5. <黒剣騎士団>
本編のキャラクターを登場させてしまいました。
ご本人の指摘があれば訂正、あるいは改稿します。
アキバ近くのフィールドゾーンに、PKが出るという。
クニヒコがその噂を聞いたのは、ある日の夕方、ギルドの半数で埼玉近辺まで遠征に行った帰りの馬上でのことだった。
「PK?最近減ったと聞いているが……」
クニヒコの横でのんびりと馬を進めていた<施療神官>の男がいぶかしげに口を開いた。
あの日以前から、サーバー屈指の戦闘ギルドという勇名を轟かせていた<黒剣騎士団>に、PKを挑む勇気のあるプレイヤーは少ない。
首をかしげる<施療神官>自身、PKの被害にあったことはないようだった。
「ああ。確かに減った。だがその分、今でもやってる連中はそれなりに腕がいい奴らばかりだと。
特にアキバ近辺で<ハーメルン>やら<D.D.D.>やら大手ギルドばかりを狙ってる<暗殺者>がいるらしい」
「<ハーメルン>を?」
その単語を聞いた周囲が露骨に嫌な顔をする。
彼ら<黒剣騎士団>にとって、<ハーメルン>とは<EXPポット>の大口取引先である。
と同時に、初心者を露骨に虐待し、<ポット>や資材、アイテムを搾取しているという悪評で知られつつあるギルドでもあった。
<EXPポット>とは、その名のとおり経験値(EXP)の取得率をあげるアイテムだ。
取得経験値2倍、自己回復力と攻撃力の強化、経験値取得可能レベルの引き下げなど、その効能は今の、自由な移動を半ば封じられたアキバの<冒険者>にとっては垂涎の物と言える。
しかし、手に入れる方法はひとつだけ。
レベル30までの初心者プレイヤーが1日1本、どこからか与えられる以外にない。
アキバで行き場をなくしていた低レベルプレイヤーたちが、悪辣な一部プレイヤーの餌食になることは、
誰もが予想した未来であり、
誰もが諦めとともに受け入れた現実でもあった。
そんな中でも<ハーメルン>は、それほど規模の大きくないギルドでありながら、いち早く初心者を囲い込み、<EXPポット>を市場に流通させたという成果によって、大手ギルドの狭間にあって無視できない力を持ちつつある。
自分たち強者にコバンザメのようにしがみつき、うまく取り入っている連中。
そう軽蔑とともに思いつつ、自らのレベルアップのためには仕方ない、と割り切り、大手を含む多くの戦闘ギルドは<ハーメルン>との取引を拡大していた。
<黒剣騎士団>の面々の表情は苦い。
自分たちが彼らによる<EXPポット>の供給によって経験値取得ができているということもあり、その表情は単純な嫌悪だけではなかった。
「まあ、そりゃ……<ハーメルン>も難儀なことだな」
だれかが押し殺したような声で言う。
自分たちのレベルアップのため、と割り切ったつもりでも、その足元で苦しむ初心者たちを思うと良心が疼くのだ。
「それだけじゃない。おおむね決まってきたギルドごとのゾーンの棲み分け、それらをめちゃくちゃにかき回しているそうだ。
本人は義賊のつもりなのか、同業者も狙うそうだがな……」
「名前と所属ギルドは?」
クニヒコは馬を進めたまま問いかけた。
先ほどから話題の中心でしゃべっていた男が途端に口を噤む。
「どうした?名前も知られていないのか?」
「いや、その……所属ギルドはないです。ソロプレイヤーみたいっす。
で、名前が…ユウという女<暗殺者>だそうで」
「ユウ……」
クニヒコは平静な表情を見せつつ、内心呻いた。
最近念話にも応じなくなっていた友人だ。
「ユウ、って確かクニヒコさんの知り合いですよね。<対人家>の」
「ああ」
「止められないんですか?まずいっすよ、それ」
「無理だろうな」
周囲の声にため息で返す。
昔から、ゲームでは言い出したら聞かない性格だったとクニヒコは思い返した。
そのまま気まずい雰囲気のままに会話が途切れ、馬のカポカポ、という足音だけが周囲に響く。
静寂を破ったのは、ある<妖術師>の一言だった。
「なんだそいつ。ソロのくせに」
「おい、クニヒコさんの友達なんだぞ」
小声でたしなめる隣の猫人族の<盗剣士>に「だからなんだってんだ」と<妖術師>が返した。
「それは、ソロプレイヤーはおとなしくしろ、ってことか?」
クニヒコは尋ねた。
いつも通りに聞いたつもりだが、状況が状況である。周囲の男たちはそろってビク、とはねた。
「い、いや、そんなつもりじゃ」
「いや、差別的な言動だと思ったわけじゃない。理由を聞いただけだ」
クニヒコが言葉を重ねると安心したのか、ややおずおずとながらその<妖術師>は口を開いた。
「クニヒコさん、<大災害>以来、俺たちは生きるのに必死でしたよね」
「ああ。そうだな」
