紅葉不理解
紅葉の季節ですね、綺麗ですね。
やっぱり、絵を描いているときの君が一番可愛い。
だから、俺も頑張って紅葉を撮りたくなる。
11月、紅葉の時期。
俺と2つ下の後輩は、紅葉で有名な神社にいる。戦国大名が自害したことでも有名な神社、県外から来た人も結構いる。駐車場もいっぱいで、人も多い。
これを作品にするなら、と、つい考えてしまう。
後輩は、ベンチに座り、紅葉を描いている。
俺が惹かれた理由。
描いているときのこの子は、いきいきとしている。いつもは大人しいけど。
邪魔にならないようにしつつ、カメラで写真を撮る。
そして、俺は周りを見渡す。
木の前に笑顔で立つ親、それをスマホで撮る子。
「綺麗だね」と言い、紅葉を楽しむカップル。
楽しそうだ。
だから、心が暗くなる。
紅葉のよさが、俺にはわからないから。
なぜ、紅葉が良いとされている?
ただ赤いだけじゃないか。
葉っぱが赤くなっているだけなのに、何がいい?
わからない。
まるで、俺だけ異星人のような感覚になる。
周りに知られたらいけない、知られたら追い出されてしまう。
でも、わからないものはわからないんだ。
小説家でもあるから、余計焦ってしまう。
理解しないと、理解しないと。
できないのに。
無意識に、後輩の方に顔を向ける。
目をキラキラして、いきいきと描いている。
相変わらず。
「か、可愛い」
つい、口に出てしまう。
こう、タヌキみたいな可愛さじゃなくて、貝を必死に叩くラッコみたいな可愛さで、ああ、可愛い。
締め付けられていた心の縄が緩む。
「ま、いっか」
紅葉は理解できないけど。
高一の後輩が可愛い、それだけで全てを許せる。絵の良さもわからないけど、それも許せる。
こっそりと、スマホで後輩を撮る。
そして、再びカメラで紅葉を撮りはじめる。
読んで頂き、ありがとうございました!
心のない小説家の少年×いつもは大人しいけど絵を描くときはいきいきとする後輩の少女
ありがとうございました。




