怪物の支配者
前章では、ルシファー、アリーナ、そしてメリッサがダンジョンに到着し、その内部へと足を踏み入れる様子が描かれました。そこで彼らは、セントロンという名の古代竜と遭遇します。セントロンはルシファーに対し、3対1での勝負を挑みました。もしルシファーとそのチームが勝利すれば、この古代竜はルシファーの奴隷となる――それが、その戦いの条件だったのです。
第17章:魔物の支配者
前章では、ルシファー、アリーナ、そしてメリッサがダンジョンに到着し、その内部へと足を踏み入れる様子が描かれた。そこで彼らは、セントロンと名乗る古代竜に遭遇する。セントロンはルシファーに対し、3対1での勝負を挑んだ。もしルシファーとその一団が勝利すれば、この古代竜はルシファーの奴隷となる――それが勝負の条件だった。
セントロン:「……俺の負けだ」
ルシファー:「そもそも、なぜ戦う必要があった? 話し合いで解決できたはずだ」
メリッサ:「でも、戦いを挑んできたのは彼の方じゃないですか」
ルシファー:(まあ、結果として古代竜と戦い、勝利を収めたわけだがな)
アリーナ:「というわけで、これより貴様は我が主の従僕となるのだ」
ルシファー:「いや、待て。その必要はない。ただこの王国から立ち去ってくれればそれでいい」
セントロン:「はぁ……?」
ルシファー:「どうした?」
セントロン:「いや、違う……俺は、あんたの元を離れるつもりはない」
アリーナ:「何だと? 我が主に逆らうつもりか? たとえ古代竜であろうと、一度交わした約束を破るつもりか!」
セントロン:「いや、違うんだ……言いたいのは、あんたが放ったあの恐るべき力の『欠片』のことだ。あんたが操る魔力は、他の連中とは一線を画している。あんたが攻撃を繰り出すたび、その力の源泉と、あんたがどれほど強大な存在であるかを思い知らされるんだ。あんたの動きをただ目で追っているだけでも、その強大さは常軌を逸しており、目視するだけでは到底理解しきれないほどだということが痛いほど分かったんだよ」
ルシファー:「……で、俺に何を望む?」
セントロン:「頼む、俺を弟子にしてくれ!」
ルシファー:「俺自身、まだ学ぶべきことばかりの身だぞ? そんな俺が、お前を弟子にするなんてできるか?」
セントロン:「頼む、師匠! これが俺の最初で最後の願いだ。これほどの力を持つ存在に出会ったのは、あんたが初めてなんだ!」
ルシファー:「分かった、だが条件がある。俺がここに来る前、お前はこの場所で多くの人間を殺したな?」
セントロン:「だが、奴らは皆、俺を殺そうとしてここへ来たんだ。身を守るための正当防衛として、人間たちの侵入を阻止したに過ぎない。それ以外の理由で人間を殺したことなど一度もない!」
ルシファー:「……では、お前に殺された者たちの遺族に対して、どう償うつもりだ? 今後、彼らの遺族にどう報いるつもりなんだ?」 セントロン:あの人たちが望むだけ、いくらでもマナクリスタルを与えてやることができる。それに加えて、この手で殺めてしまった者たちを、全員生き返らせることだってできるんだ。
ルシファー:この世界で、真に実在する魔法とは一体誰のものだというのだ?
メリッサ:ええ、本で読んだことがあります。魔法を用いて人を生き返らせることができる、太古の竜たちが存在すると。
セントロン:この姿のまま現れたら、人間たちに怖がられてしまわないか?