「そんな中で、ギルド同士の諍いも増えたし、<ハーメルン>みたいな―初心者を搾取するギルドも出た」
「ああ、それは俺たちも共犯者だけどな。泣く初心者に直接暴言を吐いたり、殴りつけたりしていないだけだ」
「わかってます。俺たちは偽善者だ。でも偽善者なりに、自分や仲間のことを考えてきた結果だと思ってます。誰もが全員を救えるわけじゃない。見知らぬ初心者より、俺は仲間を大事にしていたい」
<妖術師>の青年の言葉は苦みがたっぷりとまぶされていたが、その口調は強い。
自分なりに現状を考え、納得したうえでの言葉だとクニヒコは感じた。
「そのユウって人、何のためにPKしてるんですか?」
だからこそ彼の発言はクニヒコの心を鋭くえぐった。
「苦しむ初心者や低レベルはかわいそうだ。ギルドが大きければ、強ければ強いという今の風潮は間違っている。遊び半分で自分より弱いプレイヤーや、NPCをいじめる連中は反吐が出る―当たり前のことです。当たり前だから誰もがわかってて、でも、自分や仲間のことを考えたらそれ以外のことができない。
ユウって人にはギルドも仲間もいないんですよね……クニヒコさん以外には」
「………」
「クニヒコさんには悪いけど、おれ、そのユウって人に全然共感できません。
フィールドで悪口を言われた初心者を助けて、そのあと初心者がアキバに戻ってどういう目に合うか、気づかないふりをしているだけなんじゃないですか?
その人、結局、自分がそういう光景を見るのが嫌だから、自己満足でやってるだけなんじゃないでしょうか?
仲間もギルドもいないから、自分ひとりがよければいいと思ってるだけなんじゃないすかね。
例えば、そういうPKをすることで、クニヒコさんが周囲にどう思われるか、とか、全然考えてないですよね」
いつの間にかクニヒコを含め、その<妖術師>以外の男たちは下を向いていた。
馬たちの足並みも緩み、夕焼けに長く伸びた影だけが、男たちの心を象徴するように頼りなげに揺れる。
「その人、今の状況を変えたいならアイザックさんやクラスティさんに直訴すべきだったと思います。
結局、その人は―」
「そこまでにしとけ」
野太い声がクニヒコたちの耳朶を打った。
いつの間にか、男たちの間にクニヒコよりさらに巨大な影が混ざり、
甲冑に覆われたその手が<妖術師>の肩に置かれている。
「アイザック」
クニヒコは顔を向け、のろのろと手を胸に当てる敬礼をした。
敬礼を向けられた、野性味にあふれた顔の騎士団長が、「よう」と顔をほころばせた。
「ああ、ジュランの言うことは間違っちゃいねえよ。ユウ―だっけか?クニヒコの昔なじみのやってることはただの八つ当たりさ」
押し黙る部下たちに、アイザックは軽い口調で言った。
その口調のままクニヒコに顔を向ける。
「だからな。俺たち<黒剣騎士団>がそいつの討伐を請け負うことになった。
昨日<D.D.D.>の演習部隊の一つがやられた。連中の縄張りに入った小規模ギルドと口論になったとき、そいつに襲われたんだそうな。
本来ならクラスティの野郎が出張るべきなんだろうが、それじゃ足りねえ。
今の時期、<D.D.D.>と<黒剣騎士団>が争ってるわけじゃねえ、ってことをアキバのプレイヤー全員に教えるために、俺たちにお鉢が回ってきた。
もちろん消費アイテムは全部クラスティ持ちでだがな。」
「アイザック自身が行くのか?それともクローディアに任せるのか?」
クニヒコが<黒剣騎士団>きっての<暗殺者>の名前を出すが、アイザックは首を振った。
「いや、どっちもしねえ。この戦闘の指揮官はおまえだ、クニヒコ」
「俺が?」
アイザックの視線は鋭かった。
気圧されたクニヒコに対し、騎士団長は有無を言わさない調子で続けた。
「ああ。友人なんだろう?お前が止めてこい。
そいつの気持ちがわかるのは、そこのジュランだけじゃねえ。誰もが今の状況にはウンザリしてる。
だがな、そいつのやり方じゃ誰もついてこれねえし、誰も幸せになれねえ。
だからお前が止めてこい。」
その日の夜。
クニヒコは宿舎であるギルドタワーの一室で、愛用の鎧を磨きながらステータス画面を見ていた。
フレンドリストの最上位にある二人の友人の名前から、一人を選び念話をかける。
ルルル。ルルル。
応答待ちの時間が長く過ぎ、そしていつものように諦めて切ろうとした瞬間。
ツー
沈黙がクニヒコを覆った。
「……クニヒコか」
数十日ぶりの友人の声は、<大災害>当初と全く異なり、罅割れ、かすれて聞こえた。
「ユウ。今からお前を狩りに行く。俺たち<黒剣騎士団>でな」
返事はなかった。
夜のしじまのどこかで、梟がひとつ、ホウ、と啼いた。
2.
