番外 キャラクター紹介(第八章まで)
<古来種>
まともには動けるが、長時間の戦闘は<共感子>を大量に失っているため不可能。
◆<緑衣の男> ヒューマン、男 メイン職業<森の射手>。
年の頃20代半ばほどに見える細身の男。緑の皮鎧に羽付帽子を被り、イチイの大弓を持つ。
普段は飄々として、軽薄な雰囲気を漂わせている。
<古来種>となる前は一般庶民であり、<古来種>達の集団である<赤枝の騎士団>では浮いていた。
彼のメイン職業は<暗殺者>、<盗剣士>の特技を部分的に使える特徴があるが、
その代り弓と一部の短剣でしか特技の恩恵を受けられないというデメリットがある。
モデルは中世英国の弓兵、ロビン・フッド。
◆マリアン ヒューマン、女 メイン職業<癒し手>。
20代そこそこに見える金髪の女性。ロングヘアにローブという姿ながら、
極めて活発な印象を与える女性。
<古来種>として目覚める前は海に出たまま行方不明の父と会うこともなく、
母が死んでから修道神殿に預けられていた。
極めて利他主義かつ頑固な女性であり、ゲーム時代は『言うことを聞かないこの女を殺せ』と、
とあるクエスト(<蝕地王の侵攻>ではない別のクエスト)にて、
プレイヤーに名指しで殺害予告されたこともある。
彼女の職業はプレイヤーの同名のそれとは異なり、<神祇官>のスキルが一部使える<施療神官>と言った方が近い。
モンスター時代の能力は後述。 モデルは伝承上のロビン・フッドの恋人、マリアン。
<大地人>
◆タクフェル ヒューマン、男、60代。(実際の年齢は150歳程)
メイン職業<海賊> サブ職業<薬師>
<深き黒森のシャーウッド>のセーフゾーン、<小さな安息地>に小屋を建てて住む老人。
普段は温厚だが極めて短気、かつ頑固。 マリアンの父親。
若い頃、船乗りから<海賊>となり、アルスター騎士剣同盟に雇われていた。
その後、マリアンの消息を知って船を降り、<封印の森>近くの村に住むようになるも
<蝕地王の侵攻>クエストに巻き込まれ、目の前で娘が毒沼に飛び込むのを目にする。
その後はレイドゾーンに残り、薬草や水薬を作りつつ、時折外の村に診療に行っていた。
ゲーム時代はクエストエリアのお助けNPCで、呪薬や水薬を割高な価格で売っていた。
時間の流れが異なる<深き黒森のシャーウッド>にいたせいか、外見上は100年以上にわたり
ほとんど年を取っていない。
名前のモデルは『修道士カドフェル』シリーズの主人公、元十字軍兵士の修道士カドフェル。
「薬草師である」「海賊をしていた」というのもカドフェルの設定から。
プラス、『ロビンフッド』の登場人物の一人、タック神父より。
【クエスト】
<蝕地王の侵攻> 2012年リリース、英国サーバ限定、80レベル向けフルレイドクエスト。
レベルキャップが70から80レベルに上がった直後ということもあり、歯ごたえのあるハイエンドクエストとして好感をもって迎えられたクエスト。
だが、ハッピーエンド志向が強いネットゲームのイベントにしては珍しいビターエンドだったため
当時を知るプレイヤーからは、『最低のクエスト』『後味最悪』『運営の自慰』と
散々な悪評を蒙った。
1)概要
アルスター騎士剣同盟が成立する前、現在の南イングランドを中心にした王国があった。
そこの王は正義と公正さに溢れていたが、王妃の裏切りにより王は絶望する。
変わり果てた王に対し、騎士たちは反乱の火の手を上げ、王は捕縛されると国の片隅にある森へと連れてこられた。
「いずれ復活してお前たちを未来永劫呪ってやる」
王はこの言葉とともに毒の沼に沈められ、森は誰も立ち入ることができないよう封じられた。
長い年月ののち、王は毒の怪物となって甦る。