ルシファー:まずは、お前が人間の姿をとるための契約を結ぼう。そうすれば、人間たちがお前を恐れることもなくなるはずだ。
数分後、セントロンは均整の取れた人間の姿へと変身した。
ルシファー:「よし。ひとまずは俺たちについて来い。お前の処遇については、後でじっくり考えることにする。」
ルシファー:「行くぞ。」
セントロン:「はい、ご主人様。」
アリーナ:「はい、主様。」
メリッサ:「はい、主様。」
ルシファー一行がダンジョンの外に到着したのと時を同じくして、ヴェルドリア帝国の国王もまた、竜狩り(ドラゴンハンター)たちを引き連れて姿を現した。
国王:「おい、そこのお前。」
ルシファー:「はっ。国王様が、一体ここで何をしてらっしゃるんです?」
国王:「お前は……あの時、シムロの森でわしの命を救ってくれた少年ではないか。」
ルシファー:「誰のことです? 一体何を言ってるんですか?」
国王:「わしは国王だぞ。狂っているわけではない。あの時、わしを助けてくれたのがお前だということは、はっきりと分かっているのだ。」
ルシファー:「……ええ、その少年は俺のことです。」
アリーナ:「主様、以前に国王様とお会いになっていたのですか?」
ルシファー:「ある事件の最中に顔を合わせたことはある。だが、その時は正体を明かさなかったんだ。」
ルシファー:「遅くなりましたが、俺の名はルシファーです。……ところで、あなたのお名前は?」
マーシュ:(……国王様とは既にお会いになっていたようだが、ルシファー様は国王様のお名前を知らなかったのか。)
国王:「お前は本当に面白い男だな、ルシファー。……わしの名は、ヴェルドリアスだ。」
ルシファー:「……それは、この国の国名ではありませんか?」
ヴェルドリアス:「その通りだ。だが、わしの名は祖父の父、つまり曾祖父の名に由来しているのだ。この王国を建国したのが、その曾祖父――偉大なる『ヴェルドリオサ』だったからな。民衆はもうその時代の国王の名を忘れてしまったかもしれないが、だからこそ父はわしにその名を授けたのだ。わしはその名を深く敬愛している。それに、わが王家はこの三代にわたり、この王国を統治し続けているのだからな。」
謎の男:「国王様、あの竜は……!」
ヴェルドリアス:「うむ。……すまないな、ルシファー。わしにはダンジョン内で片付けねばならぬ用事があってな。お前は今しがたダンジョンから出てきたところだったな? あの竜はどうなったのだ? ダンジョンから姿を消してしまったのか?」
ルシファー:「いや、違う。あいつならここにいるさ。彼は偉大なる『古代竜』だ。名は……セントロンという。」
謎の男たち:「なっ……!? な、なんだと……!? あの『古代竜』を、倒したというのか……!?」 ヴェルドラ:冗談だろう、ルシファー。私が正しいはずだ。
ルシファー:いや、彼が正しかったんだ。彼こそが、あの「古竜」なんだよ。
ヴェルドラ:お前、私の王国の最強の冒険者チームを全滅させたあの竜と、のうのうと一緒に歩き回っていたというのか!?
ルシファー:待ってくれ……待ってくれよ。その件については、すでに彼と話し合い済みなんだ。償いとして、彼が殺めてしまった人間たちの命を、すべて元通りに返してもらうことになっている。
ヴェルドラ:よし、ならば彼らの命を返してもらおうか。
(セントロンは黙って、ヴェルドラの顔を見つめる。)
ルシファー:どうしたんだ、セントロン? 命を返してやれよ。
セントロン:一つ問題がありまして、我が主よ。
ルシファー:問題だと? 一体何だ?
セントロン:蘇らせるには、対象となる人物の「肉体」が必要なのです。その肉体にこそ、再び命を吹き込むことができるのですから。
ルシファー:……今さら、そんなことを言い出すのか?
ルシファー:これだけの時間が経っていれば、彼らの肉体など、とっくに墓に埋葬され、安らかに眠っている頃だろうに。
ヴェルドラ:いや、実はルシファー……彼らの肉体は、すべて我々の手元に残っているのだよ。
ルシファー:だが、これほどの時間が経過していれば、肉体はすでに腐敗してしまっているのではないか?
ヴェルドラ:いや、心配無用だ。我らが魔導師たちが、死体を安置するためだけの「氷の魔術部屋」を作り上げていてな。そこで彼らの肉体は完全に保存されているのだ。
ルシファー:(こいつら、俺のことを言ってるんじゃないだろうな?)(実際、俺のいた世界にも大規模な保存施設はあったが……俺が見たのは、せいぜい「冷蔵庫」くらいのものだったしな。)(まあ、その話はひとまず置いておくか。今は、蘇らせるべき人たちが目の前にいるんだからな。)
ルシファー:それにしても、なぜこれほど長い間、死体を保存し続けていたんだ?