暗夜である。
この世界の闇を輝きで彩る星々は分厚い雲に覆われてその光輝を地上におろすことは無く、
<大地人>はおろか<冒険者>さえ早々に寝床に入る夜に、ユウは駆けていた。
いにしえの花柳街を繁茂する草木が覆い尽くした野外ダンジョンエリア、<朽ちた不夜城>のなかを、まるで亡霊のように影すら残さず走る。
朽ち果てた街灯を蹴り、もはや輝きを失って久しいネオンサインを飛び越して。
ユウが走る理由はただひとつ。
アキバでもっとも親しい友人である<守護戦士>クニヒコからの短い念話、
「今からお前を狩りに行く。俺たち<黒剣騎士団>でな」
というその一言によるものだった。
<黒剣騎士団>はいわずと知れた大手の戦闘ギルドである。
ギルドマスター、<黒剣>のアイザックは、ヤマトどころか他国のプレイヤーにもその名を知られた優秀な将軍だ。
たった一人のソロプレイ<暗殺者>を狩るために、まさかアイザック自身が出張ってくるとは思えないが、<黒剣騎士団>は、ゲームがゲームでなくなった今でさえ、少数精鋭主義を標榜し、メンバーの峻厳な選別を続けている。
たとえギルドマスター自身がいなくても、メンバー一人ひとりが熟練の大規模戦闘者なのだった。
ユウは大規模戦闘には数えるほどしか出たことが無い。
時折助っ人として出たことはあり、そのためにいくつかの特技を秘伝レベルに引き上げることができているが、本気で大規模戦闘に取り組んだのは数年前、中国サーバのレイドイベントにたまたま滞在していた日本人プレイヤー同士で挑んだときくらいのものだ。
走りながらユウは、最近は昼夜を分かたず聞こえるようになった、そのとき戦場をともに駆けた怜悧な印象の<付与術師>の言葉を思い出す。
『八つ当たりって、格好悪いですよね。みっともない』
その声のぞっとするほどの重みだけが、今のユウの胸底に、寄せて返す波のように轟いていた。
『八つ当たりって、格好悪いですよね』
「そうだな。格好悪い」
今はどこで何をしているのか、そもそもこの災害に巻き込まれたかもわからないその<付与術師>の青年に答えるように、ユウは一人呟いた。
八つ当たりは、格好悪い。
しかし自分は、その八つ当たりをしているのだ、と思う。
論理で説明できない「ゲームの世界への漂流」という出来事、
たかがゲームのレベルの数字だけで自分が偉いと錯覚したプレイヤーたち。
レベルが低い、弱い、ただそれだけで搾取され続け、それに反抗する気力も無い低レベルプレイヤーたち。
それらを利用し、自分たちだけさらに強くなろうとする大手ギルド。
醜いそうした状況すべてに、ユウもほかのプレイヤー同様に苛立っていた。
苛立ちのままに、彼女は他のプレイヤーを狩った。
より弱いプレイヤーを狩る弱いプレイヤーを、何の道理も正義も法の後ろ盾もないままに断罪し続けた。
その結果、自分より強い<黒剣騎士団>に、道理も正義も法もないままに狩られようとしている。
(自業自得だよな)
ユウの中の、醒めた部分がそう呟く。
最近常に感じていた殺戮への喜びは不思議なほどに失せていた。
無法の世界で自分こそが法だと主張すれば、より強く主張する法とぶつかるのは自明の理だ。
<黒剣騎士団>に、あるいは今回の討伐部隊を率いているであろうクニヒコに、彼らの罪を声高に叫ぶことはたやすい。
しかしそれは結果として、「お前はどうなんだ」という言葉を返されるだけだ。
ユウは唇をかみ締め、かつてはいかがわしい風俗店であったろう、アスファルトの剥がれ落ちた建物の屋根を蹴った。
3.
