目つきが悪いだけなのに伝説のヤンキーにされている立川くんと、可愛すぎる姫系男子の桃瀬くん
初めて書きました。
BL作品です。
幼馴染 学園系
立川龍斗は、怖い。
少なくともこの学校にいる大半の人間はそう思っている。
金色の髪、少し長めの前髪から覗く、鋭く細い目。耳にはピアス。
制服の着こなしも少し崩れていて、廊下を歩くだけで自然と人が道を開ける。
「……」
今日も龍斗が廊下を歩く。
すると、前方にいた生徒たちが一斉に端に寄った。
「来た…」
「立川だ…」
「目あわせんなよ…」
「昨日立川に喧嘩売ったやつ病院送りだってさ」
そこまで聞こえたところで龍斗は足を止めた。
「な、なあ、その話ってーー」
「す、すみませんでした!!!」
さっき話してた生徒は龍斗が話しかける前に急いで逃げて行った。
龍斗は少しだけ眉を寄せる。
(…なんなんだ?)
別に誰かに喧嘩を売られた覚えもないし、病院送りにした覚えもない。
話を聞こうとしただけで逃げられる。
(結構勇気を出して話しかけたのに、なんでみんな俺から逃げるんだよ。)
地味に傷つく。
高校に入ってからこの調子だから龍斗には友達がいない。
一人を除いて。
「りゅーとー!」
後ろから、少し高めで弾んだ声が聞こえた。
振り返ると、小走りでかけてくる人影が見える。
桃瀬春陽だ。
小さめの身長に、大きくてくりっとした目。
ふわふわとした雰囲気を纏った春陽は、この学校の男子からも女子からも可愛がられている、言わば「姫」みたいな存在だ。
友達も多くて、誰にでも愛想がいい。
そんな春陽がなぜか幼馴染という理由だけで俺のもとへやってくる。
「りゅーとおはよ!」
「…ん。はよ。」
「寝坊しちゃって、遅刻するかと思ったけど全然余裕だった!」
そう言って龍斗にVサインをする春陽を見て、少しだけ目を細めた。
「よかったな、間に合って。ほら、予鈴なるぞ!」
「待って!」
春陽が龍斗の隣に並ぶ。
そのまま、何の躊躇いもなく龍斗の腕にくっついた。
「……」
「どうしたの?」
「いや…」
龍斗は少しだけ視線を逸らす。
(近い…)
いつものことだ。
春陽は昔からこうだ。
距離が近い。
やたらとくっついてくる。
そして、なにかあるたびに龍斗を頼ってくる。
「ねえ、龍斗」
「ん?」
「今日一緒に帰ろ?」
「いいけど、友達はいいのか…?」
「うん!今日みんな用事あるんだって。あと龍斗と帰りたかったし…!」
そして、春陽が照れたように嬉しそうに笑う。
龍斗はその顔を見てほんの少しだけ口元を緩めた。
(…かわいい)
昔から、ずっとそう思っている。
春陽は可愛い。
距離感バグってるのかっていうくらい距離が近いし、目を輝かせてよく笑う。
友達だって多い。
だからきっと、俺にだけ特別にこうしているわけじゃないだろう。
(春陽のこれは通常運転だ…。)
自分に言い聞かせるように、龍斗は心の中で小さく息を吐いた。
教室に入ると、何人かの視線がこっちに集まった。
「……」
目が合う。
逸らされる。
(…またか)
落ち込んでる時に春陽が覗き込んできた。
「もう直ぐチャイムなっちゃうから自分の席に行くけど、大丈夫?」
大きい目をうるうるさせている。
春陽には心配はかけたくないから今悩んでいることを打ち明けられない。
「…あぁ、大丈夫だ」
「そう…何かあったら言うんだよ?じゃあね!」
そう言って小さな手をふりふりさせた。
(可愛すぎるだろおおおおおお)
思わず机を叩いてしまった。
周りにいた人たちはビクッと肩を震わせて、そっと席を離した。
「ごめ、んなさい…」
人見知りの龍斗は消えそうな声で言った。その言葉は席を離した周りの人たちの耳には届かなかった。
一方春陽は隣の席の渡辺に話しかけられていた。
「桃瀬さあ、よく立川に話しかけれるな?怖くねえの?」
「え!?龍斗怖いところ一つもないよ!むしろ優しいし!幼稚園の時にねーー」
そこでチャイムが鳴り先生が入ってきた。
(危ない危ない、龍斗の良いところを永遠に話し続けるとこだった。
龍斗の魅力を周りの人たちが知っちゃったら俺だけの龍斗じゃなくなっちゃうもんね。)
春陽はそんなことを考えながら、先生の話を聞いていた。