ヴェルドラ:彼らは皆、我らが王国の冒険者たちだからな。その遺族たちにしかるべき補償を行わねばならない。多くの命が失われた以上、それが我々の責務なのだよ。
【謎の男】 彼はヴェルドリアスの前に進み出ると、こう告げた。「王よ、ゴブリン軍が再び我らが王国に侵攻してまいりました。今回は前回を上回る大軍勢でございます。」 【ヴェルドリアス】 「その数はどれほどだ?」 【兵士】 「およそ200匹かと。すでに国境付近まで迫っております。我らが冒険者や兵士の大部分は、ダンジョンでの戦いで命を落とすか重傷を負っており、前線を守る戦力が決定的に不足しております。このままでは、王国の民が皆殺しにされてしまいます!」
【ルシファー】 「ハッ……リリス、リニア?」
【ルシファー】 「俺と俺のチームが、その討伐に加勢しても構わないか? あちらには、まだ顔見知りが何人か残っているからな。」
【メリッサ】 「ええ、私たちがその200匹のゴブリンを皆殺しにしてあげますよ。」
【アリーナ】 「うん、絶対すごく楽しい戦いになるよ!」
【セントロン】 「マスター、私もお供してもよろしいでしょうか?」
【ルシファー】 (こいつら、やけに嬉しそうについてくるとせがんでくるな……まるで戦場に行くのではなく、パーティーにでも行くかのような浮かれっぷりだ……) 「……パーティーに?」
【メリッサ】 「え? パーティーですって?」
【アリーナ】 「ゴブリンとの戦いが終わった後に、パーティーを開きたいってこと?」
【ヴェルドリアス】 「ルシファー、このような時に宴を開こうというのか?」
【ルシファー】 「いや……いやいや……そういう意味じゃない。言いたかったのは、正規の『パーティー(冒険者団)』や兵士たちが手薄な今こそ、俺たちが助太刀すべきだ、ということだ。」
【ヴェルドリアス】 「ああ……冒険者の『パーティー(団)』のことか。」
まず、彼らは皆、王国内へと到着した。
ルシファー:「ヴェルドリアス王、申し訳ありませんが、ゴブリンとの戦いには我ら四人だけで向かわせていただきます。王は後方にお控えください。国境や王国内、そして前線に残る兵士たちの指揮は、我々にお任せを」
ヴェルドリアス:「よし、若者よ。『武運を祈る』ぞ。戦が終わった暁には、共に酒を酌み交わそうではないか」
ヴェルドリアスは兵士たちの準備を整えるため、王宮へと向かった。
セントロン:「さあ、マスター。我々も参りましょうか」
ルシファー:「まずは別の場所へ立ち寄る。それから直接、戦場へと向かうぞ」
ルシファー一行は、リリットとリニアの家へと到着した。
ルシファー:「やあ、リリット。リニアの体調はどうだ?」
リリット:「もうすっかり良くなったよ、ルシファー兄様! 本当にありがとう!」(リリットはまるで可愛らしい妹のように、ルシファーの頬にキスをした)
ルシファー:「リリット、よく聞いてくれ。お前が強い子だということは分かっている。以前、自分の命も顧みずに森へ飛び込んでいったことからもな。だからこそ、今度はお前とリニアの命をしっかりと守るんだ。ヴェルドリア帝国王国の国境には、大勢のゴブリンが押し寄せている。セントロンがお前たちの傍に控えているから、何も心配はいらないぞ」
リニア:「えっ……? どういうことですか?」
ルシファー:「リニアさん、何も心配なさらず、ただここでじっとしていてください」
その時、一匹のゴブリンがリリットの家の前に現れた。
セントロンはゴブリンに強烈な一撃を叩き込み、瞬殺した。
ルシファー:「見たか、リリット? だからもう心配はいらない」
ルシファー:「アリーナ、メリッサ。行くぞ」
ルシファー:「おい、セントロン。リリットと彼女の母親の傍に付き、二人を護衛してくれ」
セントロン:「御意、マスター。その件については、一切ご心配なく」
ルシファー、アリーナ、メリッサの三人はその場を後にし、森へと向かった。そして、ゴブリンたちの遥か前方に到着した。
アリーナ:「主様、一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
ルシファー:「いいだろう。手短にな」
アリーナ:「もし私がメリッサよりも多くのゴブリンを倒したら……私が望んだ時にいつでも、一つだけ願いを叶えていただきたいのです」 メリッサ:ふっ……それは違うわよ。私だって願いを叶えたいんだから。ゴブリンをより多く倒した方が勝者になるんでしょ?