クニヒコは油断せず目の前の闇を見据えていた。
小隊は事前の綿密な打ち合わせどおり、相互に支援できる距離を保った捜索陣形で<朽ちた不夜城>を進んでいる。
クニヒコからは見えないが、前方には<黒剣騎士団>の暗殺者たちが綿密な周辺索敵を行っているはずだ。
ユウがこの闇の奥から逃れる可能性は、少ない。
今回の出撃に際し、クニヒコは自分のパーティと、支援要員全員を集めて一言、訓示した。
相手をプレイヤーと思うな。強力な毒と攻撃力、闇夜に溶ける隠密性を持ったレイドボスと思え。
その言葉を鼻で笑う<冒険者>はこの中にはいない。
誰もが豊富な大規模戦闘経験を持つ強者ばかりであるがゆえに、彼らは自分たちとまったく違う「対人戦」を潜り抜けてきた敵、ユウを決して侮らなかった。
自分たちがモンスターを狩るプロであるように、相手は人を狩るプロなのだ。
そうした相手には、自らのテリトリーに誘い込むことこそが最適である。
そう信じ、彼らは夜を走っているのだ。
チリリン、とクニヒコの耳元で鈴の音が鳴る。
『隊長、敵を発見しました。パーティからみて左前方、目測約500m。そちらに接近中』
「わかった。・・・みんな。お客さんが来たぞ。大規模戦闘の流儀、たっぷり教えてやろう」
応、という押し殺した声とともに、パーティは相互に距離をつめる。
盾役であるクニヒコを先頭に、左右後方に武器攻撃職、後方に魔法攻撃職と回復職を配した攻撃陣形だ。
「よし、<神祇官>は俺と<妖術師>、そして回復二人に<障壁>」
クニヒコの指示とともに、クニヒコをはじめ、パーティの屋台骨というべき4人に防御魔法がかかる。
一定以下のダメージを無効化する<神祇官>の特技、<禊ぎの障壁>だ。
『距離300』
「抜刀」
シュラ、という音が響く。
目標の周囲には、サブ職業<追跡者>を持った偵察部隊がつかず離れず張り付いている。
同じ<暗殺者>でも攻撃に特化したユウでは、彼らの足跡どころか、存在すら気づいているかどうか。
「初手が肝心だ。あいつに好き勝手に動き回らせたら戦線が崩れる。短期決戦でいくぞ」
クニヒコの言葉とともに、<妖術師>、<神祇官>、<施療神官>がひそやかに詠唱を開始する。
相手は人間だ。わざわざ死地に飛び込む無謀さも、それを許す莫大なHPもない。
クニヒコは、ゲームだったころのように長丁場で剣を交えるつもりはなかった。
しばらく無言の時が過ぎる。
一寸先は闇、という言葉そのままに濃密な暗闇の中から何かが飛び出たのは、そうした無言の時が10秒ほど過ぎてからだった。
「<ライトニングチャンバー>っ!!」
闇の中から飛び出た人影に、ジュランの魔法が炸裂する。
断末魔の声すら上げず、瞬時に消し炭になる人影は、しかし長い黒髪の女<暗殺者>ではなかった。
「なっ!?」
「誤爆!?」
それが、最後に接敵の報告をした<黒剣騎士団>の暗殺者であったことに気づく間もなく。
続けざまに暗がりから投擲された短剣がカン、と硬質な音を立てて<施療神官>を包む障壁に阻まれた。
「そこだ!<暗殺者>!!」
再びの飛来物に、勝ち誇ったような声で<盗剣士>が剣を当てる。
「やめろ、相手は<毒使い>だ、不用意に―うおっ!」
細剣があたると同時に、短剣だと思えた飛来物は轟音と閃光を上げて爆ぜた。
ゲーム時代は敵に混乱の状態異常を与えていたポーション、
<閃光の霊薬>だ。
至近距離で剣を当てた<盗剣士>はおろか、それを見ていたクニヒコですら突然の閃光に目がくらむ。
長い時間をかけて闇夜に慣れていた網膜が、フラッシュのごとき光に滂沱の涙を流して耐えようとする。
そして相手は、その隙を見逃すような敵ではなかった。
「<アサシネイト>」
掠れるような声とともに、悶える<盗剣士>の足元に黒い影が湧き出るように現れた。
その緑色のねじれた刃がしっかりと彼の喉元に食いつき、ゴリ、と嫌な音を立てて振るわれる。
ストンと、むしろ爽快にすら思われるほどのあっけなさで<盗剣士>の首が落ち、物言わぬ骸となった体のみが、離れた頭を探すかのように手を広げ、倒れた。
「くっ!アン、<アンカー……」
「踊ってろ」
目から涙を流したまま、盾を構えるクニヒコの足をユウは払う。
ゲームではありえないその戦術に、ドシン、としりもちをついたクニヒコの頭を蹴り飛ばし、
ユウはいまだ混乱している<妖術師>を片足で倒すと、ばたつく彼の延髄に躊躇いなく剣を突き込んだ。
何度か振り下ろすたびにぱりん、とあっけなく<禊ぎの障壁>が割れる。
透明な防壁を失い、露になって震える首筋を、今度こそユウの剣が切り裂いた。
4.
