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ある毒使いの死  作者: いちぼなんてもういい。
幕間 <典災>
177/245

128. <残された謎と貴族の少女> (中編)

1.


 少女と旅を始めて4日、ロビンの心配は、今のところ杞憂で終わりそうだった。


「あれが、ダンバトンか?」


ユウが手をかざすと、曇り空にけぶるモノトーンの町が見える。

いや、街と呼んでもよいものか。

藁屋根の木造の家がまばらに立ち並び、その周囲は牧草地と畑に覆われ、急造と一目でわかる粗末な柵が立っている。

領主の城というので、ユウやエルは懐かしいマイハマの灰姫城(キャッスルシンデレラ)や、ほかの荘厳な城砦をイメージしていたが、エリシールが「城です」と指差したそこは、可能な限り好意的に言っても城というより屋敷だった。

尖塔の先は石ではなく藁らしき黄土色の物体で葺かれ、下に流れる平屋建ての建物も、

城の中枢、というよりは田舎紳士の(ホーム)を髣髴とさせる。


「なんというか、思い描いていたのと違うね……」

「中世の騎士の城というより、シャーロック・ホームズの短編に出て来そうではある」

「しっ。エリシールに聞かれたらどうするんだ、ユウ、エル」


だが、一行の先頭を歩くエリシールは、そうした言葉を気にすることもなく、嬉しげに近づく故郷を見つめていた。

いくら大人びていても少女だ。故郷や家族、友人たちが恋しいに違いない。

そこにどれほどの危険があったとしても、その気持ちに嘘がないであろうことを、

3人の大人は彼女のほころぶ顔に見ていた。



 ◇


「エリシール!」

「おお、よくぞ」


抱きしめあう父伯爵や母の伯爵夫人、兄や姉たちの姿がある。

領主たる自分の命に従わず、勝手に帰ってきた娘だ。

貧相な城の貧相な応接で待っていた伯爵の顔は夜叉のようだったが、

それでもモンスターに襲われた娘が帰ってきたのは嬉しいらしい。

エリシールの顔が見えるや否や、抱きしめてこの有様だ。

そんな主君を、周囲の騎士や文官たちも朗らかに、時折もらい涙をしながら見つめている。

君臣の関係は、ことこの小さな貴族領にいる限り、極めてうまくいっているようだった。

何しろ、エリシールは賢い。

しかも、兄や姉がすでに青年から壮年という年であるのに比べ、年も小さい。

顔立ちも、今はあどけなさが先にたつものの、このまますくすくと育てば求婚者には不自由しないであろうほどには整っている。

家臣たちが、幼い主君の末姫を、娘や孫娘を見るような目でいたわり育ててきた光景が眼に見えるようだった。


「これは、恩人の方々にご挨拶もせず」


しばらく抱擁を続けていた伯爵とその妻は、ユウたちがぼうっと待っているのを見ると、赤面して頭を下げた。

初老の男だ。

頭髪は抜けかかり、残る髪も心労からか白くなってはいたが、

その逞しい肉体は、さすがに<アルスター騎士剣同盟>の北辺を守る武将の末裔らしい覇気を纏っている。

申し訳ない、と頭を下げる彼に首を振り、3人の<冒険者>は勧められた椅子に座った。

対する伯爵も向かい合って座り、その隣には夫人が、逆隣には長男らしい少壮の帯剣した騎士が座った。

夫人のさらに横にはちょこん、といった擬音が似合う姿でエリシールが座っている。

旅の間は気を張っていたのか、今の彼女は随分と年相応の少女に見えた。


「大勢で申し訳ない。昨今はなにぶん物騒ですからな」

「いえ、伯爵。ご令嬢から話のあらましは聞いております」


一堂を代表してエルが返し、伯爵と家族、後ろにぞろぞろと立つ家臣たちは一様にほっとした目を見交わせる。

