166. <聖域の主>
1.
倒れたユウを引きずって、歩くこと30分。
徐々にその光を増していく出口に向かって歩きながら、ふとテングは隣の男を見た。
その男――<守護戦士>のカイは、意識のないユウを背負い、口を真一文字に結んだまま、ただ黙々と歩を進めている。
沈毅な表情は、一切の情動を捨てているように重く、冷たい。
(カイは、変だ)
マグナリアを出てからの違和感を、テングはようやく言葉として心の水面に浮かべていた。
もともと、ゲーム時代からどちらかといえば寡黙な男だった。
だが、<エルダー・テイル>の仲間同士だった頃や、この<大災害>当初は、それでももっと感情を素直に表す人物だったはずだ。
島流し同然にこのウェンの大地に来てからも、彼は弁の立たないテングの代わりに<不正規艦隊>や<大地人>との交渉を一手に引き受けるほどには社交的な人物だった。
だが、今はどうだ。
<星条旗特急>に乗ってからも、この<聖域>に来てからも、彼はほとんど他人と話そうとしない。
まるで眠っているかのように、ただじっと何かを考え続けているだけだ。
それは何なのか。
テングがそう思って声をかけようとした時、ふとカイの唇が動いた。
「なあ、テング」
「……何だい」
機先を制された彼がおそるおそる言葉を返す。
カイはそんな仲間をちらりと見て、どこか哀しげな笑みをちらりと見せた。
「……ユウ、な」
「ああ」
「こいつの求める何かが、この先にあると思うか?」
光を切り取ったような長方形が、彼らの行く手に輝いている。
普通の光ではなく、どこまでも青い――重層的な深い青の光を見ながら、テングはカイに、静かに答えた。
「ある……と信じたい。 それが何であっても、彼女の旅はここまでであって欲しい」
「もし……もし、それが無かったとしたら、どうする」
「その時は俺が、ユウの希いを受け継ぐ」
その言葉は、彼自身が思っていたよりすんなりと、テングの口から滑り出た。
ふ、とかすかな笑みの波動が、隣の男から漏れる。
「確かにお前は、もしかしたら……この世界でユウの願いを受け継ぐに足る一人かもしれない。
彼女自身が目指した――たどり着けないかもしれない、現実への門までたどり着く人間かもしれないな」
「そういうあんたはどうするんだ、カイ」
ギルドマスターの口調にどこか悲痛な響きを感じたテングは足を止め、顔を横に向けた。
同じく立ち止まったカイは視線を正面に向けたままだ。
いまだ目覚めない、その背中のユウと合わせ、その姿はどこか古代文明の彫像めいて見えた。
「俺は、ずっと考えていた」
「…………」
「俺はただの<冒険者>で――何のとりえもない、この世界の一般的なプレイヤーの一人だ。
大規模戦闘の凄腕でもない、ダンジョンを制覇した冒険者でもない。
ただのしがない、現実では下っ端会社員の、単なる男さ」
そうじゃないだろう、という声を、テングはかろうじて喉の奥にとどめる。
心なしか、正面から照らす青い光が強まったように見えた。
「そんな俺にとって、ユウは単にハダノで会っただけの行きずりの知人さ。
俺とこいつの行く道は違っていて――あの<緑小鬼>相手の戦い以降は、二度と道は交わらないと思っていた」
「……カイ」
「だが、何の因果か、俺は今こいつを背中に背負っていて、こいつの長い旅の、おそらくは最後の場面に立ち会おうとしている。
