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ある毒使いの死  作者: いちぼなんてもういい。
第二章 <西へ>
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16.<冒険の終わり>

過去の投稿部分には時折、自分でも情けなくなる稚拙な部分があります。

時間があるときに手直ししていこうと思います。

(きちんと校正すればいいじゃん、と思いますけどね)

1.


『状況は分かりました。今はどこにいます?』

「港に上がったところだ。もうすぐ帰る―――<Plant hwyaden>と一緒に、だがな」

『むしろそっちのほうがいいでしょう。こちらにも偵察隊か―実動部隊が張り付いているとみたほうがいい。アイテムを集めて屋敷を引き払います。

連中に大してどれほど抑止力になるかわかりませんが、<大地人>のそばであれば無茶をしないでしょうから』

「頼む。いざとなったら独自の判断で降伏しろ。そのあとは打ち合わせたとおりだ」

『わかりました』


テイルロードに残っていたユーリアスとの念話を終え、レディ・イースタルはようやく一段落ついた心地だった。



ここはテイルロードの港である。

出発してより、まる二日が過ぎていた。


船団長が、インノシマにいた最後の海賊だったらしい。

夜を城で明かした<グレンディット・リゾネス>は、翌朝から午前中を城の探索に費やしたが

一般的な資材やアイテム以外、宝物や隠し扉といったものは全く見つからなかった。

当然、海賊達の謎や王に繋がる手がかりも皆無だ。


徒労感を覚えた一行は、焼け残った城を放置して、再び半日かけてテイルロードに帰還した。

帰り道には海賊の襲撃もなく、<向かい合う島>の不気味な雰囲気も薄れており、本来であれば

このギルド特有の騒々しい会話が道中繰り広げられていたことだろう。

凱旋の雰囲気をぶち壊したのが<Plant hwyaden>の二人だ。

コーラスはまだよい。

腹の底で何を考えているかわからないにせよ、少なくとも場の空気を読み、

周囲と無用の軋轢を起こさないようにするくらいの気配りはしてくれている。


問題はこいつだ。


 レディ・イースタルはため息をつきそうになる口を押えながら後ろを振り向いた。

彼女のすぐ後ろには、どういう意図なのか、サルマがぴたりと馬をつけて進んでいる。

一方、今一人のコーラスは後方で<グレンディット・リゾネス>のメンバーと談笑しているようだ。

立場上敵味方に近いとはいえ、元はミナミのプレイヤー同士だ。打ち解けるところもあるのだろう。


無表情のままのサルマに、思い立ってレディ・イースタルは話しかけた。


「なあ。<Plant hwyaden>の前はどこのギルドにいたんだ?それともソロか?」

「……」

「ソロなら、俺の友達にも一人いてな。これがいい年して融通聞かない堅物でさ」

「……」

「生まれはどこなんだ?ああ、実際の話な。こういう出会い系まがいの会話はなかなかゲーム時代はできないが、実際今は年がら年中オフ会みたいなもんだし……」

「……」

「……何とか少しは言えよ…」


がっくりとうなだれたレディ・イースタルに視線を一瞬も向けることなくサルマは歩く。

いっそぶん殴ってやろうかと思った矢先、ギルドメンバーが歓声を上げた。

テイルロードに残っていたメンバーが港まで迎えに来てくれたのだ。

その先頭には、いつもどおり無表情のユーリアスがいた。



「無事のお帰り、お疲れ様です」


全員を代表して、ユーリアスが頭をさげる。


「ああ。そっちも留守居ご苦労さん。道中変わったことはなかったか?」

「少なくとも私達が気づいた限りでは何もありませんでした」


大陸の軍師めいたローブの裾を手で直してユーリアスがちらりと<Plant hwyaden>の二人を見る。

その鋭い視線に触発されるように、初対面の頃と同じ茫洋とした笑みを浮かべながら

コーラスが手を差し出した。


「やあ。はじめまして。私は<Plant hwyaden>のコーラスです。

今回のそちらとの交渉ごとの責任者ですよ」