ルシファー:俺は誰の願いも叶えてやるつもりなんてないぞ。
アリーナ:(涙を流しながら)私が一番最初に「願いを叶えて」って言ったのに、あなたは聞いてくれないじゃないですか!
メリッサ:(ふっ……泣いてるわね)(いや、あれは演技だわ。私もご主人様の前で演技をして、願いを叶えてもらわなきゃ!)ええ、その通りよアリーナ。ご主人様は単に私たちを利用しているだけなのよ。
ルシファー:はぁ……俺がお前たち二人をいつ利用したって言うんだ?
メリッサ:あの日のことよ!「蜘蛛の里」から戻る前、朝目覚めた時に、私の大きくて立派な胸と、アリーナの後ろ姿をじろじろ見ていたじゃない!
ルシファー:おい、そんなことしてないぞ!……まあ、ほんのちょっとだけ、ちらっと見ただけだ。大したことじゃない。
メリッサ:その日の後、私とアリーナが滝壺で水浴びをしていた時もそうよ!冷酷なご主人様ったら……誰か私たちを助けて!私たちはこんなに可愛い乙女たちなのに!
アリーナ:(彼は願いを叶えてもらうために演技をしているけど……ちょっとやりすぎじゃない?)
ルシファー:(こいつらの顔を見てると、気が狂いそうだ……)わかったよ。誰かの願いを叶えてやることにしよう。
アリーナ:(やった……!)
メリッサ:(やったわ……!)
アリーナとメリッサは猛スピードで駆け出し、ゴブリン狩りを開始した。二人はそれぞれ異なる攻撃を繰り出し、次々とゴブリンを仕留めていく。
ルシファー:よし、俺も魔法の練習をするチャンスをもらおうか。手持ちの魔法を一つずつ試していくとするか。
(ウォーターキャノン!!……)(詠唱なし)
(ファイアボール!!!!!……)(詠唱なし)
(ウィンドトルネード!!!!!……)(詠唱なし)
(フラッシュライトニング!!!!!……)(詠唱なし)
(アースプルアップ!!!……)(詠唱なし)
(アイスフリーズからのロックアタック!!)(詠唱なし)
練習相手が欲しいから、一気に全滅させるような真似はしないでおこう。
次は属性を組み合わせた複合魔法だ。複合属性の槍……いや、それはやめておこう。この場所で使うには威力が強すぎる。前にメリッサと戦った時、周囲に甚大な被害が出たからな……。よし、「属性バブル」にしよう。どうやって作るんだっけ?
火で水を熱する → 蒸気が発生する → 土で蒸気を閉じ込めて形作る
結果=魔法の泡。これなら威力もそこまで高くないだろう。 (精霊の泡よ……詠唱なしで!)