きっと、俺よりもっとこいつと親しくて、こいつと一緒に歩きたい誰かが、世界のどこかにいるにもかかわらず」
カイは、それまでの沈黙を破るように、滔々と話す。
「俺は運命なんて信じていない。すべては偶然と必然が絡み合った結果であって、偶然に意味を求めるのは間違っていると思う。
……だから、俺は考えていた。
俺がこの場にいる意味は何なのか。 俺はこいつの旅の、どんな役割を望まれてここにいるんだろうってな」
「ユウの最後の仲間……じゃダメなのか? カイ。
偶然の結果にせよ、俺たちはこの大地でこの人と出会って一緒に歩いている。
それは、紛れもない事実だ。
カイ。 もしこの世界に本当に運命とか神様がいるのなら、この人の最期を見届けて――可能ならばその道を継ぐのが、俺とカイの――あんにゃまや黒翼たちじゃない――役割なんじゃないのか」
テングの言葉に、カイは静かに首を振って答えた。
「違う。 きっと……違う。 お前はそうじゃないかもしれないがな。
お前がユウを見届け、同じ<暗殺者>としてユウを継ぐのが役割だとするならば。
俺の役割はきっと、違うのさ。
そのための力が俺にあることを――俺は知っている」
ふと、光に別の色が混ざった。
それがカイの手のひらに一瞬生まれた何か――小さな円のような何か――だと気付いた時には、すでにそれは消えている。
だが、その一瞬見えたものの本質を、テングは少しの驚愕とともに声に乗せた。
「その光……まさか、<口伝>か……?」
「ああ。 俺は探索者を名乗る<追跡者>だ。
その俺だけの、ささやかな技だよ」
会話はそこまでだった。
絶望を感じるほどに軽い、ユウの身体を背負いなおしてカイの足が再び地面を踏む。
テングは、どこか物悲しい予感を感じながら、彼の背を黙って追っていた。
<大災害>から1年。
どこに行くにもともに歩き、もはや家族よりも濃い絆といってもいい、この頼れる男の背が、もうすぐ見えなくなるような。
そんな気がして。
◇
そこは、青い光に満たされた、不思議な空間だった。
周囲の壁はモルタルとも漆喰とも、はたまた巨大な一枚岩ともつかぬ不思議な素材で作られており、一つの村なら容易に包めそうな巨大な空間の四方に聳え立っている。
一方で天井は一見して見えなかったが、よく見れば青空そのままの色で塗り潰された高い天井が、はるか遠くにかすかに判別できた。
そして、この巨大な空間を特に印象付けているのが、大気を満たす青い光だ。
清浄、といえばよいだろうか。
明るい青から大気上層部の深い蒼へと。
まるでグラデーションするようなその光は、時折舞うような小さな青い光点を漂わせながら、大気全てに溶けているようだった。
「ここは……」
思わず呆然と立ち尽くして、テングは前を見つめた。
その若々しい顔も、凛々しい肉体も、薄汚れた装備も、すべてが青一色に塗り替えられている。
やがて、その口から、ため息のような声が漏れた。
「……なんなんだ。 俺は……俺は、ここを、知って、いる……」
地面そのままの床。
そこに今にも膝をつかんばかりのテングの腕を握って、カイがポツリと言った。
「ああ。 俺も知っている。 この場所――いや、ここに似た場所をな。
そこで俺は……いや、俺達は何か大事なものを捨てていった。
その場所に、似ている」
我知らずテングの涙腺から涙が溢れそうになった。
その胸に蠢くのは、自分でも分からないような甘美な痛みだ。