戦闘はユウの優位のまま進んでいた。
自分に張り付いていた<暗殺者>を放り投げて最初の一撃をかわし、
続けて短剣に織り交ぜた<閃光の霊薬>でパーティの目をくらまし、
そのまま<盗剣士>、そしてダメージソースの一方である<妖術師>を沈めた。
(こいつは、まずい)
クニヒコは閃光と暗闇に翻弄される両目に活を入れつつ、内心で唸った。
ユウの攻撃方法は徹底した撹乱戦術だ。
初手で「仲間を撃ち殺させる」ことで張り詰めていたパーティの気を削ぎ、
続いて連打する霊薬で敵の目を奪った。
閃光と、その後の暗闇は暗がりに潜む黒衣をなおさら見分け辛くする。
現に、クニヒコをはじめパーティの全員が、有効な手を打てていない。
(いいレイドボスになれるぜっ!?ユウさん!)
クニヒコは立ち上がり、一声大きく吼えた。
タウンティングでもなんでもない、ただの蛮声だ。
しかしその声に、襲撃に心が折れかけていた仲間たちがはっとして立ち上がる。
俺たちは<黒剣騎士団>だ。
そして俺はこの小隊の隊長だ。
黙って寝ていて、いいわけが、あるか!
「うおおおおおっ!ユウ!」
闇夜を裂く夜行獣の雄たけびのように、巨漢の<守護戦士>が轟く。
「殺す!<アンカー・ハウル>!」
ユウは満足していた。
先日狩った<D.D.D.>の演習部隊とは格が違う、正真正銘の大規模戦闘ギルドの一線級部隊。
並みのギルドなら、いや、それなりに名を知られたプレイヤーすら道を譲る、この世界最強の一角。
それを、たかがロートルのソロプレイヤーである自分が翻弄している。
手持ちのダガーで<ペインニードル>、続けてよろけた<神祇官>に<デッドリーダンス>。
手の刀を取り落とし、うめく彼の体が、立て続けに血飛沫で揺れる。
雑魚め。
所詮レベルのおかげででかい顔をしているだけの廃人め。
貴様らに、現実で頑張っていたがためにレベルの上がらなかった連中をいたぶる権利があるというのか。
仕事や学業に忙しかったであろう低レベルプレイヤーを、現実を放り投げて遊んでいた連中が弄んでいいというのか。
叫べ。泣け。自分の立ち位置をもう一度思い知れ。
何が異世界漂流だ。何がゲームの中で自由に振舞える、だ。
俺や多くのプレイヤーから家族を奪い、仕事を奪い、人生を奪ってきたツケを今、支払わせてやる!!
毒々しい紫に染まった血を流し、痙攣する<神祇官>を愉快そうに見下ろして、ユウは再び飛ぼうとした。
ユウがかつてティトゥスに仕掛けた、強いプレイヤーが陥る集中力の断絶。
それにユウ自身が陥っていることに、その瞬間まで彼女は気づかなかった。
対応が、遅れた。
「おおおらぁああぁっ!」
クニヒコが叫ぶ。
<アンカー・ハウル>。
<守護戦士>を名実ともにパーティの守護神たらしめる特技。
この特技の特徴は、10m以内の敵のターゲットを<守護戦士>に集めるというものだ。
対人戦を行う<守護戦士>でこれを使いこなす人間はほとんどいない。
1対1である決闘においては、タウンティングなどを使わずとも、敵意も攻撃意欲も目の前の相手一人に集中するからだ。
限られたMPを適切に管理し、相手としのぎを削る対人の場において、タウンティングは無用の長物でしかない。
だからこそ、対人をメインに戦うプレイヤーに、この特技の意味を理解しているプレイヤーは少ない。
ゲーム時代から大きく変わってしまったこの世界では、なおさらに。
ユウは、自分でもまったく想定外の行動に出た。
闇に消えようとする自らの足を踏みしめ、再び化鳥のように敵陣に飛び込む。
冷静な計算、暗い喜び、嗜虐的な快感、それらユウを構成する感情が勢いよく塗り替えられていく。
代わりに生まれたのは、殺意。
狙うは目の前の怨敵、諸悪の根源、殺しても飽き足りない殺意の対象、
<守護戦士>のクニヒコ。
「き、さ、まあああああぁっ!」
ドガン、と、まるで重機同士がぶつかったような音が響く。
クニヒコの構えた盾に、全力で突撃したユウがあげた音だ。
目を血走らせ、怒りに任せてクニヒコの防御を崩しにかかる。
対するクニヒコは愛用する大剣ではなく、大振りな盾と剣を構えたまま身じろぎもせず受ける。
殺意がそのまま人の形をしたようなユウの異形の迫力にも動ずることなく。
「死ねぇっ!!」
ユウの雄たけびとともに、ためらい無く突き出された刃がクニヒコを守っていた透明な壁を砕き、わき腹に突き刺さる。
すさまじい勢いで削り取られていくHPを気にもせずクニヒコは続けて叫ぶ。
「<施療神官>っ!俺と<神祇官>に回復!<暗殺者>!ぼさっとするな!攻撃!」
裂帛の気合に、はじかれたように仲間たちが動き出す。
長い戦いの夜はこうして局面を変えた。
5.
