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第24話 均衡裁き

王都。


北区。


夜。


霧。


裏通り。


衛兵の足音。


止まる。


「……ここだ」


灯り。


壁。


男が座り込んでいる。


生きている。


だが動けない。


両膝。


砕かれている。


血は少ない。


意識はある。


視線だけが震えている。


胸元。


紙。


一行。


「均衡は保たれた」


右手。


人差し指。


ない。


床に転がる。


沈黙。


衛兵が呟く。


「またか」


王城。


報告。


騎士団長が紙を見る。


眉が動く。


「……三件目だ」


兵士が言う。


「全員、商人です」


沈黙。


「価格操作の疑い」


団長が首を振る。


「疑いだ」


一拍。


「証拠は無い」


沈黙。


団長が低く言う。


「均衡ではない」


兵士。


「ですが紙が」


団長。


「真似だ」


中央市場。


朝。


ざわめき。


「また裁かれたらしい」


「均衡だ」


笑い。


「悪い商人だったんだろ」


別の声。


「均衡は正しい」


沈黙。


言葉だけが残る。


均衡。


神殿。


白い廊下。


神官が言う。


「均衡思想は危険です」


別の神官。


「民が信じ始めています」


沈黙。


聖女が目を閉じる。


祈る。


だが。


光は静かだ。


神は何も言わない。


ルクレール邸。


応接室。


午後。


紅茶。


静か。


執事が言う。


「北区で私刑が」


私は首を傾げる。


「まあ」


執事。


「紙が残されています」


紙を置く。


私は読む。


「均衡は保たれた」


沈黙。


カップを持つ。


一口。


「雑ですわね」


執事。


「止めますか?」


私は少し考える。


窓の外。


王都。


静か。


だが。


どこかで。


均衡という言葉が動いている。


私は言う。


「いいえ」


執事が顔を上げる。


一拍。


私は微笑む。


「もう少し増えたほうがよろしいですわ」


沈黙。


カップを置く。


音。


小さい。


だが。


底に。


細い。


ヒビ。


胸の奥。


ほんの少し。


重い。


均衡は。


まだ。


動かない。


だが。


王都の影の中で。


仮面の人間が。


また一人。


壁に紙を貼る。


「均衡は保たれた」

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