何か失ったものを取り戻せるかのような――何か、全てがやり直せるかのような。
逸れは耐え難いほどに甘く、切ない痛みだった。
「……なぜ……」
思わず呻いた彼の横で、カイが膝をついた。
片手で床を覆う白いものを掬う。
それはまるで<守護戦士>の手の上に残るのを嫌うかのように、さらさらと掌から零れ落ちていった。
その粒が、小さな白い砂であることを確認し、カイは微かに頷く。
ここ――シリコンバレーの大地は、このようにすべらかな海砂で作られていない。
間違いなく、このゾーンの中は、変質している。
カイはちらりと目の端に視線を向けた。
ステータスを表示する画面。そこには本来の名前はなかった。
<Hiddenoath> そう書かれた表示だけが、不気味に光っている。
その清らかとすら表現できそうな空間に足を踏み入れたところで、微かな音がした。
トン。
あまりにも軽いその音は、カイの肩から力なく垂れ下がった女の腕によってもたらされたものだ。
「ユウ!?」
まさか反応するとは思っていなかった。
まじまじと彼女を見るテングとは対照的に、カイはまるで分っていたかのようにゆっくりと腰を落とし、女<暗殺者>を降ろす。
かつて人の身を遥かに超える苦痛と破壊と死をまき散らした腕は、よろよろと屍人のように震え、世界各地の魔境を駆け抜けた足は今や自らの身体を支えることも覚束ない。
だが――それでも、ユウは立っていた。
そのまま、彼女は歩き出す。
目はうつろで、表情も無いが、よろめく彼女の虚無の中に、ほんのかすかに光るものがある。
青色とも緑色ともつかぬ、揺らめく光だ。
それは暗夜に灯火が旅人を導くように、弱弱しく進むユウの瞳の中で、確かに灯っていた。
そしてその足の向かう先には、この空漠たる壁の中の空間で唯一、人為的に――その主体は何者であるにせよ――構築された物体。
その物体は、この空間の中で最も青い輝きを濃く纏わせ、無数の青い瞬きが蛍のように周囲を飛び交っている。
<盟約の石碑>が、そこにあった。
<盟約の石碑>。
<エルダー・テイル>のプレイヤーなら、ログイン時のオープニングムービーにも登場する、この石碑を見れば、殆どの者がはたと手を打ち合わせることだろう。
だが、「具体的にはどんな形をしていたか?」と言われると、これもほとんどの者は首をかしげるはずだ。
<エルダー・テイル>のサービスが始まった頃の、プレイヤーの手によるもう少し詩的な表現では『<黎明の時代>』の遺産であるこの古いモニュメントは、サービス開始から20年を経たこの時代、既にその役割を殆ど終えていた。
時折、思い出したように小さなイベントが起きる以外、訪れる人とてない――この世界に遺された無数の小さな謎の一つ。
単にそうであったはずのものを包む光に照らされても、ユウの表情に変化は見られない。
そして、亀のように進む彼女の背中をじっと見つめる二人の<冒険者>もまた、動かなかった。
この不思議な空間。
脳裏に湧き上がる、謎の感覚。
すべてが未知で――危険かもしれなかったが、それでも3人はそれぞれの姿勢を崩さない。
ユウはただ歩き。
カイとテングは、それを黙って見つめ続ける。
無言の時間は、やけにゆっくりと時を刻み――ユウの細い手が、石碑の裾に触れようとした、その刹那。
「望まず」
その手を掴む腕は、突然に<盟約の石碑>の裏から現れた、まるで女性のように優美な手によって掴まれていた。
2.