メイン武器の大剣ではなく、盾を左手に、長剣を右手に構え、不動の構えを取るクニヒコ。
その彼の周囲を亡霊のように飛び回り攻撃を仕掛けるユウ。
それまでと違い、ユウの攻撃はクニヒコ一人に集中している。
堅牢な重鎧の留め金が弾けとび、1対1とは思えないほどの速さでクニヒコのHPバーが消えていく。
(冗談じゃない)
<施療神官>のゴランは、目の前の光景が現実だと信じられなかった。
秘伝に達した彼の<反応起動回復>は、瀕死に陥った仲間すら全快近くまで回復させるだけの底力がある。
加えて通常の<回復>に、<守護戦士>の自己回復特技である<レジリアンス>、さらにクニヒコの装備そのものに付与された自己回復の能力すべてをつぎ込んで、なおも<暗殺者>の一撃は着実に隊長のHPを削っていた。
(レイドボス並みと思えなんてもんじゃない。あれはレイドボスだ。間違いなく!)
内心で絶叫しながらも、腕は杖を振るい、口は呪文を唱え続ける。
ユウがクニヒコに攻撃を集中し始めて、ようやく彼も回復に専念できる体制が整った。
横では、毒によってもたらされたのか、何度も吐瀉物を撒き散らしながらも、何とか<神祇官>のカイリが立ち上がろうとしている。
<暗殺者>のエドも、飛び回る同業者に時折攻撃を当てていた。
同じレベル90の<暗殺者>同士なのだ。その気になれば同じ速度で走ることは不可能ではない。
一旦態勢が変わりさえすれば、防御力の低い<暗殺者>は熟練したレイドパーティの敵ではない。
ふと、ユウがバックステップでクニヒコから距離をとった。
(何をする気だ?)
すでに度重なる挑発を受け続けたユウの目には、クニヒコしか映っていないはずだ。
その手がいくつかのポーションを取り出した瞬間、ゴランは反射的に目を閉じた。
(また霊薬か!?)
彼は次の瞬間、轟音と閃光と爆風ではなく、熱と激痛―斬られた痛み―が襲ってきたことに戸惑う間もなく、倒れ臥した。
(まずいな)
度重なるタウンティングにより「茹で上がった」意識の片隅で、ユウは危機感を覚えていた。
さすがはパーティの壁と言うべきか、度重なるユウの攻撃をクニヒコはよく耐えている。
一方、ユウの体には既に何回も周囲のクニヒコの仲間による刃が突き刺さっていた。
しかし、ユウの意識にそれらは上らない。
なにしろクニヒコ以外目に入らないのだ。
周囲を叩こう、という意思すら、目の前に立ちはだかるクニヒコを前にすると雲散霧消する。
残っているのはクニヒコを打ち倒す、という妄執じみた意志のみ。
このままでは、その辺の雑魚同様、無様に狩られてしまうだろう。
ユウは意識を切り替えようとした。
正確には意識の方向付けを変えようとした。
目の前の騎士への殺意はもはやとめられない。
しかし殺意の顕現が、何の策も無いただの猪突だけではないはずだ。
考えてみろ。
タウンティングを受けたモンスターは、たしかに攻撃を前衛に集中させていた。
しかしその方法は、決して意味の無い突撃だけではなかったはずだ。
ユウの動きが変わる。単調な直線の動きをやめ、円を描くように飛ぶ。
明確な殺意が滴る視線をクニヒコに向けたまま、一足飛びに10mを離れるとポーションを呷った。
いつの間にか半分を割っていたHPがそれによって9割程度まで回復する。
MPは戻らないが、クニヒコに単純な攻撃だけをしていたのが幸運に働いた。
まだ戦闘継続可能なMPを保ったまま、ユウは飢えた虎のように背をかがめた。
「どうした!お前の攻撃はその程度なのか?」
クニヒコの嘲弄に反射的にカッとなる自分を抑え、周囲を見渡す。
クニヒコの仲間・・・<暗殺者>は戦意旺盛だ。
いくら自分が凶悪な殺人者とはいえ、その殺意が別人に向いていることに安心しているのだろう。
<施療神官>は立て続けに回復をしたせいか、顔に疲労の色がある。
いくら逆上しているとはいえ、<暗殺者>の全力攻撃を耐え抜いているのだ。
回復能力は低下しつつあると見ていい。
隣では青い顔をした<神祇官>が立ち上がろうとしていた。
失血と毒の後遺症か、口は吐瀉物に汚れ、目に力がない。
やってみるか。
そう思った瞬間、ユウは手持ちの霊薬を取り出した。
とっさに目を閉じるパーティ、それでも兜の間庇からしっかりとにらむクニヒコ。
