の身ぐらいは守れる」


「おや?毒矢に当たって生死の境を彷徨ったのは何処の何方でしたか?」


「ーーーー」


返された容赦のない言葉の矢を受け、和樹が押し黙ると曹長が騎乗している愛馬の手綱を軽く引いた。


「…まぁ…この件は兵力と戦力の拡充が済んでからに致しましょう」


ーー現在となって別邸扱いとなり、建業滞在時にしか利用しなくなった屋敷へ辿り着いた。


「自分は野営地に戻りますのでごゆっくり御休み下さい。明朝0700にお迎えに参ります」


「…応、御苦労だった」


「ではーー」


敬礼を済ませ、曹長が愛馬の腹を蹴って前へ進み出す。


久方振りの建業の屋敷の前へ降り立った和樹は手綱を軽く握りつつ閉ざされた門を叩いた。








「……涼しくなってきたのぅ……」


「…そうだねぇ……」


夕暮れ時。


建業の大通りを歩く二人組は互いの手に荷物を提げていた。


「買い物は、これで終わりかの?」


少女は長い金髪を揺らしながら傍らを歩く、黒髪を茶筅髷に結った少年を見上げた。


「…えっと…うん、粗方は終わったよ」


少年は懐から買い出しの内容を書き記した紙片を取り出しつつ傍らの少女へ返答する。


「あとは…旦那様のお酒の肴を買うだけだよ」


「むぅ…旦那様は良く酒を呑むのぅ…」


「はははっ。まぁ旦那様だからね−−…っと、あそこの乾物屋だよ」


「先に行って選んでおくのじゃ−−!!」


「あっ、美羽!!人にぶつからないようにね!!?」


「心配ないのじゃ−−!!」


「はぁ…もう…」


少年−−徐盛は使用人仲間となった少女の破天荒振りに苦笑を浮かべつつ溜息を吐き出す。



−−…リィン…−−


「……ん?」


ふと徐盛の耳に微かな鈴の音が聞こえた。


大通りの喧噪で掻き消されてもおかしくない程、微かな音色。


それが彼の耳朶を打った。


−−…リィン…−−


「………?」


まただ。また聞こえた。


妙に気になった彼は立ち止まり周囲を見渡す。


何故か気になってしまった。


すると、彼が巡らした視線の先に一人の女性が立っていた。


−−…リィン…−−


その女性が眼に止まった瞬間、また鈴の音。


女性の視線も揺れる事なく、徐盛をじぃっ…と見詰めている。


小首を傾げていると視線の先の女性が彼へ礼をした。


「あっ……」


反射的に徐盛も一礼。


顔を上げると女性はとても穏やかに微笑んでいた。


それが気になり、徐盛は美羽が待つ乾物屋への進行を中断し、件の女性の下へ歩き出す。


「−−失礼ですが……なにか御用でしょうか?」


間近まで来て彼は気付いたが、件の女性は中々の美人だった。


歳の頃は二十歳過ぎだろう。上等な着物へ袖を通し、艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、右目の眦の下には小さな泣き黒子がひとつある。