ほぼ一瞬の間に、二つの音が交差した。
カイが剣を抜き、盾をもう片方の腕に滑らせた音と。
テングが自らの長刀を抜き放った音だ。
「ユウ!!」
だが、絶叫とともに走り出そうとしたテングの足は、次の瞬間止まった。
「私はそれを望んでいない。 <冒険者>たちよ、そこで止まれ」
その声には威圧のかけらも含まれていなかったのに、思わず二人の足が止まったのだ。
そして、戒めを逃れようともがくユウを小脇に抱くように、<石碑>の裏から人影が現れた。
「……誰、だ」
カイがようやく声を発した。
その身体は濃緑色のローブに包まれ、顔すら定かではない。
肘から先だけが見える手が、かろうじて男である――だろう――ことを教えているだけだ。
だが、その不気味な雰囲気はなんであろう。
人の形をしながらも人ではないような、そんな空気を漂わせ、その男はじっと立っている。
「ステータスが……なんだこれは」
テングに見えた相手のステータス画面には、『ライラー <暗殺者> <毒使い> 90レベル』という名と、『縺薙・繝。繝シ繝ォ縺ッ 繝シ縺ョ逧・ァ倥 <そ繝シ繧ク> 90レベル パーティランク2』という名が、目まぐるしく明滅している。
それは恐ろしいほどに不気味で、どこか原初的な不安を呼び起こすような画面だった。
「お前は、誰だ!!」
「<教主>――そう呼ばれていた」
存外に落ち着いた声が答えるが、その声もどこか歪んでいる。
だが、ローブの奥の口元が、わずかにひきつるように動くのを、二人は見た。
それは、相手の言葉が嘘ではないことの証拠のようで。
「お前が――<教団>の<教主>か!」
「然り」
「ユウを離せ!!」
「言われなくても離すとも。 この女には厄介な<共感子>がある」
不意に、男の手が光った。
それはずるりと虚空に消え――次の瞬間、一つのバッグを取り出す。
「これは、回収しておく」
「貴様!!」
テングはその瞬間、走った。
かざした長刀が振りかぶられ、刹那の時の間に男に振り下ろされる。
離すというのは嘘ではなかったのだろう。
ユウはぽいと、ごみを投げ捨てるように放り出され、よろめくような彼女を水色の光が包み込む。
その光を割るように、テングの刃が男に迫った。
一瞬後には刃が、まるでかざすように突き出された手に当たり――弾き返される。
「!?」
驚きながらもテングは止まらなかった。
バチリ、と留め金を外すような音と同時に、その長刀が真ん中から折れる。
いや、折れたのではない。
本来の姿に戻ったのだ。
ユウの二刀での戦い方を、あのヤマトのハダノの村で、テングは見た。
まるで暴風のように絶え間なくダメージを与えるその技は、<暗殺者>の攻撃力を短時間に叩き込むための最適解――少なくともその一つだ。
それを見た彼はそれまでの刀を携え、アキバの<変人窟>の門を叩いた。
そして作られたのがこの刀だ。
ゲーム上の性能は平凡な<製作>級でしかないが、この刀には機械系武器の構造を応用したある特性がある。
それこそが。
「甘いぜっ!」
分離し本来の姿に戻った長刀――いや、二振りの日本刀が閃いた。
まるで鋏のように、それは<教主>の胴体をちぎるべく飛ぶ。
それは間違いなく肉を裂き、内臓すら見えるほどの傷跡を作って――次の瞬間、飛び退ったテングの腕が裂けた。
だが、同時に<教主>の腕も、血飛沫を爆発するかのように飛ばしてズタズタになる。
ひと飛びでカイのもとへ――ユウを刀を捨てた無傷な方の腕で抱えながら――戻ったテングは、腕から走る激痛に思わず膝を突いた。
だがそれは<教主>も同じことだ。
むしろ腹部にも重傷を負った分、ダメージは彼のほうが深い。
<教主>の生命を表すHPバーは、赤と青が奇妙な振幅を描きながら絶え間なく動き続けていた。
「……。 さすがに壊れかけの力はうまくいかぬ」
「エイレヌス……だと!?」
回復しようとするテングを背中に庇い、カイが<教主>の言葉に眉を寄せた。
それは、ユウにちらりと聞いた、遥か欧州で出会った<典災>と名乗った怪物の名だ。