討伐隊の騎士たちは一人残らず屍人となって、戻ってくるものはなく
やがて王の魔力によって、森そのものも異界へと落ちた。
<冒険者>たちは、古に王を封じた騎士たちが築いた六つの砦を死守し、
王が真に目覚める前に王を倒さねばならない。
2)クエスト概要
中隊規模戦闘。レイドゾーン<深き黒森のシャーウッド>は大きく8つのエリアに分かれており、中央の<蝕地王の墳墓>(かつて王が沈められた毒沼)を中心に、六芒星型に6つのエリアが存在している。
一つの砦からはセーフゾーンである<小さな安息地>を経由し、レイドエリア外である<封印の森>に出ることができる。
推奨レベル:80
主なポップモンスター:<湿地の不死者>、屍人、灰斑犬鬼
レイドボス:<蝕地王> 88レベル レイドランク1.邪毒属性。
サブボス :<屍竜> 82レベル レイドランク1.邪毒属性、竜。
<死の玉座> 85レベル パーティランク6.邪毒属性、植物。
※このうち<死の玉座>はクエストの最中に倒されリポップしていない。
援助者 :<古来種> ロビン、マリアン
<蝕地王>封印のために派遣されてきた<古来種>。恋人同士。
3)クリア要件
ノーマルクリア(クエスト達成とはならない)
:6つの砦のうち1つ以上を防衛したうえで<蝕地王>を倒す。
ロビンたちから「まだ封印が出来ない」と告げられ、クエストは継続。
ベストクリア(クエスト達成)
:6つの砦をすべて防衛し、<死の玉座>を倒したうえで<蝕地王>を倒す。
この時のみ、ロビン、マリアン、タクフェルは<冒険者>と同道する。
<蝕地王>のHPが尽きた直後、イベントにより王は自分の行動動機を述べ、
それにほだされたマリアンは毒の沼に飛び込む。
この時、マリアンを止めるためにプレイヤーが特技を用いても、彼女の魔法により
効果は有効とならない。
ロビンは「名前を捨て、この森で暮らす」と言い、クリアアイテムを渡して去る。
4)クエスト報酬
<ミダス王の右手> 秘宝級。そのままでもMP回復速度が上がるほか、
いくつかの高位呪薬のレシピ素材。ノーマルクリアでドロップ。
<死せる湖の剣> 秘宝級。ダメージを与えた敵に精神属性追加ダメージ。
自己回復能力あり。ノーマルクリアでドロップ。
<蝕地王>の佩剣。
<五月の王> 幻想級 ベストエンドでのみ
<緑衣の男>から報酬として貰うことができる。
5)クエストの問題点
当時、ハイファンタジー志向だったレッドブランチ社(<エルダー・テイル>の北欧サーバ担当運営会社)は、ハッピーエンドには終わらないクエストを多々制作していた。
「世の中そんなうまくいくわけがあるか」が、当時の該社公式FAQにおける運営側のコメントとして残っている。
そんな中、アタルヴァ社によるアップデートに応じ、満を持して北欧サーバの中規模ハイエンドクエストとして制作されたのがこのクエストである。
大イベントにしか出張しない<古来種>の中でも比較的名前が売れた2人を使い、
当時としては大掛かり、かつ歯ごたえのあるイベントとして制作された。
だが、ベストクリアでのあまりの展開に、公式掲示板では議論が沸騰。
北欧サーバのプレイ人口が有意に減少する事態となった。
状況を重く見たアタルヴァ社はレッドブランチ社と協議を行い、
『今後、ユーザーが不本意な形でのエンディングしか迎えないクエストはこれを制作しない』という声明を出すに至る。
ユーザーの不満は解消されたものの、レッドブランチ社からは『商業主義だ』等の不満が鬱積、
多くのプログラマやシナリオライターが独立することとなった。
6)<蠢きもがく死>について
クエストがユーザーからの大不評を浴びて終わった後、残されたレイドダンジョンは