彼女の帯には小さな鈴が吊るされており、これが鳴ったのだろうと徐盛は推測した。


すると瑞々しい唇へ紅を引いた女性が口を開く。


「突然の御無礼をお許し下さい。もしや…韓狼牙様の御屋敷にお勤めの徐哉様ではないでしょうか?」


それを聞いた徐盛は、はて?と疑問に思う。


徐哉は自分の幼名だが……こんな美人に見覚えはない。


「確かに私ですが……現在は元服し、徐盛と名乗っております」


「これは重ね重ね御無礼を……」


驚いたのか口を手で隠しつつ彼女は謝罪の意味を込め、礼を取った。


「どうかお気になさらず。…それで…私に御用でも?」


「はい…。狼牙様に最後の御挨拶を致したいと思っているのですが……お恥ずかしながら御屋敷の場所が判らず難儀しておりました次第です」


「あぁそうでしたか…旦那様に…。…何処かに参られるのですか?」


「はい…遠い所へ。…それで、せめて最後に御挨拶をと…」


「なるほど…判りました。では、御案内致しますのでこちらへ−−」


事情を察した徐盛は案内を引き受け、先導しようとするが−−彼女は首を横へ振った。


「いえ…それには及びません」


「しかし……」


「お見受けする限り……まだお勤めの途中の御様子。邪魔をしたと狼牙様に知られたら怒られてしまいますわ」


そう言うと彼女は口元を隠しつつ眼を細め、微かな笑い声を漏らす。


「では…場所だけでもお教え致します」


「お手数をお掛けして申し訳ありません…」


軽く頭を下げた彼女へ徐盛は屋敷の特徴と道程を教えた。


「−−判りました。それでは近々、お邪魔致しますのでどうかよしなに…」


「旦那様にお伝え致します……えっと……」


はた、と徐盛は気付いた。


そういえば、まだ名前を伺っていないと。


それに彼女も気付いたのか申し訳なさそうに苦笑し始めた。


「まだ名乗っておりませんでしたわね。私、凉鈴りょうりんと申します。涼やかな鈴と書いて凉鈴です」


「凉鈴様、ですね?」


「はい」


「承りました。お越しをお待ち申し上げております」


「御丁寧に」


「では…私はこれで」


「こちらこそ、お邪魔をしまして…」


互いに会釈をした後、徐盛は踵を返し、乾物屋へ向かい歩き出した。


−−…リィン…−−


再び涼やかな鈴の音が徐盛の耳朶を打った。


綺麗な女性だったな、と彼が素直に思っていると−−歩みが止まった。


いずれも先程の女性の事で急に疑問を覚えたのだ。


ひとつ目−−何故、自分の事を知っていたのだ?


少なくとも彼にはあの女性に会った記憶は無い。


だが、あんな美人に会ったなら姿を忘れる事はまず無いだろう。


二つ目−−息遣いが感じられなかった。


会話をしようがしまいが−−むしろ、しなくても人間は呼吸をしなければ生きていけない。


なのに−−彼女からは微かな呼吸音さえも聞こえなかった。


では、周囲の喧噪にでも紛れて聞こえなかったのだろう。


だが−−


「−−−−」


−−最後の疑問が浮かぶ。


−−果たして影はあったか?


夕暮れ時は西日が指している。


実際、西日に照らされ、道行く人々からは影が伸びていた。


でも−−さっきのひとには確かに……


「−−影が…無かった…」


−−…リィン…−−


また鈴の音が聞こえた。



ビクリと身体を震わせ、徐盛は恐る恐る背後を見る。


−−女性の姿は既になかった。










孫呉の将軍である韓甲−−和樹の建業の別邸は珍しく重々しい雰囲気に包まれていた。


それは−−この屋敷の主人が醸し出している事は想像に難くないだろう。


屋敷の居間には確かに和樹がいた。


久々に任地から帰宅した主人は無言で上座へ胡坐を掻きつつ、片手に掴む鉄扇の骨を開閉させる手遊びをしている。


その傍らに控えるのは七乃だ。


感情を読み取る事が難しいニコニコとした笑顔を浮かべながら、彼女は和樹の眼前で平伏している中年男性へ視線を向けていた。


和樹の眼前で平伏する中年の男性は肥満体だ。


その所為なのか、それとも別の理由でなのかは判らないが汗を流していた。


パチン、と一際大きく鉄扇を閉じる音が響き、肥満体の中年男性はビクリと身体を震わせる。


次いで生唾を飲み込んだ所を考えると流した汗は冷や汗の類いだったようだ。


「…あっ…あの…韓将軍…?」


「なんだ?」


「こっ此度の一件、誠に申し訳−−」


「申し訳ない?一体なにがだろうか?誰に対して?まさか私に?」


「−−−−」


一方的かつ何処までも冷静に捲し立てられた男性は言葉を失う。


言葉を続けられぬまま口をパクパクと促す様は酸欠状態の魚のようだ。


「…ふぅ…」


和樹が突然の溜め息を吐き出し、それに男性は再び過剰に反応してしまう。


だが無理もない。


和樹の背後には刀掛台に預けている二振りの幾人もの人間の血を吸った愛刀がある。


下手に機嫌を損ねればーー比喩誇張抜きで首が飛ぶ。


そう考えてしまうと彼は恐ろしくて仕方なかった。


恐怖で生唾を飲み込んだ瞬間ーー和樹が声を掛ける。


「…話は判った。余計な詮索はしないと約束しよう」


「おおっ…!!」


「では以上だ。七乃」


「はい。…こちらへどうぞ」


「そっそれでは私はこれで……」


頻りに頭を下げつつ退座する男へ一瞥もくれる事なく和樹は再び鉄扇での手遊びを始めた。


二人が応接室代わりの居間から出て行くと和樹はおもむろに眼前へ広げた書状に視線を落とす。


「……………」


書状の内容は−−いわゆる遺書だ。


しかも、ただ一言だけが書き綴られている。


“せめて韓甲様に今一度だけお会いしたかった”