戦時中にしては随分のどかな雰囲気だな、と思ったユウが何かを言う前に、伯爵が慇懃に口を開いた。


「まずは娘を助けてくださりお礼を申し上げます。忠勇な騎士たちには申し訳ないが、

私も人の親、愚かな末娘とはいえ、生きて顔を見られて嬉しい限りでござる」


再び深々と頭を下げた伯爵に倣って、その場の一同が頭を下げる。

その雰囲気に居たたまれなくなったロビンが思わず声を出した。


「あ、いえ、おれた……私たちは人として当然のことをしたまでですから」

「むしろ騎士の皆様をお助けすることが叶わず、申し訳ありません」


あたふたとするロビンとは対照的に、きちんと膝を揃えて座ったユウが頭を下げた。

さらりと落ちた黒髪が、ユウの白い顔を隠す。

爵位持ち貴族に負けず劣らずの慇懃なお辞儀は、ジャパニーズ・サラリーマンの必須技能だ。


「あ、いや、<冒険者>殿にそこまでさせては」

「いえいえ、これは」

「あ、いえいえ」

「いえいえ」


周囲の家臣が、わざとやっているのではないかと思うほどに悠長なお辞儀の応酬を終えた後、

改めて伯爵とユウたちは視線を交わす。

ユウは、伯爵の目に暗い陰りが見えないことに奇妙さを覚えつつ、彼にエリシールからの情報の捕捉を求めた。


「危険は、おおむね過ぎ去ったようです」


伯爵の明るい声に、3人は思わずぽかんと口をあけて目の前の領主たちを見た。


「……どういうことです?」


次々と行方不明になる領民。奇怪な噂。行方を絶った騎士たち、徐々に出現するモンスター。

決して安直で愚劣な行動はとらないであろう、目の前の聡明そうな伯爵が、自らの手元より遠い修道神殿に――自分たち一族が滅び去ることも考えて――娘を送るほどの事態だったはずだ。

第一報をユウたちに伝えたのが少女であるエリシールだったことを間引いて考えても、

エリシールが街を離れてわずか数日で大きく状況が変わるとは考えられない。


<冒険者>たちの呆気にとられた表情が滑稽だったのか、悪意のない笑みを見せて伯爵は答えた。


「援軍が来たのです」



 ◇


 その男は、ふらりと城門――と称する扉――の前に立った。

武器こそ持っていなかったものの、フードを深く下ろし、顔を見せないその男は、

噂に言う『夜に人を連れて行く怪人』にそっくりで、殺気立っていた城内は即座に臨戦態勢に移行した。

何者だ、と誰何する門兵に、その男は感情を見せない声で告げた。


『この街を守護しよう』


薄汚い浮浪者か、小遣い稼ぎ目当ての旅芸人だと、当初伯爵は思ったらしい。

実はそうではない、と確信するにいたったのは、その男が、街を外界と隔てる急造の柵――もともとは羊や野獣除けでしかなかった――の周囲で騒ぎ立てていた<緑小鬼(ゴブリン)>の群れを、手をかざすだけで森に戻してしまったことをはじめ、伯爵が信頼する騎士たちの前で、次々とモンスターたちを操って追い返してしまった事実を知ってからだった。


そして、ユウたちが来る2日前。行方不明だった騎士や猟師たちの遺品が発見された。

この世界(セルデシア)では、人は死ねば泡となって消え、その場には遺品が残る。

人の形を保ったまま地面に埋もれた鎧や、寂しげに落ちていた弓は、彼らが何者かと戦って死んだことの証左だと、<大地人>は見た。

それが、最近姿を見せていたモンスターの仕業だと誰もが思い、

そして、怪しげな浮浪者は街を救った救世主となったのだ。


「その方は『我は<召喚術師(サモナー)>である』とのみ述べ、ふらりと立ち去ってしまわれました。

ですが、その方のおかげでここ数日、モンスターの脅威は見えず、騎士たちによる捜索隊をもってしても、周辺には新参のモンスターのほか、もともといた狼などまでもが見えなくなっているとのこと。