それらすべてを嘲弄するように、霊薬をなげる「振りをする」
目を閉じたパーティを尻目にそのままクニヒコを飛び越し、<施療神官>―ゴランの後ろに着地する。
これからやることは一種の賭けだ。
自分の意識はほとんどクニヒコによって占められている。
だが、何度も重ねたPKの経験は、意識という手綱が無くともユウの手足を動かしてくれるはずだ。
状況を把握したのか、クニヒコが再び叫び、<施療神官>を庇うように走り出した。
<アンカー・ハウル>。
その声に糸を引かれるようにユウが飛び出した。
クニヒコの元へ、つまりゴランの元へ。
ユウの意識に既にゴランの姿は無い。
敵とすら、認識していなかった。
ただ、敵までの道を阻む「石ころ」をユウはそのままにしていかなかった。
「あああっ!」
悲鳴が響く。
その叫びを自らの喉が叫んでいることすら、ゴランにはわからなかった。
閉じた目の中に影が、一瞬で広がったと思ったら、立て続けに激痛が襲い、続いて目の前が真っ暗になったのだ。
あわてて目を押さえようとする腕が顔に触れない。
重病のときに強い酒を呷ったように脳がぐらぐらと揺れ、立っていることすらできない。
毒にのた打ち回るゴランは、自らが交差の一瞬で目と右腕を切り落とされたことにも気づかなかった。
続いて衝撃。
激痛と跳ね飛ばされた衝撃に彼の意識がさらに混乱する。
既にユウは彼のそばに無く、クニヒコに一撃を与えた上で大きく後ろに跳び、別の石ころを跳ね飛ばしていた。
「さすがだな。一瞬で二人を戦闘不能にするとは」
クニヒコもさすがに息を呑む。
タウンティングをかけてなお、その隙間をついて回復職を戦闘不能に追い込むユウの戦術に舌を巻いていた。
ユウの攻撃は簡単だ。
もはやユウにはクニヒコ以外敵に見えていないが、邪魔者とは認識できる。
あたかも敵を屠る景気づけであるかのように、ユウは目を閉じていた邪魔者の目をえぐり、腕を落とし、毒を入れ、最後に思い切り蹴り飛ばしていったのだ。
目をえぐる、手を落とすといった部位狙いは、この世界に閉じ込められたプレイヤーがいつしか行うようになった戦術だった。
漫然とHPを削るのではなく、特定の部位を狙い、そこを使用不能にする。
特に視覚を重視する人間にとって、戦場でいきなり目を失うというのは衝撃を通り越したなにかだ。
クニヒコも、相手の戦意と戦闘意欲を根こそぎ奪うそうしたやり方を好んではいないが、強敵を倒すときに行ってきた。
しかしユウの武芸の洗練ぶりには程遠い。
一人で何人もの敵を倒す、という経験をつんだユウの部位狙いは、友人であるクニヒコが見ても恐ろしく酷薄で、容赦も無いものだった。
(だが、これ以上やらせん)
しっかりかぶった兜の間庇から旧友をにらみすえ、クニヒコは叫ぶ。
「ユウ!これがお前のやり方か!!お前のしていることは単なる八つ当たりだ!」
「八つ当たりだと?」
クニヒコの声と同時に脳裏に響く幻聴を振り切るようにユウも叫び返した。
「そうだ!お前がやっていることは裁きじゃない!人殺しだ!お前のただの八つ当たりのために、お前は人を傷つけるのか!」
クニヒコの叫びに次に返ってきたのは、至近距離から振るわれた毒の刃だった。
身をそらして避け、再び離れたユウに対し叫び続ける。
「お前はなぜそこまでプレイヤーを憎む!その剣は何を守り、何を得るために振るわれるんだ!」
「お前らにわかるか。意味なく迫害される連中の気持ちが」
冷たいを通り越し、凍りついたような男の声が、ユウのたおやかな女の喉から漏れた。
「レベルが低いというだけでほかのプレイヤーを虐げ、NPCだったからという理由で心も意志もある<大地人>を遊び半分に愚弄して恥じもしないおまえらが憎まれも蔑まれもしないだと?
ちゃんちゃらおかしいね。
たかが廃人ごときが、現実で何もできず、何もしなかった若者風情が、どの面下げて仲間だと?騎士だと?
ああ。わかってるさ。
俺もその廃人の一人だ。そうでなければこの<暗殺者>なんて使っちゃいない。
だけどな。ゴミはゴミなりに社会に迷惑をかけずに生きていくもんだ。
どこの世界でもな。
えらそうにふんぞり返って、おそろいの武具をひけらかして、恥ずかしくはないのか?