「……阿呆が」


その返答とばかりに彼は短く呟いた。


「−−お帰りになられましたよ」


「…応」


居間へ戻って来た七乃へ素っ気なく返答すると和樹は傍らに置いていた湯呑を取り、茶を一口啜った。


「それにしても意外でしたね〜」


「あん?」


「旦那様がそんなに足繁く妓楼へ通ってたなんて」


「俺が清廉な人間だとでも思ってたのか?」


「いいえ〜♪むしろ真っ黒だと思ってましたけどね♪」


「ふん…その通りだ」


鼻を鳴らしつつ湯呑を傾ける和樹へ七乃は変わらずニコニコと微笑んでいる。


「ところで…どんな方だったんですかぁ?」


「あん?…あぁ凉鈴か。良い女だったぞ。身体と性格も」


「……なんだか“性格"の部分が強調されていた気がするんですけどぉ…」


「ふっ…気の所為だ」


皮肉気に嗤った和樹は立ち上がり、居間から縁側へ出る。


庭には既に収穫が終わり、すっかり寂しくなった畑がある。


「来年は…キュウリ、大根、白菜、カブ……トマトとカボチャ…あぁジャガイモも植えるか。飯のバリエーションが増える……トウモロコシも良いな……」


「…旦那様…もしかして、お腹空いてます?」


「いいや。…唐辛子…は別に要らんな。去年のが残ってる筈だ。それならナスを……」


「どうせなら養蜂やってもらえませんかねぇ…」


「面倒臭いからイヤだ。大体、やり方を知らんし近所迷惑になる」


二人が他愛ない畑仕事の予定を縁側で話していると門の向こうから使用人の少年少女が駆け込んで来た。


「たっただいま帰りました!!」


「なっ七乃〜〜!!!」


慌てた様子だが律儀に帰宅の挨拶をする徐盛とは反対に美羽は恐慌状態のまま七乃へ抱き着く。


「なんだ?化け物を見たような顔をして。それともこの世の終わりが近いのか?」


「ば、ばばば化け物なのじゃ!!徐盛が見たのじゃ!!!」


「……………はい?」


「……………あん?」








「ーー白昼夢でも見たんじゃないですか~?」


「ーー見たんですよ!!ちゃんとこの目で!!」


「……………」


「……のう旦那様?」


「……あん?」


「………あれほど必死な徐盛を見たのは初めてなのじゃ」


「まぁ稽古の時はあれぐらい必死だがな」


落ち着きを取り戻した美羽と普段から落ち着き過ぎの和樹は仲良く縁側に腰掛けて茶と水で割った蜂蜜を啜りつつパリポリと戦闘糧食のクラッカーを齧っていた。


それに反して七乃と徐盛は喧しく口論を続けている。


「だいたい幽霊や亡霊なんて気の迷いが見せる幻ですよ~。旦那様もそう思いますよねぇ?」


「……む?」


水を向けられた和樹が茶を一口啜り、噛み砕いたクラッカーを流し込むと湯呑を床へ置いた。


「ーー幽霊の類いは人並みには信じてるぞ?」


「………え?」


「………ほ、本当ですか!?」


「………ほえ?」


意外な返答に全員が気の抜けた声を上げる。


「見た事もあるしな。部下の中には見えるという奴もいる。まぁ見たのは駆け出しの頃の一回こっきりだけだ。それ以来見た事はない」


「すぅぅぅぅぅっごく意外ですね……」


「そうかね?」


首を傾げながら和樹はタバコを銜えるーーが火は点けない。


「見える部下が言うには……霊が俺を恐がって近寄って来ないんだそうだ。だから見ないらしい」


「……そりゃ生きてる人にですら恐がられるんですからねぇ……」


「嬉しくないんだが?」


ついでに言えば、件の部下の言葉によると和樹の守護霊は“和樹に良く似た人物”だそうで、部下の勝手な想像だが何世代か前の彼の先祖であろうと思っているらしい。


「その話した人なんですが……旦那様を御存知の方のようです」


「男でなくて良かった。下手をすると戦場で斬り殺した奴かも知れんからな。もっとも…そうなると俺は覚えていない可能性が高いんだが…」


冗談抜きで数百、数千にも及ぶ人間を戦場で殺傷した彼だ。


怨み辛みで化けて出て来られても顔や名前も覚えていないので対応に困ってしまうのである。


「ーー涼鈴様、と名乗られました。お心当たりは?」


ーー徐盛が名前を発した途端、空気が凍り付いた。


「え、えっと……旦那様ぁ?…徐盛君に話してたりします?」


「いや?名前どころか通っていた事すら知らん筈だ。なにせ部下や相棒と呑みに行くと言って通ってたからな」


「ちょっ…!!うわっ…鳥肌が…!!」


七乃が腕を擦るのを横目に捉えつつ和樹が二人の様子を見て困惑しきりの徐盛へ視線を滑らせる。


「徐盛……その話をしたという女だが……どんな特徴があった?たとえば…髪の色は茶だったとか」


「は、はぁ…。…髪は綺麗な黒髪で……長かったですね。あと右目の…この辺りに小さな黒子がありました。それと腰の帯に鈴を下げていてーー…あの…もしかしてお知り合いですか?」


「あぁ…知ってる。取り敢えず徐盛、お前が見たのは本物かも知れんぞ。騙っている可能性はなきにしもあらずだが……俺が知っている涼鈴は一月前に死んでる。先程、身請け先の者から知らされたばかりだ。部屋で毒を煽って召されたらしい」

涼鈴という名前は前作でちょろっと出て来ました。和樹が馴染みにしていた遊女です(今思うとそういった妓楼通いの描写をやれば良かった)

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