「……私はユーリアス。<吟遊詩人>です。このギルドのサブリーダーをしています」

「『歌う軍師』のお名前は、ちょっと大規模戦闘を齧ったプレイヤーなら有名です。お会いできて光栄ですよ」

「さて。私はただのとりまとめですから。」


手を握り合いながら顔だけはにこやかに応酬する二人を引き剥がし、

レディ・イースタルは告げた。


「もう夕方だ。とりあえず屋敷に戻ろう。<Plant hwyaden>の二人も同行してくれ。

生憎、たいしたメシもないが、話は翌朝聞くよ。ああ、夜逃げなんて間抜けなことはしないぜ」

「ラーメンかお好み焼き、あります?」

「こっちの世界のこの町(テイルロード)にはないな、残念だが」


コーラスの軽口を切って捨て、屋敷に向かう坂につま先を向ける。


「ともかく、俺達は別に<Plant hwyaden>と戦いたいわけでも、感情的に拒否しているわけでもない。

そのあたりも話そうじゃないか。明日」



 ◇



 人の姿のない町。

いつ人が絶えたのか、どのようにして絶えたのか。

無数の風雪にさらされた建物は、何も語ることはない。


町は人と共に栄える。

若者から老人まで、多くの人で栄える町は、道端の標識ですら輝いて見えるし

人が去り、年老いた町はどのような新しい建物でもどこか余所余所しさが漂うという。

そして、住むべき住人に見捨てられ、住民が去った家々は。


人に牙を向くことも、あるかもしれない。





2.


 翌朝は快晴だった。

秋の長雨の走りが時折空を黒く染め上げる、今の季節としては上々である。

大気は夏のころそのままに、じとりと体を締め付けるほどに生温いが、

空は徐々に高く澄み渡り、遥か高空では鰯雲がその姿を見せ始めていた。

秋なのだ。


「秋は夕暮れ。         

 夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、

 二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。

 まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。」


空を見上げてレディ・イースタルは思わず呟く。

地方紙の記者なんて何でも屋だ。文化面の記事を書くのに、最低限の古典教養は必須だ。

彼女自身、古今の有名な語句くらいはさらさらと言える。


だが、柄にもなく朝から詩的な気分の彼女に声をかけたのは、またしてもユーリアスだった。


「清少納言ですか。この人が言っているのは晩秋ですよ。そして今は朝です」

「……いらんツッコミを入れるな。お前と芸人コンビを組んでるつもりはないんだよ」


周囲をクスクス笑って通り過ぎるギルドメンバーを一人ひとり睨み付けながら、

レディ・イースタルは明後日の方角を向いた。


彼女自身は気付かなかったが、その仕草は<大地人>ならば

『ハンサムな家臣―<冒険者>らしくユーリアスもハンサムなのだ―に痛いところをつかれ、

すねてそっぽを向いていじけた姫君』 

とでも解釈することだろう。

もちろん部下(ユーリアス)はそのような解釈などせず、上司(レディ・イースタル)の前で、手に持った紙に無感動な視線を落とした。


「……芸人ですか。それにしても最近の芸人にはエネルギーが足りませんな。顔を見せただけで爆笑されるようなインパクトがない。オール阪神・巨人師匠のような……」


真顔で喋り始めたユーリアスを見て、いつの間にか部屋に入っていたコーラスが目を見開いた。


「あのなあ、今はお前と芸人論を繰り広げている時間じゃないんだよ。<Plant hwyaden>に対しどうするか相談する時間だろうが。」

「分かっております」


プッ、とユーリアスの背後で音がした。

耐え切れなくなったコーラスが吹き出した音だ。

サルマの表情は変わらないが、正対するレディ・イースタルには、わずかに鼻の穴がひくひくしているのが見えた。

無表情な中にもどこか緊張感と冷たさが同居した顔が崩れ、

ギルドメンバーと談笑した時の、緊張感が抜けたコーラスの顔が現れる。



(まずは先手)