決して楽観はできませぬが、我がダンバトンの街は何とか救われたのです」


長い話を終えた伯爵が一息つくと、ユウたちは怪訝な顔を見合わせた。

互いの顔に巨大な疑問符がついているのを確かめると、エルがおずおずと尋ねる。


「その人の名前は?」

「変わった名前でしたな。我らには噂に聞く<冒険者>殿のような力はないので、事細かにはわかりませぬが、レベルは<冒険者>や<古来種>と同じほどでありました」

「仲間などは?」

「一人でした」

「何かほかに言っていましたか?その男は」

「いえ……ただ、私が報酬を与えようとすると、『無用』とだけ告げておられました。

『報酬はいずれ』とも仰っておられたので、もうしばらくすれば来るかもしれませぬ。

……そういえば」

「そういえば?」


何かを思い出したような伯爵に、3人の視線が集中する。

3人の<冒険者>――一人は美女、一人は美少女、一人は美男――に視線を向けられたためか、

やや照れくさそうに彼は応じた。


「東や南でも同じようなことをしてきた、と言っておられましたな。あのような凄腕の<冒険者>殿が、この国を回って助けてくださるとは、ありがたいことです」

「……」


眉根を寄せた3人を不思議そうに見ていた伯爵が、窓に目を向けておお、と席を立った。


「申し訳ない。娘の命の恩人ともう少し話していたいのですが、政務を滞らせてございます。

中座することをお許しくだされ。

もしよろしければ、ささやかなりと部屋を用意してございますゆえ、旅の疲れを落とされよ」


心底申し訳なさそうに会釈する伯爵とその家族、家臣――その中には母親に抱かれるように寝入ってしまったエリシールもいたが――を、ユウたちは奇妙な気分のまま見送った。



 ◇


「どう思う」


与えられた、お世辞にも豪華とはいえないが、おそらく屋敷でもとびきりの客間で、無作法にも床に足を投げ出したエルが聞いた。

離れた場所におかれた丸椅子に座るユウが、手にした煙草に火をつけながら負けず劣らずのぶっきらぼうな口調で答える。


「少なくともまともな<冒険者>じゃないね、そいつは」

「だろうな」


置かれた水差しから水を汲みながら、ロビンが相槌を打つ。

渡された水のカップを「すまない」と受け取りながら、ふうっと煙を吐いたユウは心中の疑問を吐露した。


「まず、そいつが<召喚術師>だとして、単独行動する意味がわからない。

私の知る限り、1人単独でミナミからアキバに渡った<召喚術師>がいるが、彼は例外だろう。

特に危険な場所を、パーティも組まずに彷徨う理由がない」

「俺やあんたたちみたいなソロプレイヤーで、趣味で人助けをしているとかの可能性はないか?」


ロビンが少年時代に読みふけったパルプ・コミックには、その手の世に隠れたヒーローがごまんといた。

だが、それを尋ねる彼の表情は、言葉とはまったく裏腹の内心を如実に指している。

ロビンの本当の疑問を理解したエルが、面白くもなさそうに応じた。


「まあ、この世界に放り込まれて、ヒーローを気取るようになったプレイヤーは多いだろうけど。

名前も名乗らないというのは異常に過ぎる。 それに」


3人の言わずもがなの言葉を、ごくあっさりとエルは口にした。


「<召喚術師>には、敵愾心(ヘイト)を向けている敵モンスターの集団を操るような特技はない」


 ◇


「ロビン、あんたは<召喚術師>についてどこまで知っている?」


不意に問いかけられた言葉にロビンは首をひねった。

<エルダー・テイル>に実装された12職については、無論のこと彼も知っている。

だが、<盗剣士(スワッシュバックラー)>であり、しかもプレイを始めて年数の浅いロビンには、

自分がなろうと思ったこともない職業については、通り一遍のことしか分からなかった。