まったくプレイヤーがこない過疎エリアとなった。
<妖精王の都>、<霧の都>といったプレイヤータウンから離れ、
かつ出現モンスターが邪毒属性ばかりという、狩に不向きなエリアだったからである。
レッドブランチ社はゾーンの有効活用のため、クエストで使い潰した<古来種>、マリアンと
レイドモンスター、<死の玉座>を活用したレイドクラスのボスを作成し、
徘徊型ボスモンスターとしてゾーン内に配置した。
それが<蠢きもがく死>である。
<蠢きもがく死>:95レベル、パーティランク×5、邪毒属性、人間。
もともとは継続クエストでマリアンが変異したものだということはプレイヤーに知らされる
手筈になっており、彼女を救い出すクエストも想定されていたものと思われる。
しかしながら、彼女のデザインを担当したデザイナーが退職したため
(彼は<蝕地王の侵攻>クエストのデザイン・チームのメンバーでもあった)
結局、彼女の救出クエストは実装されることなく、5年以上に渡って放置されることになった。
<深き黒森のシャーウッド>を訪れた物好きなプレイヤーの中では、
「やたら強いくせに倒してもたいしたものを出さないダメモンスター」
「運営の悪趣味の権化」
「いつかこいつに関するクエストが実装されるだろう」
と適当に噂に乗るだけで、結局<大災害>時まで彼女は知名度の低いモンスターのままであり、
<大災害>によって毒が本当の苦痛や恐怖を味わわせるものになってしまったため、
余計に敬遠されるモンスターとなってしまった。
<冒険者>
◇ユウ
ヒューマン、女、<暗殺者>、<毒使い>、レベル94。
説明:今回変な毒を飲み、変な技に目覚めた。
装備:・<蛇刀・毒薙>。<製作級>の刀。
口伝の発動と引き換えに、耐久度の一部が永遠に失われた。
・<疾刀・風切丸>。<幻想級>の刀。
口伝の発動と引き換えに、耐久度の一部が永遠に失われた。
口伝:・<サモン・ディゼスター> 召喚、広範囲、遠距離攻撃
説明…<毒薙>で吸収した相手を無作為に召喚する。
代償として、二本の刀の耐久度、本人の記憶の一部を永遠に失う。
<毒薙>と<風切丸>を所持していないと使用できない。
・素手版<アサシネイト> 必殺、単体、近距離攻撃
説明…武器なしで<アサシネイト>を使用する。ダメージは素手であるために低い。
◇ロバート(ロビン)
ハーフアルヴ、男、<盗剣士>、<狩人>、レベル72→81。
説明:オーストラリア北西部出身の青年。留学のために英国に滞在している。
父親はハンター兼観光ガイドを生計にしており、日本人観光客に好意的。
<大災害>以降はしばらく<妖精王の都>に留まっていたが、ソロプレイヤー差別に耐え切れず
海を渡ってコーンウォール半島の端にある<大地人>の村で猟師をしていた。
通称はボブだが、クエストの後、ロビンと名乗るようになる。
装備:・<イチイの大弓> <秘宝級>
説明…<緑衣の男>から譲られた大弓。ボス以外のモンスターへのダメージに+20%のほか、
一部の<狩人>固有特技にボーナス。
本来は<緑衣の男>専用武器としてデザインされたため、
プレイヤーへの恩恵は低い。
この弓の兄弟にあたる弓は<五月の王>の銘を持っており、
今はとある日本人プレイヤーの手にあるとの事。
・<狩人の鎧>…一部の<狩人>固有特技にボーナスのあるだけの鎧。
◇エル
ドワーフ、女、<施療神官>、<鍛冶屋>、レベル93。所属ギルド:<アイガー修道院>
説明:ナカス出身の<冒険者>。<大災害>当初、差別される低レベルプレイヤーを助けようと
個人的に奮闘したが全く成果がなく、絶望して事もあろうに吸血鬼の手先になる。
<冒険者>に恨みを持つ吸血鬼の言うがままにユウたちをおびき寄せ殺そうとしたものの