レディ・イースタルは昨夜、夜明けまで打ち合わせた内容を思い出し、内心でほくそ笑んだ。




「すまないな、うちのギルドはいつもこうなんだ」

「いえ、楽しそうで何よりですよ」


声をかけたレディ・イースタルに答えたコーラスは、自分の胸のギルドタグをちらりと見て苦笑した。


「ま、いいところでもあり、悪いところでもあり、だな。

待たせたが、茶でも飲むか?一応味はあるぞ」

「いえ。お構いなく。あまり茶飲み話になるものでもありませんから」

「……」

「<Plant hwyaden>へ参加してください。

ギルドと言う枠はなくなりますが、皆さんがバラバラになるわけじゃありません。

<ハウリング>も、<壬生狼>も、ギルドとしては消えましたがギルド内の組織として従来の仕組みを維持しています。

我々は……」

「すまん、ちょっといいか?」


説明を続けようとしたコーラスは、目を数度瞬きしながら、教師の前の学生のように手を上げたレディ・イースタルを見た。


「はい、どうぞ」

「まずだが、質問は随時行っていいか?正直俺らは<Plant hwyaden>のことを何も知らんのだ」

「ええ、いいですよ」


昨日の対応から、糾弾か非難が飛んでくると思っていたらしいコーラスは、思いのほか穏やかなレディ・イースタルに微笑した。

彼の横のサルマは居眠りしているのか、目を閉じたまま動かない。

ギルドマスター専用の椅子に座ったレディ・イースタルは、正面のソファに座るコーラスを柔らかい目で眺め、そして静かに口火を切った。




「まずだがな。

俺達はレベルも職業もバラバラの、いわゆるまったりした冒険ギルドだ。

そりゃ<ハウリング>みたいな特化したギルドなら元のギルドだけで集められるだろうが、

俺らのような有象無象のギルドだと、役割分担でバラバラにされるんじゃないのか?」


「それは……確かに生産系、戦闘系と大きく分かれていますので、普段の仕事は変わってきます。

ただ、別にオフの時間まで同じ仕事の人間といなければならない、というわけではありません。

そういう意味では自由です」


「<Plant hwyaden>の目的は?」


「ミナミに、ひいてはヤマトに秩序を与えること。

既存の<大地人>たちと融和し、不幸な行き違いを防止し、<冒険者>同士の争いを調停し、

我々の力を結集して、この<大災害>に挑むためです。

いつか元の世界に返るために」


「ではなぜ、参加を拒否する<冒険者>に高圧的に当たる?」


「<大災害>当初を覚えていますか?

この世界には我々への直接の法がない。法がなければ、いくら絆だなんだと言っている日本人でさえ、すぐ無法に落ちる。

<Plant hwyaden>は今のこの日本の法である神聖皇国ウェストランデの協力者であり、下部組織でもあります。

郷に入りては郷に従え。このヤマトにいる以上、ウェストランデの、ひいては<Plant hwyaden>の法に従うのは当然です。

例えば外国に旅行に行って、そこの法律が気に入らないからと逃げ出す人はどうなると思います?」


「だが、この世界はあくまでゲーム、<エルダー・テイル>の世界だともいえる。

俺達はあくまで仮の住人だ。あまり深く<大地人>にコミットするべきではないとも思えるが」


「実際に<大地人>と会って話してそれがいえますか?

自然や様々なもののディテール。<大地人>や知能あるモンスターとの会話。

彼らは間違いなく生きている人間、あるいはそれに準ずるものですよ。

この世界をいつまでも『ゲーム』と断じてまともに向き合わないから、

折角の<冒険者>の能力も全く生かせないんです」


「一つのギルドになることで、それが生かせるようになると?」


レディ・イースタルの次の質問に対し、コーラスは不思議なほどに目を剥いた。


「ええ!考えてみてください。ギルドメンバー同士ならどこであろうと、例えば戦うことも出来ます。

であれば、争いは逆説的に起き得ない。

例えば私が貴女(レディ・イースタル)を怒らせたとして、あなたがどれほど私をPKしようと思っても

わたしは街の中にいる限り貴女を脅威に感じることはない。

脅威を抱かない、という事は罵倒も挑発もし放題、ということです。

それが二人が同じ<Plant hwyaden>のギルドメンバーになれば、そうはいかない。

あなたは眠る、或いは食事をする私をいつでもどこでも殺すことが出来る。

だからこそ、ギルドメンバー同士の争いは起こらない。

そして、今までのギルドと違って、<Plant hwyaden>の指示命令系統には権力の裏づけがある。

ということは、どんなに享楽的で怠惰な<冒険者>であろうと、そのポテンシャルを発揮させることが出来る。

我々には<Plant hwyaden>が必要なんですよ。

それを、『一つのギルドなんて気味が悪い』『大勢力への反乱、面白いじゃないか』なんて言ってナカスに逃げる連中もいます。

彼らに言いたいですよ。本当にこの世界のことや、自分達の仲間、<大地人>たちのことを

考えて決めたのか、ってね」




熱心に説くコーラスに、真摯に耳を傾けている振りをしつつ、内心レディ・イースタルは納得していた。


こいつは狂信者だ。


一見して、彼の言葉は理想的で、思いやりがあり、正しいように見える。


(だが、こいつは<Plant hwyaden>が自身をどう自浄していくのか、という事について

一言も喋っていねえ)


権力の独占に伴って必然的に発生する腐敗、それにどう対処するのか。

自身が決して清浄でないマスコミという世界にいただけに、レディ・イースタルはこの手の発想には慣れていた。


(権力を手放し権威だけの存在になるのも一つの手だ。現実の天皇家や公家、こっちの世界の斎王家がそうか。

目付をつける手もある。企業で言えば内部監査、公務員なら監察官。

後は構成員のモラルに頼るという方法もある。江戸時代の武士と儒学・武士道。

で、<Plant hwyaden>はどうするんだろうな?)



