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第21話 均衡暴落

王都。


中央市場。


朝。


静か。


昨日より、さらに。


静か。


商人が立っている。


誰も買わない。


誰も売らない。


値札。


麦。


銀貨3。


昨日より、さらに安い。


商人が呟く。


「……馬鹿な」


帳簿を見る。


銀貨9だった。


昨日。


今は。


3。


隣の商人が叫ぶ。


「鉄もだ!」


掲示板。


新しい紙。


数字。


・鉄 銀貨5

・塩 銀貨2


ざわめき。


「誰が売ってる!」


「こんな量ない!」


沈黙。


倉庫番が走ってくる。


息が荒い。


「……ある」


全員が見る。


「倉庫に」


一拍。


「山ほど」


空気が凍る。


商会連合。


円卓。


怒号。


「嘘だ!」


「在庫は無かった!」


帳簿が叩きつけられる。


兵站商が低く言う。


「帝国だ」


沈黙。


穀物商。


「証拠は」


兵站商。


「輸送路」


紙を置く。


地図。


赤線。


国境。


港。


倉庫。


「三日前」


一拍。


「帝国商船が大量入港」


保険組合の男が呟く。


「……市場攻撃」


沈黙。


穀物商。


「均衡を利用した」


兵站商。


「違う」


一拍。


「均衡を偽装した」


王城。


東棟。


王子の執務室。


報告書。


王子が読む。


手が止まる。


「帝国……」


騎士団長が言う。


「可能性が高い」


「均衡市場の混乱に合わせ」


「商品を放出した」


沈黙。


王子。


「戦争か」


団長。


首を振る。


「金融戦です」


一拍。


「剣は使っていません」


「だが王都は壊れる」


沈黙。


王子が地図を見る。


帝国。


遠い。


だが。


市場は壊れている。


低く言う。


「怪物は動いたか」


団長。


「いいえ」


沈黙。


「均衡は反応していません」


帝国。


黒曜宮。


長い机。


報告書。


皇太子が読む。


側近が言う。


「王都市場」


「さらに暴落」


皇太子は静かに頷く。


「予定通りだ」


側近。


「均衡は」


皇太子。


「動かない」


一拍。


「当然だ」


窓の外。


西。


王国の方向。


「均衡は崩壊に反応する」


指で机を叩く。


「市場はまだ崩れていない」


微笑む。


「ただ壊れているだけだ」


ルクレール邸。


午後。


応接室。


紅茶。


執事が入る。


「帝国商船」


私は顔を上げる。


「入りましたの?」


「はい」


一拍。


「三日前」


沈黙。


私はカップを持つ。


「なるほど」


窓の外。


遠く。


市場。


騒ぎ。


怒号。


私は言う。


「均衡ではありませんわね」


執事。


「はい」


私は首を傾げる。


「ですが」


カップを置く。


音。


静か。


「面白いですわ」


執事が問う。


「何がでしょう」


私は微笑む。


「均衡を試している人がいる」


沈黙。


胸の奥。


ほんの少し。


重い。


均衡は。


まだ。


動かない。


だが。


国境の向こうから。


何かが。


均衡を押している。

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