アジトにしていた廃貨物船をユウに爆破、撃沈され、本人も行方不明になった。
(21.『廃工場』参照)
その後、<妖精の輪>を経由して中央アジアに流れ着き、遊牧民となるものの
<大地人>狩りを行っていた<冒険者>パーティと遭遇、戦闘となってそこから離れる。
その後、<傷ある女の修道院>を経て、英国に上陸し、<封印の森>に来た。
元々は髭面の男ドワーフであり、女性の姿をしているのは『外観再決定ポーション』によるもの。
ただし一年を経て、精神的には元々の男に戻っているようである。
装備:・<不死王の剣> <秘宝級>
説明…青い燐光を放つ長剣。元々の名前は別にあるため、これは便宜的なもの。
ナカス脱出時にエルがギルドからかっぱらった。
<不死王>の手を経てエルの元に戻るものの、彼女の体格では長すぎ、
また本来のビルドとも違うため、あまり使用しない。
<不死王>の形見としてエルはこの剣を大事にしている。
・戦槌
説明…ただの戦槌。威力と耐久度に優れる。エルの手製。
・全身鎧
説明…ただの鎧。耐久度に優れる。
口伝:<デボーション> 補助、単体、中距離攻撃
説明…本来の<デボーション>は、仲間一人が受けた攻撃を無効化し、状態異常効果を消して
ダメージはそのまま術者が身代わりで受けるという防御系特技だが、
エルの場合、呪文をかける対象、身代わりで受ける対象を敵味方を問わず
任意に設定できる。
それにより、本来の用途から離れ、自分や仲間が受けるダメージを相手に跳ね返す
攻撃反射系の特技になった。
ただし本来の特性である<状態異常無効化>は健在であるため、属性を持つ敵からの
特殊攻撃に対しては若干弱い。
◇アルバ
エルフ、男。
説明:<妖精王の都>を事実上支配する4人のギルドマスターの一人。
きわめて尊大かつ独善的だが、これは権力者として一年以上振舞ってきたため。
◇スカサハ
エルフ、女。
説明:<妖精王の都>を支配する4人のギルドマスターの一人。
◇ルシウス
エルフ、男、<盗剣士>。
説明:<妖精王の都>の支配者の一人。スカサハと組んでアルバをやりこめた後、
ユウたちのレベルの秘密を知るため、仲間たちとともに英国に上陸した。
保護(という名の軟禁)状態にあるロバートの命と引き換えに、秘密を知ろうとしたが
仲間に背かれた挙句、ユウの手によって<封印の森>に生き埋めにされた。
◇マナナン
エルフ、男。
説明:<妖精王の都>の支配者たる4人のギルドマスターの一人。
ロバートの来訪時には<大地人>貴族との折衝のために町の外に出ていたため
唯一、ユウやロバートをめぐる騒動に関与していない。
◇肉屋
ヒューマン、男、<妖術師>
説明:ルシウスのギルドに所属し、ルシウスの信頼が厚かった<妖術師>。
歴戦のレイダーでもある。
クエストの後は北欧サーバからの脱出のため、<七丘都市>を目指す。
一児の父親で、娘の名前はメアリーであることから、英語圏の人物と思われる。
◇グローリーハース
狼牙族、男、<守護戦士>。
説明:ルシウスのギルドに所属していた男。
<蝕地王>のレイドクエストにおける指揮官を務める。
◇アブシンベル
説明:ルシウスのギルドに所属していたプレイヤー。
レイドの1パーティの指揮官を務めていたことから、幹部格の人物。
◇ステッセル <妖術師>
説明:レイドに参加したプレイヤー。<屍竜>最後の攻撃により死亡。
◇ディムジム
説明:レイドに参加したプレイヤー。ルシウスとは元々近い関係だったようだ。
◇エセム <付与術師>
説明:レイドに参加したプレイヤー。
◇ヘルミオネー <修道騎士>
説明:レイドに参加したプレイヤー。
◇ジュート <聖騎士>
説明:レイドに参加したプレイヤー。