お手上げ、という風に両手を軽く挙げると、彼は乏しい知識の中から<召喚術師>に関するそれを引っ張り出した。


「ええと。<エルダー・テイル>12職のひとつ、魔法職に属する職業で、最も汎用性が高いとされる職業じゃなかったっけ。

従者を召喚し、攻撃を任せたりさまざまな特殊な行動を取らせることができるし、

<エレメンタルレイ>や<エレメンタルヒール>のような、攻撃や回復の特技も覚えることができる。

それに、契約する召喚獣によっては一人で敵の部隊と戦えたりするから、ソロプレイヤー向きの職業……じゃなかったっけ」

「大体あってるね」


生徒の採点をする教師のようにエルは頷くと、口を閉じたロビンに代わって説明を始めた。


「子持ちジジイのユウには言わずもがなだけど。

……<召喚術師(サモナー)>は、召喚獣と契約し、召喚し、使役して戦う職業だ。

直接的な攻撃力は<妖術師(ソーサラー)>に及ばず、呪文の多彩さでは<付与術師(エンチャンター)>には及ばないものの、16体まで契約できる従者によっては、1パーティを叩き潰すこともできる」

「確かにな」


かつて殺しあった<竜使い>の<召喚術師>を思い出し、ユウも首肯する。

立て続けに竜を召喚しては暴威を振るった彼女の恐ろしさは、時間がたってもユウの記憶に深く刻まれていた。


「特徴は、だ」


エルはそんなユウの内心を知ってか知らずか、説明口調で続けた。


「『従者』となるモンスターと『契約』し、『召喚』して『使役』する職業だ、という点だ。

<召喚術師(かれら)>が自在に操ることができるモンスターは、あくまで『契約』した相手だけだ。

野良の、それも敵対しているモンスターを集団で操る職業じゃない。

しかもほとんどのモンスターは契約するのに専用のクエストが必要になるし、<緑小鬼(ゴブリン)>は契約可能モンスターじゃない」

「<召喚術師>というメイン職業で、サブ職業がそういうタイプだということはないか?

たとえば<竜使い(ドラゴンテイマー)>は野良のドラゴンも操れるというけど」

「確かに、そういう職業もある」


エルの言葉は、しかしロビンの答えとは正反対だった。


「私もこのセルデシアに、一体どのくらいのサブ職業があるのかわからない。

サブ職業のデザインは各地域の運営会社に任されていたからね。

だから確実なことは言えないんだが、そうした<調教師(テイマー)>系のサブ職業は、

大きくゲームバランスを崩さないように1系統かせいぜい2系統のモンスターに特化している。

しかもそれは自分に敵愾心(ヘイト)を持っていない場合といった風に、制約も多い。

伯爵の話ではその男は、操るのに手をかざしただけで呪文も使わなかったという。

どう考えても、そんな強力なサブ職業があるとは思えない」

「口伝、という可能性は? 私やおまえのように」

「それこそ何でもありだろう」


口を挟んだユウに、エルは苦笑した。


「口伝にシステム的な設定があるのかどうかなんて分からない。

それを言い始めたら、何でも口伝になるからね。

少なくとも、私はそういうやつは知らない」


全員が黙る。

チチチ、と窓の外で曇天に小鳥が囀る声が聞こえる中、エルはゆっくりと言った。


「そいつは<冒険者>じゃない。……その可能性が高い。

<古来種>かもしれないが……本当に<古来種>なら、自分をそう名乗るはずだ。

あの<緑衣の男>のように名乗らない理由があるのかもしれないけど。

……それに、私は気になっている」

「『東や南でも同じことをしてきた』……だな」


そう呟いたユウに、エルは真剣な顔を向けた。

ややあって、小さく話す。


「同じこと……モンスターの制御。 今はあくまで邪推交じりの推測でしかないけど。

……もしかしたら、そいつが、私が追っていた相手かもしれない」

「かもね」


煙草を置かれていた皿でもみ消して、ユウはぼそりと囁いた。



2.