ヤマトでも数点交戦事例がある、そのゲーム時代には見なかったモンスターの名を、<教主>が名乗ったということは。
「貴様……まさか<典災>なのか?」
「私は違う」
警戒を込めた確認に、<教主>はかすかに首を振った。
その刹那、わずかにローブが揺れ、素顔が見える。
一瞬垣間見たその顔は、端正ではあったがどこか見覚えのある――つまりはゲーム時代に作られた<冒険者>の顔だった。
「貴様……!」
「私は奪うもの、採る物、人、事象、変えられて換える者。 <教主>でありライラーである者。
そしてそのすべて」
「世迷言を!! <オーラセイバー>!!」
今度はカイだ。
青い世界で、濃紺の鎧が煌めく。
放たれた光の弾丸を今度は<教主>がかわす。
ほぼ同時に踏み込んだカイの足が、爆発したように砂を浮かせ。
「<オンスロート>!!」
横なぎに振り払われた剣が、今度は<教主>の胸を薙いだ。
「<ヴェノムストライク>」
だが<教主>も負けていない。
化鳥のようにローブを翻して飛んだ彼の手にいつの間にか握られた騎兵刀が、不気味な紫色の刃でカイの二の腕を切り裂いた。
「ぐっ……!!」
たたらを踏んだ彼に、なおも追撃しようとする<教主>に襲い掛かったのは、呪薬で傷を癒したテングだ。
ナイフが<教主>の足に当たり、痙攣したように彼の動きが止まる。
<アトルフィブレイク>――相手をわずかな時間麻痺させる、<暗殺者>の特技だ。
だが、ステータス画面の表示が真実だとするならば、ライラーという名の<教主>は<毒使い>でもある。
麻痺という状態異常効果が有効な時間は、通常の<暗殺者>より遥かに短い。
だが、それでもよかった。
掬い上げるように拾った二刀、それが蛇のように不規則な軌道で切り上げられる。
「<アクセル・ファング>!」
駆け抜けようとする自らの足をとどめ、踝まで埋まるような衝撃を威力に変えて、テングは刀を<教主>の背に突き刺した。
「<アサシネイト>!」
「<アサシネイト>」
絶命の一閃は同時。
<教主>の胸から血まみれの刀が顔を出すのと、騎兵刀がテングの顔を薙ぐのもまた、同時だった。
◇
「はは、はは」
「やはり貴様、<典災>か」
短くも濃密な攻防が終わり、カイは盾を構えながら再び問いただした。
<教主>のHPバーは今や、長く伸びた赤に押される青色がわずかに振幅しているにすぎない。
それから察するに、ライラーのHPは通常の<冒険者>に近いもののようだった。
だが、その動きが異常だ。
少なくとも――普通の<冒険者>ではない。
しかし――カイの問いかけに答えた<教主>の声は、いまだに不思議な威圧感に満ちていた。
「違う。私は変えられて換える者。 <教主>を強いられた者。 私もかつては<教主>に従う者だった」
「なんだと? ……ということはお前、影武者か」
<教主>の偽物。
そう思ったカイが詳しく問いただす前に、異変は始まった。
<守護戦士>の後方から、巨大な光が溢れ出す。
あの暗闇の道で見た、水色の光だ。
重層を成す青色を踏みにじるように、爽やかでありながらどこか如何わしい、空の色をしながらどこか澱んだような悪意を湛えた光がカイの背を押し、前方に巨大な影を浮かび上がらせた。
同時に、さらに巨大な影が、カイ自身の影を一瞬で塗りつぶす。
「来た。 始まった。 変える者が、換えに来た」
「なんだ!?」
後ろのテングを振り向くことさえできない。
物理的な圧力を伴う光の奔流に、ただカイは大地に足を踏みしめて耐える。
「……ユウか!!」
これだけの異常を作り出せるのは、テングでも、ましてやカイ自身でもない。
であれば――あの暗闇で聞いた、ユウの中に潜むもの。
真実を表すように、ユウから伸びたであろう巨大な影は無数の人と獣の姿をしていた。
「……<サモン・ディゼスター>」
微かな声が響く。
それと同時に、カイの周囲を無数の光が駆け抜けた。
鳥、犬、兎、象、犀、狼、狐。
半透明な水色の光で織りなされたそれらの姿が、一瞬の間にカイを通り過ぎ、<教主>に殺到する。
そして次の瞬間。
<教主>の身体は無数の爪と牙と蹄によって、文字通り八つ裂きになっていた。