コーラスにギルドの自浄機能について聞く必要はない。

彼はおそらく知らないし、理解もしていないだろう。寧ろ、彼の感情を無意味に悪化させる可能性もある。

誰しも、信じる何者かを「それって詐欺じゃないの?」などと無遠慮に指摘されれば激昂するものだからだ。


ため息をつきそうになる口を押さえ、彼女は演説を続けるコーラスをゆっくりと制した。


「よく分かったよ。有難う」

「じゃあ、参加してもらえますか?我々も、あなた方と無意味に敵対したくありません。私やサルマも――」


嬉しそうな―思ったよりギルドメンバーは彼の心を掴んでいたようだ―コーラスを見て、ふとレディ・イースタルは憐憫の感情が沸くのを感じた。

目の前の<冒険者>を、彼女は最初は不気味な怪物のように思っていたが、やがて彼とギルドメンバーの会話を聞くうちに、彼が実は20そこそこのプレイヤーだと気がついてから、

彼個人への悪感情は大きく減っていた。

コーラスはレベルは高いが、やっていることは稚拙なスパイごっこのようなものだ。

巨大ギルドのエージェント、という自分の立場に合わせて行動しようとしても、元がそんな生活と縁のない日本人なだけに、わずか1日で彼は完全にボロを出してしまっている。



そして、レディ・イースタルは今から、このエージェント気取りの若者の好意に付け込むのだ。



「うちのギルドは解散する。今日、この日、この場でだ。

その後、<Plant hwyaden>に入ろうとするメンバーがいれば、それは自由だ」


つとめて悲しげに、威厳を持って告げたレディ・イースタルに、コーラスは嬉しそうに頷き、

サルマは片目だけを薄く開けた。


「有難うございます、では早速…」

「待て。ただ、俺らのギルドには、関東生まれの人間、アキバに友人のいる人間も多い。

身の振り方を自分で決めさせてほしい」

「それは……」


困った顔のコーラスに、目線だけは真摯に、見上げるように体を折り曲げてレディ・イースタルは訴えた。


「これから俺達はミナミに<帰還呪文>で戻る。その後、少しの猶予をくれ。

ミナミをよく見た上で、その上でアキバを選ぶ仲間がいたら、責任を持って送り届けてほしい」

「……難しいと思います。アキバとは敵対してはいませんが……」

「同じ日本サーバだろう。それに向こうはウェストランデではなくイースタルだ。

アキバに行っても、法を守るという意味では変わりがないんじゃないか?」

「……」


レディ・イースタルはここぞとばかりに頼み込んだ。

そうしながらも、横目でサルマを見る。

傍目には寝ているかのような<妖術師>の目が薄く開かれていた。

その目の奥は相変わらず、読めない。

不気味な印象を持ちつつも、レディ・イースタルは重ねて頼む。


やがて、コーラスは折れた。


片耳に手を当て、誰かと話した後、コーラスはゆっくりと頷いた。


「わかりました。今から帰還呪文でミナミに戻りましょう。

その上で、アキバかミナミか選んでいただきます。

ただし。

その期限は2日です。2日目の夜までにミナミを出なかった場合は、自動的にミナミを選んだものとして、<Plant hwyaden>に参加していただきます。

そしてレディ・イースタル。

申し訳ありませんが、あなたにだけは選択の権限がありません。

あなたはミナミに戻ってすぐ、<Plant hwyaden>に参加いただく。

いいですね?」

「アキバへの道のりはきちんと保証してくれるんでしょうな」

「ええ。間違いなく保障します。

場合によれば、<召喚術師>にドラゴンで送らせます」


問答の最中、口を開かなかったユーリアスの質問に返事をしたコーラスに、レディ・イースタルがさらりと告げる。


「委細了解した。ただ、友人がミナミを訪ねてくるはずなんだ。

最後に<グレンディット・リゾネス>のギルドタグを見せてやりたい。思い出だからな。

ギルドを移すのはそれからでもいいか?」

「え……」


不安そうな彼だが、しばらく天を仰いだかと思うと、何かを無理やり納得するような顔で頷く。


「わかりました。ですがそちらの猶予も2日とさせてもらいます」

「わかった。君の面子をぶっ潰す真似はしないよ。

さて、善は急げだ。友人がよく言ってた言葉だがね。

ミナミへ急ごうか」


ソファから立ち上がったレディ・イースタルに、コーラスが深々と礼をする。

最初に見た気障ったらしいそれではなく、誠実そうなお辞儀だ。

その彼は、交渉をまとめた喜びが全身から溢れているようだった。


そんな彼と、相変わらず寝ているのかどうかも分からないサルマに聞こえないように

レディ・イースタルは念話をつなげて囁いた。


「ここまでは上々だな。とりあえず2日もらった」

『2日なら、ミナミ到着は不可能ではないですね』

「あとは……海賊王とやらが大人しくしてくれているか、だが」

『……ここの住民には申し訳ありませんが、ユウさんにクニヒコさんがいれば

負けることはありますまい』

「お前には苦労をかけるな」

『大丈夫です。任せておいてください』



その声は、荷物が片付けられ、がらんとしていく屋敷の壁の合間にすう、っと消えていった。

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