 翌日、伯爵の盛大な見送りを受け、ユウたちは旅立とうとしていた。

ユウの<暗殺者の石>やエルの<ダザネックの魔法の鞄>といったインベントリには、

伯爵心づくしのアイテムが一杯に詰め込まれ、彼らの周囲をめぐる人垣には伯爵一家だけでなく、

仕事の手を止めた領民たちもひしめいている。


「お嬢様を助けてくれて、ありがとうございます!」

「さすが<冒険者>さまだ!」

「あの<召喚術師>さまといい、さすがは<冒険者>だぜ」


無邪気ともいえる人々の歓声には、エリシールが領民からどれほど愛されてきたかの生きた証拠が詰め込まれていた。

ははは、と苦笑して、馬上の人となったユウたちは軽く手を振った。

それだけで人垣がどよめく。


「単にエリシールを送ってきて、1日泊めてもらっただけなのにな」

「ま、何であれ褒められるのはよい事さ」


ロビンとユウが囁く間にも、人垣の最前列にいたエリシールが、わずかに涙をたたえた目で彼女たちを見つめていた。


「お元気で。 ……いつかまた来てね」


涙声の依頼に、一瞬ユウたち全員が困ったような顔をする。

彼女たちにとって、このダンバトンという場所は単なる長い旅の一行程であって、それ以上ではない。

再び戻ってくることは、およそありそうにはなかった。

だが、気丈に振舞うこの少女に、それを告げるのは無神経に過ぎる。

だから、ユウは体を伸ばして、自分の鐙ほどの位置にある少女の頭をやや強引に撫でた。


「ああ。またいつか。それまで義務を果たして、いい貴族になりなよ」

「……はい!」


エリシールがそう言って微笑んだとき、人々の一番後ろからどよめきがおきた。

何だ、と目を向けたエルたちの眼前で、するすると人垣が割れていく。

その向こうから姿を見せた、ぼろぼろのフードの人影を見て、伯爵は思わず快哉を叫んだ。


「おお! このような日にめでたいことが二つも! ようこそいらっしゃいました!」


無言の男に、そういって伯爵が両手を広げる。

だが、領主たる彼の歓迎を気に止めた風もなく、その男――<召喚術師>と名乗った男は、ユウたちの10メートルほど手前で足を止めた。


深い緑の、ぼろぼろのローブ。

その下から覘く顔は、フードに隠れて輝くような金髪だけが揺らめいている。

彼は、立ち尽くしたまま、静かに口を開いた。


「報酬ヲ、取リニキタ」


その声。

あまりに無機質な、まるで機械が人の声を真似しているかのような、声。


共感子(エンパシオム)ヲ、受ケ取リニキタ」


その声が鼓膜を打つ前に、既にユウたちは馬から飛び降り、それぞれの武器を抜き放つ。

急な<冒険者>たちの行動に、目を白黒させる<大地人>たち。

その一人であるエリシールの肩を強くつかんだまま、ユウはつとめて静かな声で言った。


「逃げろ」

「え? でも、あの方は」

「私たち<冒険者>は他人のステータスを読むことができる。<冒険者>か、<大地人>か、それ以外か。

私たちには見えるんだ、あの男は<召喚術師>じゃない。<冒険者>でも<古来種>でもない。

……モンスターだ」

「伯爵! みんな!逃げろ、ここから今すぐ離れろ!」


ロビンが周囲に怒鳴ったのと、その男――ステータス画面を奇妙に揺らめかせた男が再び口を開いたのは、まったく同時だった。


「我ハ<破壊>ノ『エイレヌス』。<陰王>ノ『エイレヌス』。破壊ヲ望ミ、我ニ<共感子(エンパシオム)>ヲ捧ゲヨ。……<冒険者>!!」

「逃げろ!!」


ロビンの叫びが響く中、ユウは鋼鉄のようなその男――エイレヌスと名乗ったモンスターの腕と、自らの刀を打ち合わせていた。

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