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第25話 均衡ではない

王都。


南区。


朝。


通り。


人。


ざわめき。


衛兵が走る。


角を曲がる。


止まる。


沈黙。


地面。


男。


倒れている。


仮面。


周囲に人。


誰も近づかない。


衛兵が言う。


「生きているか」


近づく。


沈黙。


首を振る。


「……死んでいる」


ざわめき。


胸元。


紙。


一行。


「均衡は保たれた」


沈黙。


衛兵が呟く。


「またか」


だが。


人々の視線。


揺れている。


誰かが言う。


「違う」


沈黙。


指。


子供。


小さい。


震えている。


「お父さんだ」


空気が凍る。


男。


ただのパン屋。


商人ではない。


沈黙。


誰かが言う。


「……均衡?」


誰も答えない。


王城。


騎士団。


報告。


団長が紙を見る。


眉が動く。


「均衡ではない」


兵士。


「民は信じています」


沈黙。


団長が低く言う。


「これは狂信だ」


神殿。


祈祷の間。


神官が言う。


「均衡思想が人を殺しました」


沈黙。


聖女。


目を閉じる。


「神ではない」


小さな声。


ルクレール邸。


午後。


応接室。


執事が報告する。


「南区で殺害事件」


私は紅茶を持つ。


「まあ」


執事。


「均衡を名乗っています」


沈黙。


紙が置かれる。


「均衡は保たれた」


私は読む。


一拍。


カップを置く。


音。


小さい。


だが。


空気が。


沈む。


執事が息を止める。


私の声。


静か。


「均衡ではありませんわ」


沈黙。


その瞬間。


――ズン。


空気が落ちる。


窓枠が鳴る。


紅茶の水面が揺れる。


執事が膝をつく。


「……重い」


私は窓の外を見る。


王都。


遠く。


ざわめき。


小さく言う。


「均衡は」


一拍。


「無差別ではありませんもの」


沈黙。


王都。


通り。


仮面の男。


壁に紙を貼る。


「均衡は保たれた」


その瞬間。


――ズン。


男が膝をつく。


空気が沈む。


仮面が落ちる。


恐怖の顔。


遠く。


ルクレール邸。


私は静かに呟く。


「それは」


一拍。


「均衡ではありませんわ」


王都の空気が。


ほんの少しだけ。


重くなった。

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