ええ、クニヒコよ。
<黒剣騎士団>で仲間に混じって<冒険者>を名乗るのがそんなに楽しいか?」
戦場に静寂が訪れた。
既に大神殿へ転送された<神祇官>を除き、ユウもクニヒコたちも動かない。
その中で、侮蔑と嘲弄に満ちたユウの声だけが漣のように響く。
「人というのは社会を形成するもんだ。
どんな社会でも、他人がいる以上、自分をへりくだり、礼節を持って接するのが普通だろう。
お前らは、いや、この世界に取り残されたうん千人だかうん万人だかのプレイヤーどもは、
その礼節、というのをわきまえて行動してきたか?
学生なのか主婦なのか、それとも無能力者なのか知らないが、労せず手に入れた化け物のような肉体と、何をしてもいい無法の世界の中で、欲望を爆発させてきたんじゃないのか?
レベルアップのため、元の世界に戻るためといいながら、弱いプレイヤーや弱いNPCをいたぶるその行動のどこに、人としての倫理があるというんだ?」
「じゃあお前はどうなんだよ!自分の気に入らない相手を片っ端から殺して回って、俺たちにえらそうに説教たれる資格があるのか、おっさん!」
クニヒコの仲間の<暗殺者>-エドが叫ぶ。
元の世界でも若かったのだろう、彼は激昂のままに、自分をぞっとする目で見つめる敵を睨んだ。
「誰だってこんな状況で不安なんだ!自分を律せない奴もいる!だからってそれを全部罪だと言って殺して、何かが変わるのかよ!
お前に何かを変えられるのかよ!」
続いて叫んだエドの声に、ユウはふんと鼻を鳴らした。
「だからほかのクズと一緒に踊っても許されると?
貴様、一度でも自分が弱いプレイヤーの立場に立って考えたことはあるのか?」
ユウのあからさまな嘲笑に、エドは顔を赤くして黙り込んだ。
やがて、静かにクニヒコが言った。
「あんたの言うこともわかる。確かに今の俺たちは精神状態も異常なのだろう。
だが、その言葉は八つ当たりに過ぎない。
あんたのその言葉を吐けるのは、あんたじゃないよ、ユウ。
本気でこの街を、この世界を変えようと思える人だけだ。
人の中で人を変える努力ができない人間に、人を裁く資格はない。」
「じゃあどうする?殺すか?」
笑うように口角を吊り上げたユウに、クニヒコは黙って闇の向こうを指差した。
「ここから出て行け、<暗殺者>のユウ。
人の醜い部分を否定し、自分の醜い部分に目をそらすあんたに、人といる資格はない。
アキバから離れて一人で過ごせ。
俺たちは俺たちのやり方で、お前から見れば迂遠かもしれないが、俺たち自身を変えていく。
倫理観を取り戻すためにな。
だが、その世界にお前はいられない。
他人の悪を憎むあまり、他人すべてを憎むあんたにアキバは門戸を開かない。
あんたが考えを変えるまで、どこかにいけ、ユウ。
俺たちは追わない。」
それはいつものクニヒコの声ではなかった。
年長の友人に親身に接する、ユウの友人ではなく、今クニヒコはアキバのプレイヤーとして、
同じプレイヤーのユウへ明確に裁きを下したのだ。
ユウは、自分の中のやり場のない怒りが急速にしぼむのを感じた。
代わりに心を満たしたのは、空虚感。
まるで輝いていた蝋燭がすべての蝋を使い終わって消えるように
ユウの心に残っていた敵意、殺意、不満、そうしたものが潮が引くように色あせていく。
その心のままに、ユウはぽつんと呟いた。
「そうだな。そうさせてもらう。ゴミ掃除はお預けだ」
そういって、出てきたとき同様に唐突にユウは消える。
クニヒコたちは顔を見合わせた。
目の前にいたのが生身の人間ではなく、まるで何かの亡霊のように思えたのだ。
しばらく虚脱したような時間をすごしたクニヒコたちだったが、偵察部隊の<暗殺者>の生き残りから
『対象、ロスト。東、スミダの向こうに消えたようです』
という念話を受け取り、ようやく息をつく。
彼らも決して楽な仕事だったわけではない。
初撃で身代わりにされた一人を含め、何人もが毒の刃を受けている。
それでも冷静に敵を追い続けたその功績は、決して刃を交えたクニヒコたちに劣るものではない。
しかし、それでも被害は甚大だった。
たった一人の<暗殺者>に対し、追跡部隊のメンバーを含め4人が戦死。
生き残ったエドは軽傷だが、クニヒコとゴランは死んでもおかしくないほどの重傷だ。
それでもクニヒコは、「よくやってくれた」と笑う。
「帰ろうか」
そういって身を翻すクニヒコに、曙の光が静かに当たった。
話の筋立てによくわからないところがありましたらご指摘ください。
本編では鮮やかなまでに町全体の状況を改善するプレイヤーたちの話がありましたが、そうした人とのつながりもない、
ただ状況への苛立ちしかないプレイヤーがもしいたら、どういう行動をとるのだろうか?
と、思います。