上出来だ。つまり、精霊を用いた攻撃魔法は、俺の魔術体系においてしっかりと機能するということだな。
ただ、今回は一切の身体能力を使わずに戦ってしまった。だからこそ、今後はその肉体面もしっかりと鍛え上げておく必要があるだろう。父さんも、この3年間みっちりと体術の動きを仕込んでくれたことだしな。実家を出る直前には、餞別として身体能力を底上げする指輪をくれたし、家を出るその時には短剣まで授けてくれたんだ。
……さあ、いよいよそれらを使う時が来たようだ。魔法は一旦封印。ここからは、肉弾戦の開始だ。(身に纏っていた外套を脱ぎ捨て、短剣を手に取る。標的を仕留めるべく動き出すと、まずは一気に加速。次々と敵の腕や脚を切り裂いていく。そして、あるゴブリンの首を撥ね飛ばしてしまったところで……)「……っ、しまった! ゴブリンの首を斬り落としちまったぞ……なんてこった」
一方、アリーナとメリッサは互いに強力な技を繰り出し合い、激しい力の競い合いを演じていた。そこへ突然ルシファーが現れ、マントを翻すと、手にした短剣で次々とゴブリンを斬り伏せていく。それを見たアリーナは、「ああ、愛しい夫よ……なんてお強いこと」と感嘆の声を漏らした。メリッサがアリーナの方を振り返ると、彼女の顔が赤らんでいることに気づき、さらにルシファーの姿を捉えると、「……顔を赤らめてるわね」と呟いた。その時、一際強力なゴブリンがルシファーの背後から襲いかかろうとした。しかし、アリーナとメリッサが電光石火の速さで駆けつけ、二人同時にそのゴブリンを蹴り飛ばした。ルシファーが「ありがとう」と礼を言うと、さらに多くのゴブリン兵が押し寄せてきた。ルシファーは「話ではゴブリン兵は200体だけだと聞いていたが……どうやら増援を連れてきたようだな」と言った。そこでアリーナとメリッサは、「あなたはゴブリンの王の方を片付けて。雑兵の方は私たちが引き受けるわ」と言い放った。「それに、私たち二人の間で賭けをしてるのよ。勝った方の願いを一つ叶えてもらうのが賞品。その覚悟はできてるんでしょうね?」そう告げると、ルシファーは風の力を操って宙に舞い上がり、ゴブリンの群れを飛び越えてゴブリン王へと肉薄した。そして短剣を突き立てたが、ゴブリン王の皮膚はあまりに硬く、刃が通らない。「もっと鋭い短剣が欲しいところだが……待てよ、しまった! あのことを忘れていたな。雷ならばあらゆるものを断ち切れるはずだ。直接雷撃を放つのではなく……短剣に雷を纏わせればいい」ルシファーはそう決断すると、短剣に雷の力を注ぎ込み、ゴブリン王の脚を斬りつけて体勢を崩させた。ゴブリン王が地面に倒れ込んだその瞬間、ルシファーはすかさずその腕をも切り落とし、見事にゴブリン王を討ち取った。こうして、アリーナ、メリッサ、そしてルシファーの三人は、残るゴブリンたちもすべて殲滅したのだった。アリーナが「こちら側はすべて掃討完了いたしました、ご主人様」と報告すると、メリッサもまた「こっちも片付いたわよ」と告げた。
ルシファー:俺は完全に我を忘れていた。ゴブリンを殺すことに喜びを感じ始めたのがいつだったのか、自分でも気づかないほどに。一体何が起きたのか……。とにかく今は、ヴェルドリアス王に報告を入れなければならない。
【ルシファー、アリーナ、そしてメリッサは、王宮にてヴェルドリアス王の御前に参上した】
ルシファー:ヴェルドリアス王、事態は収束いたしました。ゴブリンはすべて殲滅しましたが……しばらくして、さらなるゴブリンの群れが押し寄せてきたのです。
ヴェルドリアス:……馬鹿な。どうしてそんなことがあり得る?
ルシファー:どういうことでしょうか?
ヴェルドリアス:奴らが二手に分かれて攻めてきたのだ。指揮官もなしに、そんな芸当ができるはずがない。
ルシファー:なるほど……。もしかすると、ゴブリン・キング(王)が奴らと共に現れたのかもしれません。ならば、我々が討ち取ってやりましょう。
ヴェルドリアス:いや、違う。人間のような知性、あるいは高度な思考力を持つ生物による指揮がなければ、奴らにあのような動きは不可能だ。ゴブリンには考える力がほとんどない。王がいなければ、せいぜい少数の兵が散発的に現れる程度で終わるはずだ。王がいれば全軍で襲いかかってくるだろうが……兵を二手に分けるなどという戦術的な判断は、ゴブリン単独では決して下せない。つまり、奴らの背後には……何らかの「知性ある存在」が潜んでいるということだ。
【闇の中にて】謎の男1:「……どうやら、彼を見つけたようだな」 謎の男2:「つまり彼こそが……『ゴッドバウンド・センチネル(神に選ばれし守護者)』というわけか」
……つづく。
Written by:Akira Hoshito
複数の妻がおり、しかもそのいずれもが強制的に娶られた身であるならば、共に暮らしていくことは決して容易ではない。




